ある夜の煙
大学三年生の主人公は、いつも通りの退屈な日々。
入学当初憧れていた、キャンパスライフに心踊らせ、初めての体験ばかりだった。
しかし、それが今では日常となり学校と家とバイトの繰り返し。
そんなある日、眠れない夜に出会ったある存在が主人公を日常から非日常へと連れて行くのであった。
大学生3年生の僕は、大学に行ってバイトに行くか、大学に行って家に帰るという平凡な毎日を送っていた。
「今日も暑いし、大学に行ってもスマホいじってるだけか〜。」
そんなことを思いながら大学への道のりを歩いていた。
大通りから横にそれる砂利道、左側には手入れされてない雑草、右側には金網越しに池。
こんな道でも正門を通るよりは早く教室に行ける。
「梅雨なのにこんなに暑いと学校にも行くのもいやになるわ。」
大学生じゃなくても誰しもが思う梅雨の暑さ。夏至も過ぎ暑くなるのが日に日にわかってくる。
そんなことを考えながら、イヤホンからかかってくるアニソン、洋楽、ロック。
音楽は、一日中聴きながら過ごすのが僕の1日だ。
教室で、専門科目のプリントに必要なところをメモしながら、スマホでゲームやネットサーフィンをする。
授業が終わり、喫煙所でタバコを吸う。一緒に授業を受けていた友達とベンチに腰掛け、いつもの銘柄に学生が使っているはずもない一昔も二昔も前のオイルライターで火をつける。
「この授業、いつも通り楽なんだけど、ひまだよな〜。」
「確かに。でも出席せんとプリントもらえんからね。」
こんな風に、授業に行くのがだるいという会話はいつも通りだ。
授業が終わり、バイトに行き、バイトが終わる。 いつも通り、夜中の0時。
バイトの時にバイクを駐めているいつもの駐輪場から、300円を払いバイクを出す。
黒いアメリカンの400ccのバイクに跨り、家路をたどる。
そう、いつも通り。バイクの排気音の心地よい音。日常通り。
家に帰り着きロフトに敷いている布団に横になり、スマホでネットサーフィンで眠気を待つ。
しかし、今日は数日に一回くるなかなか眠くならない日だ。こんな時は、ベランダでタバコを吸う。
僕の吸っている銘柄は、50代のおじさんが吸っているというイメージの強い、重たい銘柄だ。でも、この重たさが、みんなとは違って結構気に入っているが、周りからは、こんな重たいタバコ吸っているなんて驚かれる。
ベランダでタバコを吸っていると、何やら聴きなれない声がした。
『そなた、われのちからで人々を導いてくれ』
そんな声が頭に響いた気がする。
そんな感覚がした気がする。そんな曖昧な感覚だ。
でも、それが僕のいつも通りの日常が、非日常になるきっかけだった、、、