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Faker  作者: Joker
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0章 0.2話-新たな仲間-

謎の少年草壁諒は死神と呼ばれた少女、仲里桧璃と出会う。

救助に来た藤田とも出会うが倒されたと思ったレプリカントが動き出す。

エーテルウエポンを扱い圧倒的な強さを見せる草壁諒。

そんな彼に藤田柊一は……。

目の前の彼はレプリカントを圧倒して立ち尽くしていた。端末をじっと眺めている。もしかして……初めて使ったのか?嘘だろ……人間じゃない、エーテルボディを使用せずに生身であんな芸当を?彼は……間違いなく彼女と同じタイプの人間だ。あの“仲里桧璃”と。

柊一:「……君は一体?」

???:「……草壁諒。」

名乗った。いや、そういう問題で俺が彼に話しかけた訳ではない。

柊一:「あぁ、いや……そういう訳では無く、君はガーディアンフォースの人間?」

その言葉に彼は首を横に振る。

諒:「いいえ、違いますけど。」

なんだって?このエーテルウエポンを使ったことが無い?そんなこと絶対におかしい。このエーテルウエポンは扱うのにかなり訓練が必要だ。武器を形成するのにも非常に時間がかかる。ちゃんと武器として使用するのにも1週間くらい時間を要した。自分はそんなに素養は無かったが、それでもガーディアンフォース内では一般的な方だ。それを一瞬で使いこなしたというのか?

諒:「返します。」

そう言うと彼は此方に端末を手渡した。まるで興味が無くなったかのようにレプリカントの死体に再び視線を移した。なんだ、彼は……意味が解らない。

由佳:「藤田君、無事?」

首元に取りつけてあった通信機からの彼女の声で現実に引き戻された。彼女は優秀だから別部隊と一緒に行動を共にしていた。そろそろ引き上げる時間なのだろう。

柊一:「あぁ、無事だよ……大丈夫。」

とにかく彼を連れていかないと……。

柊一:「とりあえず、一緒についてきてくれる?此処は危険だ。」

諒:「……わかりました。」

素直に此方のことに賛同してくれた。あんな動きで暴れられたら俺じゃ手に負えない。彼を連れて先程のポイントまで戻る。そこには城咲由香の姿があった。俺の部隊のエースでスナイパーを担当している。

由佳:「藤田君、その人が救助対象の人?」

柊一:「あぁ、そうみたい。逃げ遅れたみたいだ。」

由佳:「その割には随分と落ち着いているみたいだけど……現場向きの人かな。」

彼女の言葉で先程の戦闘を思い出す。彼は……あの動きは誰にも真似出来るようなものじゃない。現場向きというか……生まれ持った才能を感じる。彼をこのまま帰すことが勿体ないと思ってしまう。俺は救いたい……彼女とこの世界の平和を。そして今足りないものは戦力。俺たちの部隊は平凡な自分とエースの城咲のみ……彼が加われば部隊は変わる。それに城咲だって無理に前線に出なくとも……。

柊一:「なぁ、君?確かガーディアンフォースの隊員じゃないって言っていたよな?どうだろう……ガーディアンフォースに入らないかな?」

正直、たった今会ったばかりの彼を仲間に出来る可能性は0に等しいことだと思う。

諒:「すみません……あまり興味が無いもので。」

すんなりと断られてしまう。そりゃ、そうか。そう簡単になります、という人が何処にいるのだろう。ましてや今さっき救助された人間だ。

柊一:「そ、そうだよね……はは……。」

だけど……俺はなんとなく彼がガーディアンフォースに入隊するのではないかという予感めいたものを感じていた。

諒:「それではもう帰りますので。」

そう言うと彼は此方にお礼を言って帰っていってしまった。

由佳:「あーあ、振られちゃったね。」

彼女はニヤニヤしながら此方を見ていた。仕方ない、今回は諦めよう。でもいずれまた何処かで会えるような気がする。


 その予感は的中した。廃墟と化した街で彼とばったり再会したのだ。ここは立ち入り禁止区画となっている筈だが……ガーディアンフォースに所属する俺も例外ではない。だけど……此処には俺の大事な記憶がたくさんある。

柊一:「……。」

諒:「……あの時の。」

彼は瓦礫の上から飛び降りると俺の前に立った。

柊一:「君は此処で何かを?」

諒:「いいや、特には……此処には誰も来ないから。」

確かに普段なら全く人が来ない場所だ。考え事をするにはうってつけの場所だ。どうしてだか良くわからない。でも俺は彼に過去の出来事を打ち明けていた。自分の家族が此処に住んでいたこと。そしてあの未曾有の大災害に巻き込まれたこと。幼馴染の城咲由佳を守ること。現状の部隊構成に満足いっていないこと……全てを話した。

諒:「なるほど。それであの時、俺をスカウトした。」

なんとなくだけど彼の態度が軟化していたような気がした。頼む……俺たちには力が必要だ。君という大きな力が……たぶん、Sラウンダー。いや。あのSSラウンダーにだって手に届くような力を持っている筈。

諒:「戦うこと自体に興味は無い。だけど……ガーディアンフォースという組織に興味が無い訳でも無い……わかった。」

そう言うと彼は此方を見つめた。不思議な瞳だ。此方を見ているようで何処か遠くを見ているような、そんな瞳。

諒:「取引だ、藤田柊一。俺をガーディアンフォースへ入れてくれ。」

まさか……本当に仲間になってくれるとは思っていなかった。俺は彼に感謝の言葉を述べると入隊手続きを急いで済ませた。そして、城咲に彼の戦闘訓練をお願いする。教えるのは……俺より彼女の方が向いている。そして彼は異様な速さでDラウンダーからCラウンダーへと昇格した。俺たちの隊へと配属になる。

由佳:「流石、諒くん。あっという間にCラウンダーか。このまま行けばBラウンダーも時間の問題。」

城咲はBラウンダーの上位に位置している優秀なスナイパーだ。俺と同期で同い年だというのに俺より技能レベルは上だ。だけど、少しだけ疑問が残る。彼の戦い方はこんなものじゃ無かった筈だ。あの戦い方は……SSラウンダーにすら引けをとらない動きだった。

由佳:「……どうしたの?」

柊一:「あぁ、いや……なんでもない。」

あまり騒がれても上層部に彼をとられてしまいそうで怖かった。今はこれで良い。そう思いつつ、俺は彼の戦闘の記録を何度も繰り返し見続けるのであった。


次からは本編、草壁諒視点メインで物語が始まります。

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