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19鬼 骨董品

許嫁と予想以上の増華の才能。

その2つを聞いて俺は寝込んでしまいそうになったがそれを何とかこらえ、数日ダンジョン攻略をして約束通り(世間でいう)休日に増華と共に仲間探しに向かった。


早速骨董品店に入って、


「おぉ。横のショーケースに入ってる矢、凄いよ」


「そうなのか?特に何も感じないが」


「感じないから、だよ。500年物で、実際に一度使用したとかいう説明文があるのに何も感じないなんて面白いでしょ」


「値段を考えれば嘘でも本当でもどちらにしろ面白い、か」


増華が目を付けたもののせいで、なんとなくやる気がダウンしてしまった。

若干信用性が下がったし、この中に本物がいるかどうか怪しく思えてしまってな。


「あっ、あの剣はちょっとだけ力を感じるかも?」


「本当だな…………ただ、このくらいの力で車と同じ値段かよ」


「びっくりだねぇ。滅魔士の家とかなら失敗作として捨てるレベルだよ」


「そうなのか。つまり、逆に考えれば滅魔士が認めるくらいの刀なら土地なんて余裕で買える?」


「どうだろう?たとえ力はあっても、見た目の年季とかもこういう類いのものだと必要だろうからな~。一般の人に力とかは分からないだろうし」


それでも力を感じるものがないわけではない。

妖怪ではなくても、何かしら特殊な力を持ったものが骨董品店にもあるんだということは分かった。


ただその後、力のある物品があることは分かったものの、


「妖怪、いないな」


「いないねぇ~」


じっくり見て回ったんだが、ショーケースの中にあるものには妖怪も強い力を持つものもなかった。

ただ、見切りをつけるのはまだ早い。何も、骨董品と言うのはショーケースの中にあるものが全てではないのだから。


「この辺にある提灯とか、提灯お化けが紛れててもおかしくないのでは?」


「確かに。調べてみるか」


安く売っているからなのか、適当に並べられている商品もある。

一応種類ごとに分けている様子はあるが乱雑に置かれていて、値段も個別につけられていたりはしない。

提灯もあれば焼き物だってあるし、木彫りのだるまなんかもある。


「こんなとこに和傘もある…………ん?」


和傘。

竹や木、和紙などでつくられた昔の傘。

適当に扱ったらすぐにボロボロになりそうなそれは、傘立てと言って良いのかすら怪しい入れ物に適当に刺されていた。


そんな中俺は何気なく一本の傘を引き抜こうとしたんだが、そこで違和感に気づいた。

ここまで一切気付かなかったが、


「お前、妖怪か?」


「…………何のことかさっぱり分からないっすね」


持っていたものを引き抜き尋ねてみたところ、返事が返ってきた。

触って初めて気づいたんだが、こいつは妖怪だ。


「おぉ~。さすがボス。そっちが先に気づいちゃうなんて。私も術を使ってちゃんと探したんだけどな~」


「ヒッ!?滅魔士、来るなっす。オイラ、悪い妖怪じゃないっすよ?長年ここの骨とう品店にお邪魔させてもらってるだけの無害な妖怪っす」


俺の言葉で増華も近づいて来るんだが、それで急激に手に持っている妖怪が怯えだした。

やっぱりこいつも、滅魔士を相当恐れているみたいだな。

この反応には増華も苦笑い。


「別に祓うつもりはないから大丈夫だよ。安心して?」


「ヒィィィ!滅魔士はそうやって油断させておいて滅するってよく聞くっす。オイラ、こんなところで終わるんすね!」


当然増華が言葉を尽くしたところでその恐怖を拭い去ることなど不可能。

ならばこそ、ここは俺が一肌脱ぐところだろう。


「大丈夫だ。そいつがすぐに妖怪を滅するようなやつじゃないのは、俺が生きて一緒にいることで保障できる」


「っ!?た、確かに兄さんは妖怪。しかも、ぬらりひょんっすか?それを滅してないのは信用できるような…………いやでも、そうだとすると余計に混乱するっす。なんでぬらりひょんと滅魔士が一緒に?どう考えてもお互い相性は最悪じゃないっすか」


「その滅魔士が、俺の百鬼夜行に入るって言ったから一緒にいる。それ以上の理由はないな」


「…………は、はぁ?滅魔士が百鬼夜行に???」


本気で困惑した様子の妖怪。

落ち着くまで待ってもいいんだが、なんだかおもしろいし、


「お前も俺の百鬼夜行に入らないか?今なら滅魔士と同僚になれるぞ?」


「め、滅魔士と同僚?オイラが?」


「うん。ちょっぴり危険はあるけど、アットホームな職場だよ?」


「ブラックじゃないっすか!もしかして、滅魔士の力で脅してとんでもない重労働をさせる気っすか!?」


増華が放った言葉で余計に混乱している。

やっぱり俺が何か言うより増華の言葉の方が力が強いみたいだな。より恐怖を感じるという意味で。

ここまで言うと逃げられたりとかするのだろうかと思ってしまったんだが、


「…………や、やってやるっすよ。オイラ、唐笠お化けの廻場(かいじょう)が協力してやるっす!」


「へぇ?意外と根性ある感じなのかな?」

「無謀なタイプか?あんまり危険なことに首を突っ込むのはやめた方が良いと思うんだが」


「誘っておいてそれはないでしょ!?ひどい上司もたもんすね」


予想外なことに仲間になってくれた。

正直唐笠お化けがダンジョンでどう活躍できるのかはイメージできないんだが、たぶん何とかなるだろ。

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― 新着の感想 ―
これで雨の日は濡れなくなったのかな、、 風が強い日ひっくり返らないといいけど
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