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ドSすぎてSランクパーティーをクビになったヒーラー、幼馴染に励まされながら勇者を尻にひいていたら世界救っちゃいました  作者: 中野森


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 魔王討伐の報せは瞬く間に王都へと広がり、城下町は昼夜を問わず歓喜の渦に包まれた。そして今宵、王城の大広間では、三つのパーティーの凱旋を祝う盛大な宴が開かれていた。


 豪奢な料理の香り、奏でられる楽団の音色、賑やかな笑い声。冒険者も貴族も入り混じり、誰もが勝利の余韻に酔いしれている。


 だがその喧噪から少し離れた隅の方にあるテーブルに、《栄光の道標》の三人はいた。ジークが少し呆れ顔でノアに囁く。


「兄貴、こんな時でもやっぱり端っこなんですね」


「いいだろ、別に……」


 ノアは少し顔を赤らめ、気まずそうに答える。


「ふふ、いいじゃない。ここ落ち着くし」


 シエラは楽しそうに笑みを浮かべた。


 そんな折、聞き覚えのある重い足音が近づいてくる。


「お、お前たち……!」


 振り返れば、《黄金の夢》の面々が並んでいた。シエラは腕を組み、にやりと笑う。


「あんたたち、みーんな降格処分だって?まぁ、それくらいで済んでよかったじゃない」


「俺たちが悪かった!」


 突然、ギルフォードが真剣な顔で頭を下げる。


「……いきなりなんだよ、気持ち悪いぞ」


 ノアは困惑しながら返す。


「俺たちには……お前たちが必要だって気づいたんだ!勿論、ジーク君も歓迎する。だから――戻ってきてくれないか!」


「はぁ?絶対いやよ!断固お断り!」


 シエラは即答した。


「頼みます、姉御!」


「え?」


 続いて他のメンバーも口々に叫ぶ。


「戻ってきてください、姉御!」

「姉御ぉぉ!」


「なっ……」


 シエラは面食らい、頬を引きつらせる。


 ジークが勢いよく立ち上がった。


「何言ってるんですか!!姉御は俺たちだけの姉御です!!帰ってください!!!」


「その突っ込みもどうかと思うが……」


 ノアは苦笑して肩をすくめる。


「とにかく俺たちは戻らない。お前たちだけでせいぜい頑張れ」


 ノアはきっぱりと言い放った。


「そんなぁ兄貴ィィィ!」


「だめです!兄貴も渡しません!」


 ジークが負けじと叫ぶ。


「……いいからもう去れ!」


 ノアの一喝で《黄金の夢》のメンバーたちはしぶしぶ退場する。


 だがその直後、どこからか「あれ?あそこにいるの勇者様じゃない?」という声が上がった瞬間、ジークは瞬く間に冒険者や貴族たちに囲まれ、英雄として担ぎ上げられていく。


「ちょ、待ってください!俺そんなに飲めませんから……!助けてください兄貴、姉御――」


 ノアは遠巻きに眺めて、ぼそりと呟いた。


「勇者様も大変そうだな……」


「だね……」


 シエラが笑いながら賛同した。穏やかな夜の空気が流れ込み、ふたりの間に静かな時が訪れる。


「ねぇノア、ありがとね」


 シエラがぽつりと言った。


「なんだよ急に改まって」


 ノアは戸惑いながら答える。


「いいじゃん、たまには言わせてよ。ずっと私のこと支えてくれて……ノアがいなきゃ、ここまでこれなかったよ」


 ノアは静かにシエラを見つめ、少しの沈黙の後に口を開く。


「……それはお互い様だ」


 あまりにも真剣なノアの眼差しを、シエラはそらすことなどできなかった。


「シエラに釣り合う男になりたくて、ずっと努力してきた。その結果、今の俺がある。……シエラに出会えてよかった。これからも、よろしくな」


「えっ……えっ?そ、それってどういう……」


 ノアの言葉に、シエラは顔を真っ赤にし、息を詰める。


 そこへ、ただならぬ空気を察知したジークが「抜け駆けはだめですよ、兄貴!」と叫びながら割り込んでくる。


「なんのことだか?」


「絶対嘘です!!!!」


 ジークが大声で突っ込む。


「ははは。君たちは本当に仲が良いな」


 レインがにこやかな表情を浮かべながら歩いてきた。


「レインさん、お疲れ様です」


「お疲れ様です!」


 《栄光の道標》の三人は快くレインを出迎える。


「君たちと一緒に戦えてよかったよ」


 空いていた席に座ったレインが三人を見渡しながら呟く。


「こちらこそ。ランクを気にせず声をかけてくださったおかげで、俺たちも参加できました」


 ノアが頭を下げると、レインは意味ありげに微笑んだ。


「そのことだが……ノア殿に近々ギルドからSランク昇格の打診がいくと思う」


「は?」


 あまりに予想しなかった言葉に、ノアが固まる。


「俺とギルフォードの連名でギルドに嘆願書を出しておいた。今の君の評価は低すぎるからな」


「ギルフォードまで……」


「ふふ、楽しみに待つといい」


 そう言い残し、レインは人混みに消えていった。


「やりましたね!兄貴!」


「まだ決まったわけじゃ……」


「絶対大丈夫よ!なんなら私、嘆願書百枚くらい書いてやる!」


「俺も手伝います!」


「気持ちはわかったから……勘弁してくれ……」


 ノアが頭を抱える横で、シエラは楽しそうに杯を掲げた。


「《栄光の道標》のさらなる躍進を願って――かんぱ〜い!」


 笑い声が響き渡る夜会の中で、三人は杯を掲げた。


 彼らの旅路は、これからも続いていく。


 《栄光の道標》の冒険は、まだ始まったばかりなのだ。

俺たちの戦いはコレカラダッ!なんて…w

読んでくださった皆さま、ありがとうございました。


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過去作のリンクが下に貼ってありますので、もしお時間ある方いましたらそちらも覗いてってくださいな。


それでは、またどこかでお会いできる日を楽しみにしています。

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― 新着の感想 ―
要が抜けても何とかやっていけていたのがむしろちょっと驚きでしたわ。 姉御に心を奪われる冒険者続出の中、姉御の明日はどっちだ! 姉御の明日をしっかり描写することになればジャンルは「恋愛」になってしまいま…
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