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雨のワンダーランド  作者: 針間有年
6/6

出口

 気づけば住宅街の真ん中に一人、立っていた。その手に傘はなかったが、灰が肌に張り付いていた。

 空を見上げる。目に雨粒が入った。痛みに涙が溢れた。

 彼からの受け入れがたい言葉が、私の決意を揺らがせた。


   *


 数年が経った。

 書店にあの街のガイドブックが並ぶことは、もう、ない。街が消えてしまったのだ。

 私は彼の最後に立ち会うことができなかった。

 片手に傘を、片手に花を持ち、私は霊園に向かう。それは初めてのことだった。

 静かに手を合わせた後、私は新たな決意を彼に伝える。

 帰り道、畦道の中、私は傘をたたむ。湿った空気を肺いっぱいに吸い込み、その雨を一身に浴びる。

 彼の最後の言葉を噛みしめ、私は私に誓う。

 私は、生きる。

 だから、さよなら。私のためのワンダーランド。

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