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兄様がやって来…ぜ、前世の推しが出て来た!! 


いつもお読み下さりありがとうございます…!!

 「おっ、ここだな!」

 「そうみたいです、行ってみましょう」


 商業区(『一番星』もだけど、他にも食材・飲食店等、店が集まっているから、そう呼ばれているらしい。ちなみにギルドも商業区に入っている)から、工業区へと入り、リリナさんに教えて貰った住所を訪ねると『外装・内装業、承ります。』そして、よく見てみるとその横に小さな文字で『カゴ等の小物、作りまス。修理は要相談でス』と書かれた木の立て看板が店の入口脇に立ててあった。


 ガラガラと、やや年代を感じるような色合いの引き戸を開け、中に入ると、壁に立て掛けられた数枚の板や、作業台らしき木の机が視界に入ってきた。そこには刷毛やペンキ缶、定規、鉛筆等が置かれている。そして、トントントン! と。金槌か何かで釘を打つようなリズミカルな音も聞こえていたのだけど――…


 「ごめんくださーい」

 「ハイ。ただいマ!」


 …――それは店の奥から少し変わった発音での返事が返って来るのと同時に止まったようだ。


 (あの言葉の感じは――…“彼”だ。それと、作業の邪魔しちゃったかな…うーん、申し訳無い)


 彼はルッツさんやルネさんと違い、他国の出身だ。だからなのか、話し方にクセがあるのだ。


 「イラッシャイ」


 褐色の肌に、キリッとした明るい菫色の瞳。白に近い明るい灰色の、ゆるふわパーマが掛かっているかのような柔らかそうな長髪を緩く一つに結んでいる、背は高くスラリとしているけど筋肉もついている(細マッチョってやつ?)というスタイルの十人中十人がイケメン・美形と言うだろう、女主人公の婿候補、最後の一人が現れた。


 (実は前世では彼推しだったんだよね――…ヤバい。格好良い。片言な話し方もイイ! はぁ、やっぱり好みだなぁ)


 「っ、こ、こんにちは! 私、街の外れで牧場をやっているアイラ・クレスターと言います。こちらは兄のアルフレッドです」


 推しが目の前に居る事に対し、つい、ニヤニヤとしそうになるが、んんっ! と咳払いをして誤魔化した私は、最初に自己紹介をした。


 「アイラサンは知ってル。この前、ルネとプリン買いに行っタ。混んでいタ。だから話はしなかったナ。あのプリン、とてもうまかっタ」


 ニコ、と微笑むテトは尊かった(あ、まだ名乗って貰ってないな。名前呼ばないように気をつけよう)…じゃなくて。しっかり話しないと!


 「喜んで貰えたのなら嬉しいです! また来月にもプリンの販売をさせて頂きますので宜しかったら、またいらして下さい!」


 『おい、アイラ。話ズレかけているぞー』と兄様が言い『そうでした!』と、私はテトに壁紙の貼り方を教えて貰いたいので店長さん(親方さんとか言った方が良いのかな?)は、居ますかと、尋ねると――…


 「アー…オヤカタ、今日から暫ク、隣街へ仕事行ってテ、戻るまデ一週間から十日はかかル、言ってタ」 


 …――オウ。タイミングが悪かったようだ。


 「マジか。俺も騎士団の仕事があるから明後日にゃ、一旦王都に戻らないと駄目なんだよなー」


 ん? 兄様『一旦』とは? またすぐ来るって事? まあ、今は置いておくとして。


 「困りましたね。うーん、どうしようかな…」


 前半は兄様に、後半は独り言のように呟くと。


 「あのサ、よけれバ、オレがクロス貼リ教えるシ手伝うガ、どうダ?」

 「えっ!? テ…お兄さん、何か作業中でしたよね!? 良いんですかっ!?」

 「ん。頼まれてた物を直してタ、もう直し、ほぼ終わっタ、問題なイ」

 「そうだったんですね! ありがとうございます、お兄さん! 助かります!」

 「いや、オレもベンキョウになるから助かル。あ、ナマエ言って無かったナ。オレ、テトヴィアナ。長いかラ、テトと呼んでくレ。じゃ、オカミサンに話してくル。少し待っててナ」

 「はいっ!!」


 そうい言い、テトは店の奥へと戻って行った。


 「〜〜〜っ!!(やー、もう! ニヤけても良いかな? 良いよね!?)」

 

 た、棚からぼた餅とはこの事か――…!!


 「ア、アイラ? お前何だかテンションが高くないか?」

 「えっ、気のせいですよっ、兄様!!」

 「お、おう」


 兄様がちょっと引いていた。(そう言えば普段とは逆だな…いつもは兄様のテンションが高いし)


 

ここまでお読み下さりありがとうございます…!!

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