只今、プリン販売の準備中です。一方、遠く離れた所では、おかしな令嬢が…? それを見ていた伯爵子息が思った事は。
今回は、お菓子作りをメインにしたつもりです。そして、今回ラストの方だけ別視点です。
土の曜日の午後。(この世界では、曜日の前に“の”が入っている)。前もって、一部の人達には予告してある、明日販売するプリン作りを始めようと。材料であるミルク、卵、砂糖を用意していた時。
「ああー…この前はやらかしちゃったから次のアルバイトを受ける時は、色々気をつけないとなぁ。あっ、そうだ…!」
ふと。この間、スタミナ切れで倒れてしまい、ルッツさんに迷惑をかけてしまった時の事を思い出した私は、フランスパン(みたいな形と固さのパン)を鞄から取り出し、買った次の日に三分の二は朝食に。残りはそのまま鞄に仕舞っておいたパンを二センチ位の厚さにスライスする。
(三枚か――…ちょっとしたおやつには良いかな?)
スライスしたパンを、お皿に並べて。乾燥しないように濡れた布巾を被せておき、プリンの材料と一緒に並べて置いた。(ちなみにゲーム同様に鞄の中と。例えるならば――…そうだな、みかん箱二箱分を横に並べたくらいの大きさの一般的な“保存箱”に入れてある食材や食べ物は劣化する事が無い。本当に不思議な物だよ…もしかしたら、他の町や国には魔法使いが居るのかも? って思っちゃうよね)
材料は揃っているし。私のおやつではなく、ルッツさんに差し入れとして、フレンチトーストも作ろうと思ったのだ。
さて。プリン用の容器には予め作っておいたカラメルソースが入っている。先程準備をしたミルク、卵、砂糖を混ぜたプリン液をそこに流し込み、弱火で蒸し始めたと同時に。もう一つある空いているコンロ(コンロは古物屋さんで見つけた物で結構な年代物ではあるけれど、手入れはしてあって、充分使えるし、少しオマケもしてくれて安く手に入ったんだよね)にはフライパンを乗せ、そのフライパンを温めてバターを溶かす――…
「んー、食欲をそそる匂いだなぁ」
…――プリン用とは別にして少し残しておいた材料で作ったフレンチトースト液に、数分浸しておいたパン(浸す時間は好みによって違うかな)をフライパンに乗せて。片面ずつ、こんがりとした焼き色が付くまで火を通していく。
そして、数分後。
「出来た!」
焼き立てホカホカのフレンチトースト(おまけに良い匂いだ)は、すぐ食べても美味しいのだけど、今回は差し入れ用にするので、少しテーブルの上に置いて冷ましておく事にした。
「ジャムも冷めてから乗せた方が良いよね」
ジャムの入った瓶は使う時に鞄から取り出す事にしよう。
「うーん、プリンはまだ少し時間がかかるなぁ。あ、でも火はそろそろ止めておいた方が良いかな。粗熱も取らなきゃだから――…うん、まだ余裕あるね」
と、少し時間が出来たので。
フレンチトーストを作ったフライパンとフレンチトースト液が入っていたバット等をシンクに置いて。空いたコンロには鍋に水を入れた物を置いておく。
「えーと、あったあった」
鞄から、この前食材屋さんから買ってきたジャガイモを二つと、マヨネーズ(異世界モノだとよく、マヨネーズを主人公とかが作って『わあ! 何、これ! 美味しい! こんなソースは初めてよ!』とか周りに好評だったりするパターンをよく見掛けた…気がするのだけれど。少なくともこの町では普通に買える品だったりする。勿論作る事も出来るけどね)を取り出し、ジャガイモは水でよく洗ってから皮を剥き、さいの目切りにした物を鍋の水が沸騰してから入れて、そのまま煮始めた。
「さて、今のうちにフライパンやバットとか洗っちゃおう」
洗い物を終えて。丁度プリンが蒸し上がってから十数分。粗熱が取れているのを確認した後にプリンを冷蔵庫へと入れ、プリン作りは完了した。またフレンチトーストも、イチゴジャムを乗せて、ランチボックスに詰めた後。(可愛い紙のボックスとかあれば良かったのかもしれないけど、そんなものはウチには無いので、これで勘弁して貰おう)鞄に仕舞い、次は鍋の方に取り掛かる。
「こっちも、そろそろ良いかな」
茹で上がったジャガイモをザルに移し、少し冷まして。
マヨネーズと塩、胡椒で和えた物を作った。
これは、今日の私の夕ご飯だ。飲み物はミルク。充分だろう。
少しは節約になるかな〜? と思ってのメニューだったりする。(前世でもよく食べたなぁ、これ――…あ、あれ? 前世の私、生活は大丈夫だったの? ゲームにばかり注ぎ込んでいたんじゃ――…ははは。これは思い出せないままで良さそう…)
一方、その頃。王立学園・某所にて。
警備隊の制服に身を包むガッシリとした男性二人が、一人の少女を呼び止め、警備隊所属証を、それぞれ呼び止めたベビーピンクの髪色を持つ少女に見せてから。
「ユリア・スイートア男爵令嬢ですね?」
「実は先日、とあるお宅に不審者が現れたと通報がありましてね。ちょっとお話を聞かせて貰いたいのですが、警備隊までご同行願えますか?」
不思議そうな表情を浮かべていた彼女は、その言葉を聞いた途端。真顔になり――…
「ああっ!? 待てっ!!」
「追うぞっ! 逃がすな!」
…――脱兎の如く逃げ出した。
「……」
その一部始終を。将来は騎士か警備隊入りを目指す正義感が強い、とある伯爵家の少年が見ていた事を。ベビーピンク色の髪の彼女は知らない。
(『婚約者のアイラ様はお元気ですか?』とか『なぜ、アイラ様とご一緒ではないのですか? 喧嘩でもされたのですか? ヨシュア様、元気出して下さいね』とか、俺に婚約者は居ないと何度言っても聞いていないし、頭がおかしいんじゃないかとは、思っていたが…まさか、警備隊の世話になるような事をしているとは――…。殿下にも近付こうとしているようだったし、今よりも警戒して頂くよう進言しておこう――…)
ここまでお読み下さりありがとうございます…!!




