3.ぼくのすばらしいぱーてぃーをみるがいい!
やばいやばいわよー!」
「なんでこの地域にこんな奴がいるんだよ!」
「アイドントノーだよ!知らねえよ!俺が聞きてえよ!」
「なんでいつもこうなんだ!とりあえず逃げて考えるしかない!」
俺たちは今大きな熊に追われ、必死に逃げ惑っている。
おいおい、ここで俺の異世界ライフ終わりたくないぞ!!
数時間前
「クエストに行きましょう!」
「えー……、俺安定した暮らしがいいし。命かけて必死こいて牛討伐しても大して金貰えなかったんだぞ?」
「うむうむ、ガチ怖い」
「そんなあー!私の力を見定めるって意味でもさ、簡単なクエスト行こーよー!採集クエストでもいいから!」
「え、採集クエストなんてあるの?」
「うむ、討伐クエストに比べると報酬は劣るが、安全性で言えば、断然採集クエストの方が高いのだ。」
「ちょうどいいやん!それにしよ」
話がついたのでクエスト掲示板に行ったのだが。
「ん?報酬1桁バグってね?」
「ホントだ、30000ペスタなんて報酬よほどのことがない限りありえないはずよ?」
確かにおかしい。前のジャイアントバッファローの討伐クエストでさえ6000ペスタだったのに。
「うーん、まあ報酬が高いならいっか。」
てなワケで、俺らはグロウベリー5つの採集クエストへと向かった。
その前にトイレ行こ
「スラックー、トイレ行ってくる。」
「あ、私もー」
この世界のトイレなどの設備は日本と対して変わらない。
数分してクエストに出発した俺たちは、密林へと向かった。
「へー、ここが密林か、まるでジャングルだな。」
グロウベリーというのはここらへんに生えているということなのだが。
「お、あったわ!これがグロウベリーね」
グロウベリーはまるでよく見かけるラズベリーよりふた周りくらい大きいサイズの果物で
ベリーという名の通り酸っぱそうな見た目をしている。
「結構早く見つかったな。これだけ順調にいくと逆に怖いな。」
と、スラックがいかにもな事を言うもんだから
「おいやめろ、そういうのフラグになるから。」
と返した。
「これでラストだな。」
割と森の奥の方まで進んだが、グロウベリー5つ目を見つけた。
これを採取して、クエスト達成。
グロウベリーを刈り取るために、屈んだ時に、ふと目の前に影が見えた。
木、とかかな、と思っていたが。それは違った。
何やら影がみるみる大きくなっていく。
これだけでもうわかる。終わったね。
刈り取って顔を上げたら、真正面に、それはもう大きな熊がいた。
「グルルル…」
「あ、こんにちは。」
「グルァァァァ!」
「ひぇぇぇぇぇ!」
「おい!なんだあれ!こんなところに生息していいモンスターじゃないだろ!」
「あれ確かグリズリーよ!私の出身の村の森で見かけたことあるわ!私の村結構高レベル帯だから…なかなかあいつ強いわよ!!」
「スラックとエルノはまだマシかも知れねえけど俺初期装備だぞ?引っかかれたらひとたまりもないだろ!俺早々に死ぬぞ!俺がいなくなったら頭のおかしいお前らから引き取り手がいなくなるぞ!」
「「そ、それは困る!!」」
「だとしてもどうしよー!もうけっこうちかくむできてるわよ!やばい、やばいわよー!」
「なんでこんなモンスターがこんな地域にあるんだよ!」
「アイドントノーだよ!俺が知りてえよ!」
なるほど、この地域では滅多にいない凶暴なモンスターに遭遇する可能性があるからこれだけ報酬が高いんだな。
現在俺たちはダッシュで町へ逃げ帰ってる最中なのだが、まだ町とは距離がある。しかも熊がちょっと追いかけてきている。俺たち人間がダッシュで走ってもせいぜい時速20キロが限界、しかし今は本気で走ってないにしろ、熊は本気で走れば時速60キロほどで走れる。
なるほど、終わったな。
「確かもうグロウベリーの採集は終わってるんだよな!」
「1、2、3、4…確かにあるぞ、これでフィニッシュだ。」
「ならもうこの森を抜けて町へ逃げるだけね!なら任せなさい、『スピードインクリーズ!』」
エルノが何やら魔法を唱えると、フッと足が軽くなり、いつもの2倍以上のスピードで走れていた。
「おぉ!なんだこれ!めちゃくちゃ足が速くなってる!」
「そうよ!これなら少しはマシになるはず、なんだけど…」
そう、スピードアップしたクマの方が若干速くて、ジリジリと距離を詰められつつあった。
「シット!一体どうすれば…あっ!思いついたぞ、ヘイお前ら、あとは坂道を下れば町に着く、と言うことは横に倒れてゴロゴロ転がっていったら走るより速いんじゃないか?」
「いや、絶対無」
「そうよ!それがいいわ!そうしましょ!」
「えぇー、絶対無理だって」
ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ
「悪くないかも」
「だろ?やはりミーの考えには間違いナッシングであったな。」
「スピードは出てるんだけど、ちょっと気持ちが…」
「「あっ……」」
「おいバカ!こんな所で吐いたりでもしたら地獄絵図確定だぞ!」
「そうだ!せめて起き上がってからに……おい、マジでやめろ、シャレにならねえ!おいマサユキ!お前も何とかしろ、う、うぎゃぁぁぁぁああああ」
逃走成功。
「おrrrrrrrrrrrrrrrrrrrrr」
「なんとか森から出れてよかったよ。」
「限界寸前のエルノを見た時のお前の顔も面白かったけどなw」
「本当だよ、色々終わったと思った。」
爆速で転がっている最中に熊はもうこちらを見失い何とか森を脱出。死にかけのエルノを介抱している所だ。
「とりあえず、換金しにいきますか」
「も、もうダメ……」
「スラックはエルノに付き添って宿屋にでも行っといてくれ、報酬は渡すから。」
ギルドに行き、俺らにとっては大金である30000ペスタをもらった。
もう、命懸けのクエストはうんざりだ。
なんかこう、安定した暮らしがしたいな。
別にこの世界から出なくてもいいんだし。
よし、明日からはなるべく楽なクエスト行ったり、ほかの仕事でもやってみよう。
と思ったら、何やら半泣きのスラックがこちらへ歩いてきた。
「あれ?スラックどうした?」
「じ、実はさっきエルノを運んでたら周りの人から変な誤解されたみたいで……」
まあ、体調悪そうだし、ゲロまみれだし、無理もないか。
「なんか警察にも声かけられて罰金取られたし、俺なんもしてないのに……おかげて俺の有り金0」
「う、それはガチでかわいそう」
なんでこんなことしか起きないん?
はあ、安定した暮らしがどうのって言うのはもっと先になりそう。
こっからもまだまだ続きます!
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