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Faker  作者: Joker
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1章 7話-編入-

桧璃と模擬戦を行う諒だったがあっさりと敗北してしまう。

そんな、彼に彼女は優しく手を差し伸べる。

なんとなくだが、居場所を見つけた諒は藤田隊から抜けることを決心する。

桧璃の下で諒は徐々に力を発揮していくことになる。

俺は藤田のところへやってきていた。正式に今日から俺はSSラウンダーの仲里先輩の元へ配属されることになる。

柊一:「なんとなくわかっていた。俺たちじゃ草壁の力を使いこなせないってね。」

色々あったのだが、心配事が少なくなるように仲里先輩の忠告を中心に藤田に話すと彼も納得がいったようで俺の配属手続きをしてくれたようだ。

柊一:「今までありがとう、俺たちに合わせてくれていたんだよな……。」

その言葉に俺は肯定しなかった。何も知らなかった俺に戦う術を教えてくれたのも彼らだったのだから。特に城咲には随分と丁寧に教えてもらった。

綾子:「……城咲さんに会わなくても良いの?今は演習中だけど、もう少しすれば戻ってくるよ?」

諒:「いや、全く会えなくなるという訳じゃないから。」

そう言うと藤田がなんともいえない表情で此方に口を開いた。

柊一:「たぶん、一番辛いのはアイツだろうな……草壁のこと凄く信頼していたみたいだから。また、何か縁があったらよろしくしてやってくれないか。」

なんとなくだけど、藤田も彼女の気持ちに気づいているのだろう。俺は頷くと自分の荷物をまとめて控室を後にした。藤田の為にも城咲の為にも俺は此処に居てはいけない気がする。そして何より自分の為にも……そう思い、仲里先輩たちの部隊の控室へと向かった。ただ廊下を歩いているだけなのに、随分と長い道のりを歩いたような気がした。あれから彼女の隊に入隊するまで彼女とは何度もシミュレーターで戦闘を行った。未だに完全な勝ち星を上げられていないが10戦中3勝までは取れるようになっていた。だけどその先まではなかなか難しい。

桧璃:『諒も強くはなっている。でも……流石にそう簡単には追い抜かせてあげないわよ、先輩の意地としてね。』

彼女は自慢げに俺に笑ってみせた。それほど彼女は強かった。オペレーターの速水さんはそんな俺を励ましてくれていた。

玲:『大丈夫、Sラウンダーの人でも桧璃とまともに戦って1勝とれる人っていないから。それから考えると君って本当にCラウンダー詐欺だよね。自信もって良いんじゃない?』

そんなことを言われた。これから新しい生活が始まる。きっと俺は探している“モノ”を見つけられる。そんな期待で胸が膨らむ。俺はこれから世話になる控室に入った。

諒:「今日からお世話になります、草壁諒です。宜しくお願いします。」

彼女たちに頭を下げる。

玲:「今日からよろしく、草壁くん。ウチの隊にもやっと華が!」

彼女は嬉しそうに目を輝かせていた。

桧璃:「華って男の子に使う言葉なの?普通は女の子じゃない?」

玲:「そりゃ、死神様よりイケメンの諒くんの方が華でしょ。」

桧璃:「悪かったわね、死神で。」

いつも通りの軽口の言い合いと雰囲気が落ち着く。随分と此処に慣れたものだ。仲里先輩は此方に近づいてくると手を差し出してきた。

桧璃:「よろしく、草壁諒隊員。これからは私がビシバシ鍛えてあげるからそのつもりで。」

諒:「よろしくお願いします、仲里先輩。」

そう言うと彼女は人差し指で此方の額をつんと突いた。

桧璃:「か、い、り。桧璃先輩で良い、今更他人行儀はナシな方向で。」

諒:「了解、桧璃先輩。」

俺がそう言うと彼女はいつものクールな表情でふふんと笑った。意外に女の子らしい部分が垣間見えて嬉しかった。打ち解けてくれたのだろうか。

玲:「あ、諒くん……今、桧璃のこと可愛いって思ったでしょ?」

桧璃:「へぇ、私のことが可愛いなんて……なかなか見る目のある後輩ね。」

自分以外には年上の女性2人しか居ない小隊だ。たまにこうして絡まれることはあるが基本的に彼女たちは面倒見の良い性分だった。こうして俺は1ヶ月間、みっちりと桧璃先輩にしごかれ、基本から応用を全て叩き込まれた。戦闘スタイルは城咲と全く違っており、教え方もある程度スパルタだったが彼女の基本戦闘スタイルは驚くほど自分の型に嵌ったのだった。そして……Bラウンダーの試験を一気に飛び級してAラウンダーの試験を受けることになる。

試験員:「……本当に大丈夫ですか、仲里さん?彼、Cラウンダーですよ?」

桧璃:「大丈夫、だって私の弟子だもの。こんな試験余裕でしょ。」

俺は試験を受ける為にAラウンダーと対峙していた。大丈夫だ、前と違って身体は十分に動かせる。これなら負けることは無い。

試験員:「では……はじめ!」

合図の後に思いきりAラウンダーの首を跳ね飛ばす。周りが騒然とする。それに桧璃先輩と比べると止まっているかのように遅く見える。

桧璃:「まずはAに昇格と……じゃ、次はSの試験と。」

???:「待ちたまえ、仲里くん。」

桧璃:「あぁ、黒崎特別顧問。どうしました?」

黒崎:「Aラウンダー昇級の試験も特別待遇だったのだ、一部の新人だけそう優遇ばかりを受けさせるわけにはいかないだろう。我々は組織として動いているのだ。」

桧璃:「まぁ、それもそうか。わかりました。でも今日から彼はAラウンダーということでよろしいですね?実力主義を掲げておいてこんなに優秀な人物を捨ておくのは勿体ないと思います。それに、戦場で私と一緒に戦闘に参加出来ないのであれば小隊としての意味がないでしょう?」

丁寧な口調だが彼女は彼に臆せず、ズバズバと意見を通す。彼女のほどの実力者だからこそ可能なのだろう。

黒崎:「よろしい、君の部隊の隊員だ。それはすぐに計らおう。」

桧璃:「まぁ、AでもSでも構わないですけどね。彼、私と同じSSの素質がありそうですから。それまでにSSの席を1つ、増やしておいてくださいね。」

彼女は全く恐れもせずに不敵な笑みを浮かべる。

黒崎:「わかっている、君も無闇に組織の団結を損なわないよう行動してくれたまえ。」

それだけ言い残すと彼はその場から去っていった。黒崎特別顧問、おそらく上層部でもかなりの特別なのだろう。入隊した時に挨拶をしていたのも彼だった。

隊員:「仲里先輩、マジでやべぇよな。あの黒崎特別顧問とも繋がっているのか?」

この場が騒々しくなる。この日、俺はAラウンダーに昇格すると正式に桧璃先輩の部隊の構成員として加わった。これで任務の時は彼女と一緒に出撃することもあるだろう。

Aラウンダーに昇格する諒。

次回から独立遊撃部隊として戦場を駆けることに。

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