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16鬼 融合

食事を終わらせるといろいろやった後に増華は家を飛び出していった。二日酔いのモベヤと話をして少し時間を取られてしまったみたいだな。

何の話をしたのかは分からんが、とりあえず俺がやる家事に関しては、


「さすがに洗濯はできないから我慢してくれ。俺の分ならまだしも、女性用の服の扱い方とかもわからんし」


「あ~。うん。変なことはしないとは思ってるけど、確かに洗い方とかを気をつけた方が良い物もあるし、ボスの分だけで良いかもね。掃除も、私の部屋まではやらなくていいから」


「分かった。共用スペースとか空き部屋だけにしておく」


といった感じで決まった。

俺も妥当だと思うし特に不満はない。

大変と言えば大変なのかもしれないが普段モベヤがやってくれている範囲の事だし、


「ダスト。その狭い隙間をお願いできるか?」


「プルッ!」


俺にはダストと言う心強い味方がいる。隙間なんかにもスライムだから余裕で入り込めて、中の汚れやらホコリやら、想像したくない諸々まで綺麗にしてくれる。田舎だから色々といるんだよな。

ダストも何を気に入ったのかは分からないがかなり積極的に動いてくれて、かなりピカピカにできた。


もうここまでやると俺ができる範囲の仕事は終わるわけだが、いつの間にか昼が近づいてきて。


「モベヤ。おかゆか何か食べるか?」


「あら。悪いわねボス。それならお言葉に甘えようかしら…………ちょと落ち着いてきたし、パスタとかでもいいわよ?和風ペペロンチーノとか」


「和風ペペロンチーノって何だよ。聞いたことないし作り方がさっぱり分からないぞ!?」


モベヤがふざけたことを言うので適当にあしらって病人食と俺の分の料理も作る。

ただ落ち着いてきたというのも間違いではないようで、モベヤは頭を押さえながら起きてきて、


「何だそのTシャツ」


「アンタが買ったんでしょうが」


「え?そんなの買ったか?」


モベヤの服には「青は藍より出でて藍より青し。隣の芝生はもっと青し」とかいうわけの分からないことが書かれていた。

俺が買ってきた服らしいんだが、全く記憶にないな。


「たぶん妖怪の仕業だな」


「そうでしょうねぇ」


どや顔で言ってみたんだが、白い目で見られてしまった。

なんとなく居心地が悪かったため、この後の話なんかをしてごまかす。


「とりあえず、今日は夕食まで作るからモベヤは休んでいてくれ」


「悪いわね。ただ、いい加減落ち着いてきたし私も働けるわよ?」


「だからって包丁とか持たせられねぇよ。そう言うなら洗濯をしておいてくれ」


「ああ。さすがに初心なボスには私たちの服は刺激が強いものね」


「ハッ。自分の今来てる服を考えてから言え」


ふざけたことを言うので俺は鼻で笑ってやった。

ついでに言えば、まだモベヤはそういう対象としてみることができるかもしれないが増華は無理だ。

滅魔士とか怖すぎて変な目で見るなんてできない。圧倒的に恐怖が勝つ。


「体調が多少マシになったなら、俺は近くのダンジョンにでも行ってきていいか?」


「構わないわよ。さすがに二日酔いだし、この後何か問題が起きるとかはないと思うわ」


こうして少し久しぶりにモベヤと2人きりで話をして、俺は洗い物などを終わらせた後に家を出る。

圧推もいないからあまり遠くまで移動はできないが、こういう時に近くにダンジョンがあるっていうのは便利だよな。


「増華も昨日の様子を見る限り、今日もまたダンジョンに寄ってから帰ってくるだろう。しっかり活動して俺たちとの差を埋められないようにするぞ!」


「プルッ!」

「メリッ!!」


ダストとソーと共にダンジョンへと入っていく。

今回のダンジョンは、比較的難易度は低めだ。さすがに気を抜けるほどの場所ではないが、ソーで全身を守ってもらっている状態であればそうそう俺がけがをすることもないだろう。


「さすがにソーの一撃を受けて耐えられる奴はこのくらいにはいないか」


複数体相手でも、ソーに入ったまま突っ込んでいって暴れれば特に危険もなく勝ててしまう。

調子に乗ってしまいそうだが、順調に攻略できていた。もちろんそれに合わせて素材もガッポガッポだ。


なんて特に脅威はなく進んでいたんだが、こうして少し難易度が上がったダンジョンにしては珍しい存在をお目にかかれて、


「ん?ダスト。お仲間だぞ」


「プルゥ?」


俺たちの前に現れたのは、ダストより一回り大きめのスライム。

大きさから考えればダストより強そうだな。


ということで俺が相手をしようと考えたんだが、


「プルッ!!」


「え?ダスト!?そのまま体当たりしていくのか!?」


明らかに無理があると思うんだが、俺の驚きをよそにダストは何の躊躇もなく大きめのスライムに体当たりをした。

すると次の瞬間、そのダストの体と大きめのスライムの体の境界が消滅し、


「え?一体化した!?ダスト、食われたのか!?」


ダストと大きめのスライムは同一の存在(?)となってしまった。

もう俺には外から見て見分けなんてつかない。

ダスト、もしかしたら食われたかもしれない。


「おい!吐き出せ!吐き出してくれ!!」


「プルッ!プルプル~」


「くっ!ダメか…………って、もしかしてお前、ダストの自我が出てるのか?」


急いでダストを取り戻そうとしたが失敗。

ただ、ダストが消滅したというわけでもない。どちらかと言うと俺のスキルで見た限り、目の前にダストはいるようなのだ。

争うような様子もないことから考えれば、ダストは少し大きめのスライムと融合したのではないかと考えられた。


「そんなこと聞いたこともないけど…………スライムって、そうやって強くなるモンスターなのか?」

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