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29鬼 メリーさん

昨日投稿忘れていました

申し訳ない

「へぇ。そんな人もいるのね」


「ああ。気をつけてくれ」

「お姉ちゃんは探索者として活動してないからしばらくは大丈夫だと思うけど、このクランが大きくなったらもしかすると目を付けられるかもしれないしね」


「そうねぇ。なら、ボスに家の警備員とかをしてくれる仲間も探してもらった方が良いかしら?」


ダンジョンから何とか生きて帰り、そのまま換金をしてもらって帰宅。

俺たちは今日の一連の事を座敷童のモベヤに説明していた。

そこまでモベヤが警戒する必要もないものの、そういう探索者もいるんだという警戒心を持ってもらうという意味で教えようという考えだったんだが、


「じゃあ、私もバレたらマズいのね」


「ああ。そうだな…………ん?」

「お姉ちゃん?ちょっと待って?」


気になることをモベヤが言い始めた。

モベヤは戦闘がダメダメで探索者には向いていない座敷童のはずなんだが、


「バレたらまずいってどういうことだ?」


「あら?言ってなかったかしら?私、ユニークスキル持ってるわよ?」


「「「は、はあああぁぁぁぁ!!!????」」」


俺たちは突然のカミングアウトに驚愕した。

まさかの人選だな。

ユニークスキルを持っていれば探索者として必ず成功する、とか言う話は完全にデマじゃないか。


「ユニークスキルって言っても、そんなに凄い物ではないわよ?ただ、戦っていない時に経験値が入るっていうだけのものだから」


「戦っていない時に経験値が?それ、絶対強いタイプのものだと思うんだが」

「要するに、戦ってなくても強く成るスキルだよね?全然すごくないスキルではなくない?十分すぎるくらいには強いでしょ」


モベヤの持つユニークスキルは、非戦闘時に一定時間で決まった量の経験値を継続的に獲得できるものらしい。

ダンジョンに行かずとも、戦闘をせずともレベルが上がるし強くなるなんてどう考えても強いスキルだと思う。


「便利ではあるわよ?戦闘はしてなくても、家事をするのに使えるスキルが獲得できたりするし」


「家事をするときに使えるスキル?何それ?」


「『浄化』とか『水魔法』とかそんな感じね。あと、『料理』スキルも持ってるわよ」


「「…………」」


俺たちは絶句した。

そのユニークスキル強すぎんだろ、と考えて。

ついでに言えば、なんでそれをモベヤに持たせたんだと考えて。


「放っておいて簡単に強くなるなら、別に護衛とかいらないか?」

「良いんじゃない?襲われてもどうにかできるでしょ。きっとすぐ襲ってくる人達よりもレベルは高くなるだろうし」


「いやいやいや。待ちなさいよ。私、レベルがどれだけ高くなっても戦えるようにはならないわよ?」


「大丈夫だ。戦えなくても、逃げる速度も十分高くなるはずだから」


心配して損したと俺たちはそろって肩をすくめる。

どれくらいのペースでレベルが上がって行っているのかは分からないが、何もしなくてもレベルが上がるというのはそれだけで充分強い。

時間が経てば経つほど、努力しなくても強くなれるわけだから勝手に襲われる前に大丈夫なくらいには強くなっていることだろう。


「まさか、こんな身近にユニークスキル持ちがいたとはな」

「そうだねぇ。しかも、ユニークスキルの効果が家事に使われるなんて、贅沢な話だよね」

「オイラ、絶対他人のスキルを奪えたらモベヤの姉御のユニークスキルは奪ってたっすね~。仲間でも間違いなく取り上げてたっす」


「なんでよ。それで家事が上手くいってるんだからいいじゃない」


モベヤに非難するような視線を向けられるが、俺たちはそれを軽く受け流す。

そんな時だった。


プルルルッと俺のポケットから音が鳴り始める。

誰かから電話が来たようだ。詐欺か何かかと思いながらそれに出てみると、


『私メリーさん。今、駅前にいるの』


「えっ!?ちょっと待て!」


待てと言っても待ってくれる相手ではない。

すでに電話は切られてしまっていた。


「メリーさんか」


「そうだね。初めてメリーさんの電話とか聞いたかも」


「しかし、駅前ねぇ。どこの駅なのかしら?どこだとしても、かなりここからは距離があるわよ」


「そうっすねぇ。この田舎に、数分で行ける駅なんてないっすからねぇ」


メリーさん。

それは、定期的に電話がかかってきて、そのたびに自分に近づいてくることを伝えてくるタイプの怪異。そして最終的には自宅の前まで来て、そして、すぐ自分の近くに…………となる存在である。


「どうする?」


「良いんじゃない?」


俺が周囲の者達の顔を見ると、真っ先に増華が頷いた。

これはつまり、





《sideメリーさん》

「私、メリーさん。今有料道路のインターチェンジにいるの」


なんてところにいんのさ。

アタイ、こんな田舎に行くのなんて初めてなんだけど?

どうせなら、もっと都会に行きたかった。周りは農地ばっかりで楽しい物なんてありゃしない。


このまま相手を襲うだけで終わるのも癪だし、その後に都会にでも行きたいところだね。

都会なら見てるだけでも楽しい物がたくさんあるはず。だからこんな場所は早くおさらばして、


「私メリーさん。今、」




「「お前の後ろだぁぁぁ!!!!」」


「ギャ、ギャアアアアァァァ!!!!?????」

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