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ドSすぎてSランクパーティーをクビになったヒーラー、幼馴染に励まされながら勇者を尻にひいていたら世界救っちゃいました  作者: 中野森


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 酒場での祝勝会から数日後。


 ギルドの広場に、《星の盟約》《栄光の道標》《黄金の夢》の三パーティーが集められた。広場の中央には、いかにも厳格そうな顔をしたギルド長が立っている。


「知の将 《セリオネ》と武の将 《バロッグ》、二つの強力な側近を討伐した今こそ、魔王城に攻め込む最大の好機だ」


 ギルド長が声を張り上げる。その言葉に、広場に集まった面々の表情が引き締まる。


「よって、この三パーティー合同での魔王討伐を命じる」


「お待ちください!」


 ギルド長が言葉を終える前に、《黄金の夢》のリーダー、ギルフォードが声を上げた。


「俺たちだけで十分です! あんなザコどもと一緒になんかやってられませんよ!」


 ギルフォードの言葉に、周囲からどよめきが起こる。彼は先日の祝勝会にあらわれた時と同じく、顔色が悪く、その声はひどく上ずっていた。


「それは許さん。これは国からの正式な命令だ。絶対に三パーティーで討伐にあたるように。わかったな」


 ギルド長は釘を刺すように言い放った。


「この場は引き続き作戦会議に使ってくれ。魔王に関わる文献を国中から集めておいたから好きに見るがよい」


 ギルド長の視線の先には山のように積まれた書物があった。

 今一度集まった面々を見渡した後、ギルド長は広場を後にした。


 ギルフォードは苛立ちを隠せない様子で、他のパーティーメンバーを睨みつける。


「いいか。先鋒は俺たちがやる。お前たちは、ただ後ろから指をくわえて見てればいい」


 彼の言葉には、連携をとろうという意思など微塵も感じられない。そんな態度に、ノアが冷静に問いかける。


「しっかり作戦を練ったほうがいい。何をそんなに焦っている?」


「この前から様子が変よ。そんな性格じゃなかったじゃない」


 シエラが心配そうに続けると、ギルフォードは激昂した。


「なんでお前たちなんかに心配されなきゃいけないんだ!俺たちはこの国一番のパーティー《黄金の夢》なんだぞ!」


「ギルフォード殿、落ち着いてくれ。今は仲間割れをしている場合ではない」


 レインが間に入って場をなだめる。


 ノアは静かに作戦図を広げ始めた。しかし、ギルフォードは作戦を練るどころか、仲間たちに当たり散らし続けていた。


「左目が厄介だな……だがそれを封じさえできれば……」


 古びた書物を目にしながらノアが呟く。


「左目?」


 隣にいたシエラがその声を拾い、聞き返した。


「あぁ、万物を予測する厄介な力を持ってるらしい」


「兄貴、俺がやります!」


 ジークが名乗り出る。


「いや、ジークじゃだめだ」


「なんでですか!俺、やってみせます!信じてください!」


「そうじゃない、ジークには別の役割を考えている」


 予想外の言葉にジークは首を傾けた。


「ジークの称号”勇者”は魔王に対する効果があるみたいなんだ。だから、魔王を討つ役を任せる。左目封じとの兼任は不可能だ」


「俺が魔王を……」


 ジークはごくりと唾をのんだ。


「他に腕が立つものといったらギルフォード、だよね……」


 シエラが気まずそうに言う。


「さっきから聞いてりゃなんだ、そんなに仲間に手柄をあげたいか? 俺が魔王を討つ。そいつが左目を封じる役をやれよ」


 吐き捨てるようにギルフォードがいった。


「勘違いするな。”勇者”が適任だから任せるのであって仲間の手柄がどうとかじゃない」


 ノアが冷静に反論する。


「うるせぇなぁ。そっちは最近Sランクなったばかりの新米だろう、そんなやつに任せられるかよ」


 ギルフォードの態度は頑なだった。


「できるんですか?」


 黙って聞いていたジークが静かに言葉を発した。


「……あ?」


 ギルフォードが不愉快そうに聞き返す。


「あなたに魔王が討てるのかときいてるんです」


「そんなのできるにきまってるだろ!」


「……わかりました。では俺が左目を封じる役を引き受けます」


 ジークは真剣な眼差しでノアを見つめる。


「兄貴、彼の言葉を信じましょう」


 ジークの想いを受け取ったノアは、改めて問う。


「……ギルフォード、失敗は許されない。本当にやれるんだな」


「だから、そういってるだろ」


「なんとかまとまったな。では他のものは二人の邪魔が入らないよう、徹底的に援護を」


 レインの言葉に皆が頷くのを見て、シエラは今日一番の声を張り上げた。


「負傷者はすぐに治してあげるから、安心して突っ込みなさい!」


「姉御……女神です!」


 いつものジークらしい発言で、場は和やかになった。


「じゃあ明日の朝、全員揃って出発しよう!」


 レインが笑顔で締め、作戦会議は無事終了する。



 しかし翌朝――集合場所に《黄金の夢》の姿はなかった。

お読みくださった方、ありがとうございます。

残り3話で最終話となります。明日朝昼晩と最後まで更新できたらなと思ってます!

最後までお付き合いいただけると嬉しいです(>ㅅ<)

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