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ドSすぎてSランクパーティーをクビになったヒーラー、幼馴染に励まされながら勇者を尻にひいていたら世界救っちゃいました  作者: 中野森


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8

 シエラは結局、三日ほど熱で寝込むこととなった。


 三日ぶりに食堂へ向かうと、そこでジークとノアが待っていた。二人は朝食のテーブルについており、ジークはいつものように大きな声でシエラを迎え入れた。


「姉御! よかったっす、元気になったんすね!」


 その顔に、安堵の色がにじんでいた。ノアはいつもの涼しい顔で、ただ静かに頷く。


「……ごめん、二人に迷惑かけちゃった」


「気にするな。やることはいくらでもあったからな」


 シエラは二人に問いかける。


「二人は何してたの?」


「俺はもちろん剣の特訓あるのみっす!」


 ジークは得意げに胸を張る。ノアは静かに答えた。


「俺は情報収集だ。そろそろ本格的に魔王について調べたほうがよさそうだからな」


 二人の頼もしい言葉に、シエラは嬉しそうに微笑んだ。


「二人とも、なんて頼もしい……!」


 シエラは微笑みながらも、少しだけ胸の奥が熱くなるのを感じた。


「ヒーラー様の活躍も期待してるからな」


 ノアの軽口にシエラは得意げに胸を張り、いつもより少し大きな声で言った。


「へへっ、任せて!」


 だが、ふと影が差したように、眉をひそめる瞬間があった。


「どうした、急に神妙な顔つきして」


 ノアは、静かにその表情を見つめながらシエラに問いかける。


「《黄金の夢》の皆、大丈夫かなぁって」


 声は小さく、どこか不安げだった。


「それって、前に姉御たちがいたパーティーですよね?」


 ジークが身を乗り出し、興味津々に尋ねる。


「お優しいヒーラーを補充して元気にやってるさ」


 ノアは肩をすくめ、いつも通りの落ち着いた調子で答えた。


「そうじゃなくて、ノアが抜けて大丈夫なのかなって」


 シエラの表情は真剣そのものだ。心配が抑えきれずに、自然と口に出てしまった言葉だった。


「そこはまったくもって影響ないだろ」


 ノアは少し困ったように眉をひそめ、手元のスプーンをいじりながら、答える。


「だって、最近は作戦立てるの全部ノアがやってたじゃない」


「それはそうだが、そんなもの誰でもできるし」


「そうかなぁ……」


 ノアの言葉に、シエラは首をかしげて考え込む。


「うわぁ……大変なことになってそうっすね……」


 ジークは口元をしかめ、眉間に皺を寄せた。


「そう思うよねぇ!」


 ジークにはシエラの懸念が伝わったようで、シエラの声が大きくなる。


「俺たちは他のパーティーを気にしてる余裕はないと思うが?」


「はい……」


 呆れ交じりのノアの指摘に、シエラは一気に萎んだ。



 三日ぶりに三人でクエストに出ることに、シエラは少しだけ不安を覚えていた。

 三日間のブランクが、チームワークに影響しないか。もし自分のせいでクエストが失敗したらどうしよう。


 だがそんな不安は、杞憂に終わった。


 最初の魔物と遭遇した瞬間から、ジークとノアの動きは、以前よりも格段にスムーズだった。とくに明確な指示があるわけでもないのに、二人が互いの呼吸を完璧に合わせて行動している。


「……え? え? ちょっと待って、なんで二人ともこんなに息がぴったりなの!?」


 シエラは思わず叫んだ。ノアは肩をすくめて、意味ありげに微笑む。


「さあ、どうだかな」


「内緒っす!」


 ジークもニヤリと笑った。


「え~~~~!? なにそれ~~~!!!」


 シエラは不満げに頬を膨らませた。そんな彼女を見て、ジークとノアは顔を見合わせて笑う。二人の間にだけ共有されている秘密があるらしい。


 しかし、そのスムーズな連携のおかげで、三人はあっという間に依頼を完了させた。ギルドへの帰り道、ジークとノアは楽しそうに今日の連携について語り合っている。


「いやぁ、あの時ああ動いてくれて助かったっす!」


「俺もだ。あそこでお前が突っ込んでくれると信じていたからな」


 そんな二人の様子を、シエラは微笑ましく見守りながらも、どこか不思議な感覚を覚えていた。


「おかえり、姉御」と笑うジークと、「休んでただけで焦るな」と肩をすくめるノア。


 二人の優しさに、シエラは戸惑いながらも、心強さを噛みしめるのだった。

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