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31鬼 お前の後ろだ

「くっ!やるねアンタたち。アタイを満足させるなんて」


「そうだろ?うちのモベヤはすごいんだぞ?」

「ふふふっ。お姉ちゃんの凄いところはこんなものじゃないよ!まだまだいいところはいっぱいあるんだから!この程度なんて勘違いしないでよね!」


「なんであなたたちが誇らしそうにしてるのよ。せめて私にやらせてくれないかしら?」


メリーさんは夕食を食べて満足げな表情をしていた。

モベヤの圧倒的な料理スキルは通用するものだったらしい。本当にスキルとして手に入れているらしいから、当然と言えば当然なんだけどな。


「ふ、ふん。このくらいでアタイを懐柔できると思ったら大間違いなんだから」


メリーさんはそんなことを言うが、その後の生活だけでも十分な満足感は与えられているような気がする。

特に、まだこの家とかは買ったばかりでそれなりに綺麗な家だから清潔感を感じさせられていることもポイントは高いと思う。

周辺が田舎な分、ここの特別感が際立つんだ。


さらに翌日、


「ふぅん?探索者ねぇ」


「ああ。とりあえず、ダンジョンに行ってみるか。命の危険もあるから、充分自分でも気をつけてくれよ?俺たちが守るつもりだから、基本的には大丈夫だと思うけどな」


実際に探索者として登録させてダンジョンにも一緒に潜ってみる。

そうしていれば俺たちがそれなりに危険なことをしているというのは理解したようで、


「確かに、ここなら人形が手に入っても何かの拍子に手から離れてしまうことはあり得る…………こ、今回は特別に許してあげる」


「そうか。それならよかった」

「誤解が解けて何よりっすねぇ」


人形の件も許された。

メリーさんとして俺たちを襲う必要はないと理解したらしい。

こうなれば後は、


「と言うことで、昨日も話したんだが俺たちの仲間になって欲しいんだ」


「アタイに?でも、危険なんでしょ?」


「ああ。だが、自分の身の丈に合うことは俺たちだってやらないし、メリーさんが来てくれるならさらに安全になることは間違いない」


「うぅん」


勧誘タイムに突入だ。

安全性を心配しているようなのでそこを安心させるように説得してみたんだが、まだ少し悩んでいる様子。

となれば1番メリーさんには効果を発揮しやすいだろう物を使うことにして、


「メリーさんが来てくれれば、次に人形を見つけた時に手放さずに済むかもしれない。もしかしたらまたすぐそういう事態に陥ってしまうかもしれないから」


「くっ!それを言われたら弱いね…………しょうがない。アタイがアンタたちを守ってあげる。感謝しなさい!!」


無事勧誘成功。

こうして俺たちのパーティーにメリーさんが加わった。

なお、名前はそのままメリーで良いらしい。


「じゃあ、今日はメリーのレベル上げだな。まずは職業の選択からやっていくか」


「それならもうやってるけど?アタイ、人形使いにしてるよ」


「人形使い?嘘だろ?特殊ジョブだぞ」


「ふんっ。人形って書いてあるものをアタイが選ばないわけがないでしょ」


それもそうなんだが、正直頭が痛い。

人形が手持ちに無い状態で人形使いが実力を発揮することは非常に難しいんだ。


「せめて一定数人形を確保してからジョブチェンジするって形にしてくれれば…………いや、過ぎたことを言うって手もしょうがないか」


俺が言葉を飲み込むと、メリーがどや顔をしてきた。

細かいことにこだわるなとでも言うようである。


「しばらくはキャリーしてレベル上げを手伝うしかないか」


「大変そうだね。ボス、頑張れ」


「増華もさすがにこれは手伝ってくれ」


俺たちはしばらくメリーが戦闘で使い物にならないことを悟る。

早めに人形を宝箱で引き当てないといけないな。


…………なんて考えていた時期が俺たちにもあった。


「けっ。アタイの顔も見れずに死ぬなんてかわいそうな奴らだね!」


「そう、だな」

「メリーさんってこんなに強かったんだ」


次々消滅して素材を落としていくモンスターたち。

初心者用のダンジョンとはいえ、その討伐ペースが尋常でないことは確かだ。


「メリーさんの転移って、無条件に使えるものなのか」


「てっきり電話がつながったらできるのかと思ってたけど、何もしなくても一瞬で相手の背後に回り込めるんだね」


「転移ってチートっすね。オイラ、あれを何回もされたら避けきれる自信はないっす」


メリーはその転移を使い、次々とモンスターの背後に回り込んでその首をかき切る。

そこまでメリーの攻撃力が高いわけではないんだが、それでも首のような急所に攻撃をされると耐えることはできないようで消滅していった。

どうやらメリーの転移はかなり自由度が高い物のようで、特にそれで疲れた様子もなく次々にモンスターの背後に転移していっている。


「逆に、なんでわざわざ電話してゆっくり近づいてくる必要があるか不思議なんだが」


「それは単純に恐怖を煽るためじゃない?」


「ただ後ろに回り込んで値が一撃で仕留めるよりも、ゆっくり近づいて行って恐怖させて情けない姿をさらさせた方が捨てられた人形の恨みも晴れるし。アタイは逆に生易しいと思うけど」


メリーの強さは想定以上。

これなら、俺たちのパーティーが更に1つ上に上ることもできるだろう。

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― 新着の感想 ―
そうかぁ、メリーさんって居場所知られてるから、電話出た瞬間に後ろにいる可能性もあるのかぁ
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