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30鬼 人形の恨み

「いや~。良く声が出たな」

「大声コンテストに出れそうなくらいだったんじゃない?さすがだね」


「いや、何が流石なの!?アタイ、バカにされてる!?」


俺たちはメリーさんから電話がかかってきたので、逆に俺たちが近づいて会うことにした。

増華に術を使って居場所を探ってもらった後、火車の圧推に近くまで送ってもらった後、意識を割くから油断するだろう電話のタイミングを使って俺たちはメリーさんの背後から声をかけた。


「くっ。まさかアタイの方が背後を取られるなんて…………でも、まだアタイは負けてない!」


悔しがっていたメリーさん。

しかし、それでもまだメリーさんとしての役割を諦めるつもりはないようで、


「消えた!?」


「っ!そこか!!」


突然消えたメリーさん。

俺はそれに驚くのだが、増華はすぐさま反応して背後を振り向き腕を伸ばす。


「くっ!何で分かんのさぁ!アタイの技は完璧だっていうのに」


その手には、目の前から消えたメリーさんが掴まれていた。

どうやら、あの一瞬で俺たちの背後に回り込んでいたらしい。


「私の探知は、怪異には強いんだよ。最近はある程度擬態されてても気づけるようになってきたしね…………それよりも、私は今の移動の仕方が気になったんだけど。今のって、転移だよね?」


「ふんっ!よく分かったね。アタイの力は転移さ。メリーさんだから、相手の近くまで行かないといけないし」


「へぇ?いいじゃん」


増華はその顔に笑みを浮かべる。

今は増華が滅魔士としての力を見せている時だからと言うのもあって、俺とメリーさんはその笑みを見て「「ヒッ」」小さく悲鳴を上げてしまった。


「ちょっと~。なんでボスまで怖がってるの?」


「い、いや。気にするな。それよりも、転移か。良い能力だな」


「そ、そう?アタイみたいなメリーさんにとっては当たり前のものだけど」


増華にジト目を向けられたので、俺は慌てて話題を変える。

メリーさんの方もあまり滅魔士の方を意識したくないからなのか、俺の話についてきてくれた。

ただ、当然ながら俺が口に出した言葉は本心で、


「なぁ。俺の百鬼夜行に入らないか?」


「は?百鬼夜行?」


何を言っているんだこいつは?という顔をされる。

だが、このメリーさんが入ってくれればかなり楽になると思うんだよな。

特に、今日のように敵に遠くから魔法で一方的に攻撃されるということを防げる可能性があるから。


「あ、アンタねぇ。アタイはそっちに捨てられた人形の恨みから出てきたものなんだけど?仲間とかなるわけないじゃん」


「捨てられた人形?」

「ボスって人形とか持ってたっけ?」


俺と増華は顔を見合わせて何の話かと首をかしげる。

俺、今の家には人形なんてないはずだし、実家でもフィギュアやらぬいぐるみやらを自分で捨てるなんて言うことはわざわざしてないから、そんなに人形から恨まれるようなことは、


「…………もしかして、今日ダンジョンでオーガに投げつけた人形か?」


「あぁ!なるほどね!そういえばあれも捨てちゃった範疇に入るかもね」


俺が思い出すのは、かなり近い距離で八合わせてしあったオーガに投げつけた人形。ダンジョンの宝箱から出てきた、人形遣いと言う職業の人間が使うための人形だ。


「捨てたと言えば捨てたが、別に捨てたいから捨てたわけじゃないんだぞ?」


「そうなの?」


「ああ。あの人形は、俺たちの命を救ってくれたんだ。感謝してるくらいだぞ」


「ほぇ?」


あえて俺が詳しい情報などはぼかしながら人形に感謝しながら、その人形が大変役に立ってたことを伝える。

こういったものの恨みなどで出来上がるタイプの怪異は、人側にもういらないと言われて好意的な感情を向けられずに捨てられるから恨みが大きくなるんだ。逆に感謝しながら捨てれば、怪異として姿を現すことはそう多くはない。


「もしかしたら、その人形側はそのことを理解できないうちに巻き込まれてしまったのかもな」


「そ、そうなの?」


「ああ。きっとそうだと思う…………とはいっても信用できないかもしれないから、明日実際に俺たちがどういうところで救われたのかと言うことを詳しく説明させてもらえないか?その後、今後どうするのかとかも話していきたい」


「あっ、うん。アタイはまあ、逃げられるとかじゃないならそれでも別に…………」


完璧だ。

向こうの理解を少し超える程度で頭が追い付かないようにしつつ、それでもパンクしない程度の情報を出しながらこちらがあえて休むことを持ちかける。

こうやって、向こうをこちらのペースに巻き込むことができた。


「それじゃあ、今日はうちに泊まっていくと言い。逃げることを警戒するなら近くにいた方が良いだろ」


「う、うん。ありがとう?」


メリーさんは少したじろぎながらも俺の提案にうなずく。

ここからある程度仲を深めて明日仲間に再度勧誘できれば完璧だな!!





なお、


「うわぁ。絵面が最悪すぎるんだけど。ボスがものすごく犯罪者っぽく見える」


メリーさんが人形の姿ではなく幼女より少し大きいくらいの身長となっているため、俺の勧誘の状態は増華には犯罪集が強くするものに見えてしまったらしい。

近所の人に見られていなかったから良かった、といって良いのだろうか。

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