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Faker  作者: Joker
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1章 2話-死神-

初めての任務に実戦投入される諒。

しかし、運悪く最強のラウンダー仲里桧璃と再会することに。

違法契約だと促し、ルーキーたちを逃がす桧璃。

だが、顔が隠れていることをいいことに、彼女と対峙することを決意する諒。

そして……激闘が始まる。

 急激な速度に何とか反応する。いつの間にか彼女の顔が横にあった。

桧璃:「見えているだけで反応は出来ないのね?」

首だ!俺は大鎌の接近を予知して首元にエーテルウエポンを持っていき大鎌を弾いた。此方の武器が悲鳴をあげる。

桧璃:「へぇ……やるじゃない。」

俺は攻撃を掻い潜り、距離をとる。なんて速さとパワーだ。本当に人並外れた身体能力だ。

玲:「嘘……Cラウンダーなのにまだ桧璃と戦えている?」

桧璃:「玲、敵のIDと小隊ナンバーから相手を割り出して。簡単でしょ?」

オペレーターに鋭く指示を出す。戦闘だけじゃない、頭の回転も相当に良い。再び大鎌が此方を狙う。それを弾こうとするが……なんだ、これは!女の力じゃない!?勢いよく吹き飛ばされる。エーテルボディとスーツのおかげでダメージは無いが生身であれば無事では済まなかっただろう。

桧璃:「解析!まだ?」

刹那、ヘルメット型の防具に亀裂が入り、音を立てて砕け散った。

桧璃:「へぇ……まさか、あなたがね……。」

玲:「顔が割れたわ、藤田隊所属でCラウンダーの草壁諒くん。戦績は上の中くらいかな。」

桧璃:「遅い、もう顔は割れた。そして、それ嘘だから。」

玲:「嘘ってどういう意味?」

桧璃:「こんなに戦えるヤツがCラウンダーな訳ないでしょ。手抜いているわよ、それ。」


 Sラウンダーですら私の一撃を最初で防いだ人間は居ない。つまり彼の実力はSラウンダー以上になる。入隊したばかりでそれほどの力を?

玲:「まるで、昔の桧璃みたい。」

私は入隊してから無敗を維持し、2ヵ月間でSラウンダーになった。彼も私と同じタイプなのか、それとも……何かを隠そうとしているのか?

桧璃:「私は手を抜いたことなんてない。」

再び彼に対峙する。しかし、他の人間とは違い感覚で私の攻撃を避けている。目で追えないものは他の感覚で補う。まともな人間では出来ないことだ。思わず笑ってしまう。

桧璃:「来なさい、後輩……私がイロハを教えてあげる。」

すると今度は彼の方から攻撃を仕掛けてくる。速い、だけど目で追えない訳じゃない。

諒:「こんな戦い……無意味です。」

桧璃:「無意味なんかじゃないわ……これはあなたの為の戦闘訓練。」

彼の重い一撃を弾く為に、力いっぱい地面を踏み込む。思いきり大鎌を彼へと叩きつける。

諒:「……!」

弾き飛ばされた彼は上空に跳んで逃げるがバランスを崩す。

桧璃:「流石に先輩として負けられないでしょ。ね、後輩くん?」


 バランスを崩した俺に向かって彼女が大鎌を構えて跳躍する。マズい……このままじゃ押し切られる。上空でなんとか体勢を整えて、切り札を使う。エーテルを流用したワイヤーで彼女の腕を拘束する。もらった!そのワイヤーを思いきり振り回して彼女を壁に叩きつけようとする。

諒:「……ッ!」

しかし、逆に叩きつけられたのは此方の方だった。彼女はワイヤーを自ら掴むと逆にそれを利用して此方を壁へと叩きつけたのだ。なんという機転の利かせ方と瞬発力だ。それに滞空しているのにも関わらずどうして男の俺より力を出せる?物凄い衝撃と共にエーテルボディが限界を迎える。スーツが点滅している。このままでは敗北するのは時間の問題だ。

桧璃:「とった!」

距離を一気に詰められる。カウンターで咄嗟に一撃を加える。首を狙った一撃だった。

諒:「……!」

しかし、此方側のエーテルボディの右腕が宙を舞った。右腕からエーテルウエポンを回収して、地面に着地する。すぐ目の前に彼女の姿がある。なんだ、この滅茶苦茶な動きは!?いつの間にこの距離をとった?速過ぎて目で追うことが出来ない。

桧璃:「ふふ、やるやる!」

楽しんでいるかのように彼女は次々と一手、二手と仕掛けてくる。それを弾いて距離をとる。しんどい……とてもじゃないが彼女の方が一枚も二枚も上手だ。あんな大鎌を尋常では無い速度で振るってくる。突如、脚がもつれるように崩れる。違う……左脚がやられた!俺は応急処置で脚にエーテルウエポンを装備し義足代わりにして、彼女から離れる。しかし、それを彼女が許す筈も無い。経験も身体能力も全てあちら側が上回っている。

桧璃:「本気を出さないと……死んじゃうかも!」

目を見開きながら邪悪な笑みを浮かべる。エーテルボディ同士の戦闘だ。死ぬことは無いが……恐ろしいほどの強さだ。これは死神と呼ばれても納得がいく。しかし、ここまで来れば意地だ。せめて一撃、致命傷を!再び首元を狙う。その一撃が弾かれる。躱された!

桧璃:「……!」

はらりと結いでいた彼女の長い髪が散る。その一撃に彼女は驚愕の表情を浮かべた。そして此方から急いで距離をとる。対峙する彼女はショートヘアになっていた。被弾と呼べる被害では無いが一撃は入れられた。次はなんとかまともに一撃を入れられそうだ。刹那、防衛施設が爆破する。仲里先輩の手によるものか?

玲:「桧璃、何者かによって施設が破壊された。面倒事に巻き込まれる前に撤退よ。」

桧璃:「……。」

オペレーターの声が聞こえているのかわからないが彼女はじっと此方を見つめている。

玲:「ちょっと、桧璃!聞こえているの!」

桧璃:「わかっている、ちょっと黙って。」

通信を自分から強制的に終わらせると、彼女は戦闘の姿勢を解いた。

桧璃:「草壁諒……名前、覚えたから。」

とんでもない人に名前を覚えられてしまったようだ。

桧璃:「ふふ、私に傷をつけるなんて大した男。それじゃ、またね。」

そう言うと彼女は後方へ跳躍する。いつの間にかその姿は消えていた。どうやらアクシデントのおかげで助かったようだ。終始、まるで生きた心地のしない戦闘だった……。


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