【盲想】もうそう
この小説は、私小説と呼ばれるものである。実際、そう呼ぶのはおかしいのかもしれないが、私がそう呼びたいから、そうなのである。
これは屁理屈であるだろうか?……いや、自分は、そんなことはないと思う。なぜなら、自分がそう思うからだ。
それだけである。
厳密にいうと、この話はフィクションである。実際に現実で起きたわけはないし、登場する人物も団体名も、一切関係ないのである。ただ、これから私が語る話は、現実で起きても十分おかしくない話なのである。この小説を書く理由は、
それだけである。
さて、『彼』はごく普通の学生である。いや、ごく普通という表現はおかしいのかもしれない。、、、彼は、、、ごく普通な「はず」の「学生」なのである。
私は彼のことをよく知らない。なぜなら彼は私の夢に出てきた、それだけの存在だからである。皆は彼のことを「アイディア」呼ぶのだろうか。まぁ、君「たち」が彼をどう呼ぶかは勝手だ。そしてそれは何の問題でもない。
ただ、名前が無いとなると私は小説の中で「彼」と呼ぶことはできるが、登場人物が彼のことを「彼」と呼ぶのは違和感を持たないだろうか?……持つだろう?持つのだよ。だから彼に名前を付けることにした。仮の名前だが、ないよりはよっぽどいいだろう。
『雨宮千鶴』、彼の名前だ。