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Faker  作者: Joker
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1章 1話-死神の通り道-

藤田柊一と取引をしてガーディアンフォースに入隊する草壁諒。

最初は組織自体に興味があり入隊したが、徐々に隊員たちと打ち解けていく。

そんな、ある日。

彼は個人で任務を受けることになる。

藤田柊一、ガーディアンフォースのCラウンダー。隊長を務め、日夜任務に明け暮れている。正義感の強い男だ。同じ隊の城咲由佳のことを気にかけており、彼女を守る為に自分の隊の強化を図り、俺を隊へ引き入れた。城咲由佳。同じ隊のBラウンダー。彼女の目的は良くわからない。あまり訓練以外で話したことは無いから。おそらくこの隊のエースといわれる役割を担っている。身体能力とエーテルの扱い方が優秀。彼女ならAラウンダーよりも更に上に行ける素質があるのだろう。だけど……それをあまり良く思っていない柊一が居る。彼女はもっと上へ上がりたいようだが彼は彼女を1人で戦場に送りたくないようだ。オペレーターの宮辻綾子。なんとなくだが藤田のことを想っているのだろう。話の端々から彼を慕っているような言葉が口から洩れる。色々と雰囲気が良い隊だが、様々な思いが交差している。この場所にも俺の居場所は無い。ただ戦ってポイントを稼いで上を目指す。普段と変わらない日常生活。

由佳:「お、どうしたの?何か悩み事?」

長い髪をなびかせ、彼女が休憩所へやってくる。彼女は……少しだけ距離感が近い気がする。もともとこういう面倒見の良い性格なのだろう。

諒:「いや、そんな風に見えた?」

由佳:「……なかなか難しい質問をするね。普段から何かをずっと考えているような気はするよ。少しでも誰かに話せれば……楽になると思うけど?」

楽になる……ね。誰かに話して楽になるのならもうとっくにやっている。心遣いだけは感謝しておこう。

諒:「ありがとう、なんでもないよ。」

由佳:「……。」

彼女はじっと此方を見つめる。俺は……こんな目を何処かで見たことがある。誰、だっただろう。遠い昔の記憶。

由佳:「ま、私。あなたの師匠だから。弟子のことは気になるでしょ、色々と。」

彼女に訓練をつけて貰っている。教え方は非常に上手だ。エーテルウエポンを初めて使った時は私よりも上手だと言っていたが……彼女の扱いもかなりの熟練だった。

由佳:「ごめんね。藤田くん、あなたに色々無理言ったんじゃない?」

彼女は申し訳なさそうな複雑そうな表情を浮かべる。

諒:「いや、特には……。」

由佳:「私に出来ることがあればなんでも言って、それじゃ。」

そう言うと彼女は休憩室から去っていった。何か……勘づかれただろうか?確かに彼女絡みで彼は動いているし。俺は戦闘訓練にあまり身が入らない。戦ってなんになる?何のために戦う?何と戦っている?レプリカントのことを思い出す。無機質で空虚で……まるで俺と同じみたいだ。彼らも何か意志があって行動しているのだろうか。気づけば訓練室の方が賑やかになっていた。何事だろうか。俺は気になって訓練室へと向かった。

訓練生:「おいおい、マジかよ……SSラウンダーだぜ。」

そこには……あの時助けてもらった女の子の姿があった。目の前のレプリカントを一瞬で葬り去ったあの子。不思議な瞳のあの娘。あの黒と赤を基調にしたスーツ、間違いない。思わず視線を彼女へ向けてしまう。

???:「……あなた、何処かで?」

気づけば、いつの間にか声をかけられていた。

訓練生:「やべぇ、話しかけられているぜ、あのCラウンダー。」

訓練生:「そう言えば成績優秀だったよな、アイツ。」

色々な言葉が行き交う。

諒:「助けてもらいました、1ヵ月ほど前に。」

その言葉に彼女はなるほど、といった表情で頷いた。

???:「あぁ……思い出した、あの時の不思議くんか。」

余裕の笑みを浮かべ彼女は通り過ぎようとする、とても綺麗な人だ。すれ違いざまに再び口を開く。

???:「せっかく助けてあげたのに、大事な生命を自ら捨てに来るなんて……本当にあなたって不思議くんね。生命は大事に、ほどほどに頑張りなさい。」

彼女なりの激励の言葉なのだろうか?皮肉だろうか?どちらともとれなくもない。俺は去っていった彼女の方をじっと見つめていた。

訓練生:「おい、お前……よく死神に話しかけられて無事だったな?」

訓練生:「Cラウンダーに話しかける仲里先輩、初めて見たかも。」

周囲が浮ついていて居心地が悪い。俺はその場を後にした。帰宅途中、再び思案する。人類保護特務機関、ガーディアンフォース。彼らは表向きレプリカントの討伐を主な任務としている。しかし、傭兵や護衛任務といった企業をバックアップする任務にも就くこともあるそうだ。表向きスポンサーは政府ということになっているがそれだけでは成り立つことが出来ないのだろうか。裏では企業から依頼を受けているという。


 そして、ついに初の実戦に投入されることになる。それは単独の護衛任務だ。まさか、企業から直接オファーがかかるとは思わなかった。無作為に選ばれた数名の中に俺が入っただけなのだろうが。仲間はたった4人のCラウンダー。しかし、此方より経験は上だ。こんな作戦楽勝だと先輩方は意気込んでいたが何か嫌な予感がする。そしてその嫌な予感というものは的中する。轟音と共に、上空から何かが飛来した。敵として現れたのはあの仲里桧璃と呼ばれたSSラウンダーだった。

桧璃:「あら、ルーキーたちが相手?これは参ったわね。」

心底困ったように彼女は溜息を吐いた。

玲:「まさか、ウチと違法契約を結んでいたとか?」

桧璃:「どうでも良いけど……ルーキーたち、逃がしていい?」

玲:「お好きにどうぞ。」

オペレーターと遣り取りをしていた彼女は此方にゾッとするような視線を向ける。なんというおそろしい微笑みだ……思わず戦慄してしまう。

桧璃:「どうせ死なないから本気でかかっておいで、先輩である私が稽古をつけてあげよう。」

大鎌を取り出し、此方に対峙するおそろしく美しいその少女。そんな彼女から圧倒的な殺意を感じ、仲間たち全員は悲鳴を上げて逃げていく。Cラウンダーが最高戦力と勝負するなんて自殺行為だ。

桧璃:「はぁ……傷つくわ。これでも女の子なのにね?」

玲:「はいはい。でも、1人残っているから。相手してあげるの?」

桧璃:「……へぇ。Cラウンダーの中にもなかなか骨のある子、居るのね。」

彼女が不敵な笑みを浮かべた。幸いにも此方はヘルメット型のエーテルスーツ装備を装着しているので顔は見られていない。多少なりとも本気は出せる。すると、目にも止まらぬ速さで彼女は此方に大鎌で仕掛けてくる。俺は対峙するべく、彼女の攻撃にしっかりと集中するのだった。

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