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プロローグ②
西暦2046年
ことの始まりはアメリカのゲーム会社が、長年人気だったが、ユーザー数が減ったことにより、オンラインゲーム『ワールドオメガリング』の終了を決定し、プレイヤーに周知したことで事件が明るみになった。
運営側に、連名のメールが届いたのだ。
『我々は、ワールドオメガリングにログアウトをせずに住み続けているプレイヤーです。精神体のままで存在しています。ゲームが無くなると、我々は消滅してしまいます。ゲームを存続を希望します。』
運営側も最初は半信半疑だったが、調べてみると、ログアウトせずプレーをし続けている者、居ないはずの村人Xになっている者、様々な精神体が居たのだ。
肉体が、滅びると精神体も亡くなるはずであったが、犯罪者がハッキングしてデータを書き換えて、プレーヤーがプレー中に体を乗っ取り、プレーヤーは精神体のままゲームに居続けることが出来るようになっていた。
その為、プレーヤーは自分の体が今、どのようになっているか知らなかった。
運営側が、プレーヤーの精神体を元の体に戻そうと探していくが、殆どは行方不明になっており、見つかっても他の精神体に乗っ取られ犯罪を犯していたり、死んでいたりしていて、戻るのが困難な状態になっていた。
プレーヤーも、現実世界が嫌でゲームの中で生き続けたい為に、あえて犯罪者に自分の体を提供した者達が殆どだった為に、今まで問題が公の場で発覚してこなかった。
これには、世界中が戦慄した。
いつ、自分や自分の身内が体を乗っ取られるか分からないからだ。
今回は、たまたまゲームではあったが、人びとが精神型ネットの依存は強く、世界中の6割はしていると言っても過言ではないだろう。
肉体を乗っ取った犯罪者側に聞いてみると、乗っ取りをを専門にしているプログラマーがいるとのこと。。
それ曰く、元の精神体の同意がないと肉体が馴染み難いということもあり、無理やりではなくゲームの中で生き続けたい人を探して行っていたとのこと。
しかも、元の精神体を消失させて肉体を乗っ取ることも可能であるとのこと。
今回は、ゲーム内に精神体を残すやり方であったが、意外にお互い合意の上で人格を交換している者達が複数いるとのこと。
そこで、世界で話し合われ出来たのが、プログラマーと精神科医の知識をあわせ持つ、『精神交換専門医』だった。
精神交換医の主な仕事は4つ。
1、ネット関連の精神犯罪の未然防止。
2、犯罪者の精神体が本人かの確認。
3、精神犯罪に巻き込まれた被害者の治療。
4、人格交換希望者を法に基づいて行う。
日本でも西洋より少し遅れたが、西暦2050年に6名の精神交換専門医が国から許可される。
その一人、最年少の26歳の佐々木泰樹であった。