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27鬼 宝箱

「いや~。まさかヤバい人だとは思わかったっすね」


「廻場も気づかなかったのか。なら、本当に擬態が上手かったんだろうな」


ダンジョン外にいる時には周囲に妖怪であることがバレないよう黙っていた廻場と話をしつつダンジョンに潜っていく。

廻場もさっきの探索者の事を考えると強く成っておいた方が良いと感じたようで、少し気合が入っている。


「ガアアアァァァァァ!!!!!」


「早速お出ましだな。色々と試してみるか」


ダンジョンに入ると早速オーガがお出迎え。

苦戦した相手だが、今の俺たちは午前中の俺たちとは違う。


「えいっ!くらえぇ!」


「ガァ!?ガアァァァ!!???」


まず、増華の攻撃(?)によりオーガが苦しみだした。

そこにすかさずダストが飛びつき廻場が一発入れ、増華がとどめを刺す。


「さすがに渡してもらった情報は嘘じゃなかったみたいだね。思ってた以上に効いたんじゃない?」


「だな。まさかこんなに簡単にオーガを倒せるとは」


簡単にオーガを倒せってしまったわけだが、やったことは至極単純。

ヤバい奴らだった探索者から貰った情報を活用させてもらったんだ。さすがに情報に嘘はなかったかと安心している。


「ライト1つでこんなに変わるなんてねぇ」


「ああ。だが、ここまで簡単にいくならだいぶ費用も浮くし助かるよな」


「だねぇ。今回は私がやったけど、ボスにライトを使うのを任せればもっと楽になるんじゃないかな」


「かもな…………つまりそれは、俺にライトを持てってことか?」


「はにゃ~?そんなことは言ってないけどねぇ~」


使ったのは単なるライト。

どうやらモンスターはライトを、というか光を得意としていないみたいで、顔に強めの光を当ててやれば怯んでくれるらしい。


それは人でも同じだとは思うんだが、それはそれとして今までやってみようと思わなかったしこれからもやろうと思うことはなかった可能性が高いことも確かだ。

普通の物よりは高いが、それでもそれなりの値段で済むライトだけでどうにかできるというのならかなり楽になるな。


「効かない場合のことも想定して動けよ。油断して防御が間に合わないなんてことになったら普通に死ぬからな」


「えぇ~?ライト当てた直後に突っ込むつもりだったんだけど」


「それはさすがにライトを過信しすぎだろ」


俺は増華からライトを受け取り、モンスターの眼を使えなくして仲間たちを支援するという仕事も始めることになった。

指揮以外にも仕事が増えたわけだが、そこまで難しい仕事でもないから問題なく並行してやれる。


「いや~。いいね。格上相手にここまでやって結構報酬もいい感じに入りそうだし、人生楽勝チャンネルじゃん」


「どこのチャンネルだよ。明らかに炎上しそうなのが見えすぎてる名前じゃねぇか」


くだらないことを言いつつ進んでいく。

そんな中、さすがにこの難易度のダンジョンとなると珍しいものではないと言わんばかりの物が視界に映って、


「おぉ。宝箱がこんなに」


「なんで並んでるんだろうな?もしかして、中の1つはミミックだったりするのか?」


「うわぁ~。ミミックかぁ。勝てるかな?」


宝箱があった。

しかも、1つではなく複数が並んだ状態で存在している。

ここまで数があるとミミックと言う宝箱に擬態するモンスターを警戒してしまうんだが、


「セーフっすねぇ」


「や次は私が…………セーフ!」


「俺の方もセーフだな」


特にミミックはいなかった。

全員で誰がミミックを引くかと言う運試しをしてみたのだが、結局誰も引けなかった(引きたいとは言ってない)。


それは別に良いのだが、やはり中身の方もこの難易度のダンジョンらしい内容となっており、


「わぉ。見てこの槍。チョロッとだけど水が出るよ」


「こっちはちょっと品質高めのポーションっすね。部位欠損でも治せる奴じゃないっすか?」


「へぇ?2人は当たりを引いたか」


別に開けた人間がその宝箱の中身をもらうという決まりでもないんだが、俺は少しだけ2人を羨ましく思った。

俺のそんな反応が変に感じたのかその視線が俺に集まり、その後俺の手元で固定される。


「え?何?ボスって、そういうもの好きなの?」

「ちょっと不気味っすね」


「違う。これも歴とした宝箱から出るタイプの貴重なアイテムだ」


俺の手元にあるのは、1体の小さな西洋風の少女人形。

お迎えしたんですか?と聞くには少し不気味さが勝つタイプの人形だな。深夜に観ると悲鳴を上げそうになるやつだ。


「人形遣いっていう少し特殊な職業に就いた奴が使える、特殊な人形だ。俺たちにはうまく扱えないが、売ればそれなりにいい値段になるぞ。1体だけで数十万はする」


「へぇ?良いじゃん」

「それは当たりっすね」


武器などの値段を考えればものすごく高いというほどではないが、それでも俺たちにとって良い収入になることは間違いない。

他の宝箱からもそこそこの物が出たみたいだし、宝箱は当たりだったな。


「この調子で行くっすよ!」


「次は10個くらい宝箱が置いてないかな~」


「それは今度こそミミックが隠れてそうだな」


戦闘だけでなくこんなところまで調子がいいと笑みを浮かべる俺たち。

しかし、それは油断と言うしかない。

ダンジョンは、ただ利益を与えてくれるだけの優しい場所ではないのだから。

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