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覚醒奴隷のニューワールド   作者: chaos シスルル
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6幕 戦闘準備

  

◇ 州都オリンピアス


僕と姉さんは、州都オリンピアスのあまりにもデカすぎる正門をくぐる。


「姉さん、この城門、ものすごい大きいね」


「ああ、ここは "義勇ノ門" といって、帝国軍から国を守る最後の砦らしいからな、独立戦争のとき、州都は幾度となく帝国の侵攻を受けたが、一度たりとも帝国軍が城門の上に上がったことはないそうだ」


巨大な城門を通り抜けると,清らかな空気のなか、大きな街が広がっていた。


人生の大半を孤児院の中で過ごした僕にとって、その景色は衝撃的だった。

「すごい…。でも姉さん、すこし静か過ぎない?」


「帝国軍が迫っているからだ」


「ファリ、ここは持つのか?帝国軍に所属していたお前の率直な感想を教えろ」


「どうだろうな。あの蜘蛛の力は未知数だ。この攻城戦にどう影響するかはわからない。だが少なくともいえることは、この城はいまだ経験したことのない危機に直面するということだ。」


そんな静かな街に、音魔法のよる放送が響く。




『国民の皆様、こちらは、自由連邦共和国軍本営です。わが連邦軍は、迫りくる帝国の脅威に対し、死力を尽くしてこれを退けてきました。しかしながら、帝国勢力は徐々にその脅威を拡大し、我々はまさに今、自由の危機に瀕しています。帝国を討ち、自由を守る勇敢な同志を募集します。


つきましては、義勇兵志願者は本日13時までに、自由連邦軍第9練兵場にお越しください。繰り返します。義勇兵志願者は本日13時までに…』


なんか、物騒だ。

もしかしてこれはもうまずい状況なのでは…

そんな雰囲気を察してか姉さんの顔はぴりついてる。


「アオイ、わるいがあまりのんびりできる時間はなさそうだ。ここもあまり持たないかもしれない。帝国軍すでに迫っている(しるし)だ。早くここを出て、もっと奥の都市に逃げよう」


さすが姉さん、判断が速い。


「了解、姉さん、」




僕たちは、街の裏の門をめがけて走り出した。


◇ 自由連邦軍第9練兵場


「本日は急な義勇兵の募集に集まってくれてありがとう。私はグリンフェレスという。階級は大佐だ。よろしく頼む。まず五雄剣次席エレンティア将軍閣下から激励のお言葉をいただく」

エレンティアの副官である女性の軍人が指示を出す。


「義勇兵諸君、よく来てくれた。我はおまえたちの勇気に深く感動した。しかしながら、戦闘に未熟な義勇兵を先頭に出すわけにはいかん。ゆえにここである程度の訓練と選抜を行う。選抜に漏れてしまっても後方で任務に努めてもらうことになる。自由のために我とともに戦ってくれ。」


国民的英雄である五雄剣直々の激励だ。

集まった多くの義勇兵は、目に熱いものを浮かべて雄たけびをあげる、


だがそのあまりにも統一感のない声に、グリンフェレスは溜息を漏らす。

「エレンティア閣下。この義勇兵、使い物になるのでしょうか。」

「うむ。まあ大半は後方任務になるだろうな。だが後方任務に人手が割けない今、後方の人材は貴重だ。それに第3席のブリテスが言うように一部には使い物になりそうなやつがいるようじゃな」

義勇兵志願者が準備運動を始める。


「義勇兵諸君、訓練はこれにて終了だ。つらい訓練によく耐えてくれた。」


義勇兵は満身創痍で、先ほどのような雄たけびを上げるものは誰一人としていなかった。


「まがりなりにもこれで自由連邦軍の兵士だ。諸君らの奮戦を期待する。では、これより選抜した前線に出て戦う者を発表する。」


********************************


「…以上15名。これにて解散とし、配属は追って通達する」



「閣下、やはり今回の義勇兵募集はあまりよくはないような気がいたしますが。」

グリンフェレスがエレンティアに尋ねる。


「なぜだ?グリンフェレス」

「この段階で義勇兵を募っても、軍として統率力にかけることになるのではないでしょうか。それに、スパイが紛れ込む可能性があります。」

「ああ、その通りだ。正直、我も反対じゃった。だがブリテスがつよく推すものでな。まあ確かに、幾ばくかは使い物になりそうなものもおる。蜘蛛の魔物に対抗しなければならないことを考えると致し方ない」

「蜘蛛?」

「なんじゃ、魔物のことを聞いていなかったのか?我は話したつもりじゃったが」

「いえ、敵は魔物を擁しているらしいということしかまだ伺っておりませんが」

「ちょっとまつんじゃ、グリンフェレス。おぬしに魔物の話をしたのはいつじゃった?」

エレンティアは深刻そうな顔で尋ねる。

「五雄剣筆頭ガウェン様がお亡くなりになった直後です」

「そうか…」


(いったいどこで我は魔物の正体を知ったんじゃ?)




「エレンティア様にご報告いたします。敵軍擁する魔物は蜘蛛のような外見で、小隊1つを壊滅させるほどの戦力とのことです。数は不明です」


「その情報が本部に伝わったのはいつじゃ?」

「つい先ほどとのことですが、なにか気になる点でも?」


エレンティアの脳裏に先日の会議の光景がよみがえる。


(ブリテスはあの会議でまるで帝国が魔物を擁していることを知っているかのようなふるまいをしておった。知らずのうちに聞き流しておったが、あの時点でまだ魔物の情報わかっていなかったのに)


「ブリテス、まさかお前…」


「グリンフェレス。馬じゃ!ここへ馬をひいてこい!」

「はっ!」

「グリンフェレス、説明はあとじゃ。急ぐぞ。」















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