第Ⅲ話 日本からの転校生
「で、私を置いて行ってしまったヒイロさん?動機は」
「はい。ぶっちゃけ、貴女を置いて行くのは快感であります故n」
ドカッ!!
もの凄い轟音と共に
鉄拳が飛んできた。(しかも裏拳)
「いってぇ…手加減しろよ」
「五月蝿い。今日はこれだけで許してあ~げる」
フイッとそっぽを向いて一人で教室に向かうロゼッタ。
俺は珍しくその背中についていってやった。
ユサユサと揺れる赤髪ポニーテイル女は
教室に入り、左から3番目の一番後ろという、なんとも微妙な席に座る。
「残念だったな、ロゼッタ。真ん中の列、かつ、一番後ろという、嬉しいんだか嫌なのか分からん席d」
また殴られた。
次は腹を。
「グハっ」
「あ~いいなぁ、ヒイロの席」
俺の席は一番端の列でしかも窓側。
そして前から3番目。
ロゼッタよりは何倍もマシな席。
「いいだろ~」
次は殴られるのを覚悟して
防御対策満載のポーズで待ち構える。
「…誰も三回も殴らないし」
「う゛…」
その冷めた目が一番効果抜群だ…
「おい、席に着け」
教室に入ってきた先生が、大声で言う。
「ホームルームをはじめる」
「きり~つ、礼~」
日直が号令をかける。
やる気の無い声の主は
ケヴィン=レイオ。
金髪金眼の美少年。
身長が低いのが悩みらしい。
問題児なので、真ん中の列の一番前。
「今日は転校生がきている。日本人だ」
先生が手招きすると、黒髪の美少女が入ってきた。
他の奴等とは何か違うオーラが出ている。
前髪はパッツンで腰よりちょい上の長さ。
「神維小宵と言います。よろしく」
不覚にも俺は彼女に見惚れてしまった。
お人形さんのような容姿。
身長は低く(多分ケヴィンよりも)制服は日本のものなのだろう、
黒いセーラー服に赤いライン。
スカートの丈は膝下七センチ。
「私の顔に、何か付いていますか」
「え?あ、いや別に!!」
俺の視線に気付いた彼女(小宵)。
クラス中が笑いに包まれる。
「………」
1人、ロゼッタだけが笑っていなかった。
…小宵ちゃんも。