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兄様がやって来た!! 1

 次の日。いつも通りに牧場や畑仕事を済ませて小屋に戻った私は、キッチンで簡単にサンドイッチを一つ作り、それを昼食にはまだ少し早い時間だけれど、モグモグと咀嚼し、片手にはミルクの入ったコップを持ちながら。


 (うーん、今日は一日晴れみたいだし、時間にも余裕がある事だし――…)

 

 街でアルバイトをして来ようかな?(ちなみに布袋の中身は少しの間、質素な食生活ならば出来る。といった感じだった)と、考えていた時だった――…


 バァアアン!!


 「こぉーこぉーかあぁーっ!?」


 ノックも無しに勢いよく小屋の扉を開かれ(ちょっ、まっ、えええぇっ!? そんな勢いよく開けたら扉外れちゃうからっ!!?)混乱しながらも入口に顔を向けると――…

 ややガッシリとした体型で、白を基調とした王立騎士団の隊服を身に着けている、顔立ちは、やや濃いめのイケメン(目や髪は私とほぼ同じ色合いをしている)…我が二番目の兄、アルフレッド・クレスターがそこに立って居た。


 「は? …はああっ?! ア、アル兄様っ!?」

 

 えっ!? 何で、アル兄様が牧場ここに居るの!? 連絡とか何も聞いていないし、手紙も届いていなかったよ!!?


 「よーう、アイラッ! ひっさしぶりだなー! 元気にしていたか? ちょっとコッチに来る用があったから、ついでに寄ってみたんだ! それにしてもなー、家らしきものが全く見つからず、物置小屋しか見当たらなかったから開けてみれば、まっさか本当にここに居るとはなぁ――…家が無いとか一体、何があったんだよ? ほら、兄様に話してみろ!」


 いやいや、何もないし。家は元から小屋だし。小屋だけど物置小屋じゃないし、最初からここに住んでいるし。と、話したら。


 「アイラ…お、お前。家族で初めてここに来たのが野宿の経験もある騎士の俺だったからよかったものの、これが…ガーにぃや、母さんだったら、卒倒モノだぞ!? ちなみに親父なら、この小屋を見た瞬間に真顔で無言は間違いないな! まさか、こんなボロボロの小屋でお前が暮らしているとはウチじゃあ誰も思ってもいないからな!」


 野宿よりは大分良い生活ですよ、アル兄様。と、思いつつ。


 「まあ…はい、確かにボロボロなのは認めますよ、兄様」


 うんうん、と頷く。これは確かにガーヴィン兄様(ヴィン兄様と私は呼んでいる)や、母様には見せられないなー。強制送還させられそうだ。ある意味父様にも、か。


 「だろ!? …――まあ、でも少し牧場の方も見てきたが、どの動物も体格良いし、穏やかな顔で幸せそうだし、畑も中々様になっているようだ。頑張っているんだな、アイラ」

 

 アル兄様がニカッと爽やかな笑顔を浮かべて、私の元へと来ると、ワシャワシャと頭を撫で回してくれた――…兄様、力が強過ぎて痛いです。


 「っし、そんじゃ、そんな頑張るアイラの為に兄様が、この“小屋”を“家”に進化させてやろうじゃないか!」

 「は? いやいやいや、何をするおつもりですか? 改築費用なんて私持っていませんよ?!」


 まさか、父様みたいに真顔で無言の後に『こんなものは家とは呼べない。すぐに新しい家を建てさせる。費用は、お前は気にしなくていい。なに? この小屋はどうする、だって? そんなものは潰してしまえばいいだけだろう』…――なんて事をするつもり!? (…いや、今のは単なる想像よ? 実際にはやっていないし、そもそも父様は小屋うちに来た事も無い訳だし)


 「費用については気にすんな! まあ、あれだ。俺もアイラをあまり甘やかすなよ、と親父達に言われてるからな。そうだなー、せいぜい小屋の外観とー、中も、か? 少し手を加えてやる位だ。それ位ならいいだろ! でもさー、この状態を親父達が知ったら間違いなく、こんな小屋はサッサと潰せ。家は俺が建て替えさせる! とか、アイラ! 貴女、今すぐクレスター家に戻りなさいっ! とか言いそうだけどな! あっははははは!」


 あっははははは! って。笑えません、兄様。私も似たような事を考えていましたから――…ははは。




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