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03 なんか、思ってたんと違う2

 にしてもびっくりだね、車に轢かれそうになっても車が避けていったり、人質に取られても自力でなんとかしたり、そこそこ重症の食中毒で死ななかったりって、どうやって死ぬかが全然予想できないんだけど。まさか、食中毒で病院いって、着いてすぐにトイレ行ったら、ちょっと楽になって、医師にぜんぜん大丈夫、なんともないよって言われたって聞いた時はガチでびっくりしたんだけども。


「で、その日はすぐに帰って寝たんですけどもね、問題は寝た後のことです。どうなったでしょうか」

 問題ですか!! そこ普通問題出す? びっくりしますよ。んー、寝た時か、ベッドから落ちたとか? いやいやうちは布団だし、じゃあ、家が火事になったとかか? そんなわけでもなさそうだし、上から何か落ちてきて息ができなくなったとかは......ありえる。

「惜しいね、正解は普通に30秒くらい息してなかった、でした」

「お、惜しい、じゃねぇー。なんで上から何も落ちてこないで息が止まるんだよ」

「それはね、君の気管が普通に詰まってたからだよ。確か、君たちの言う無呼吸症候群ってやつさ」

「お、おい、セルビス、口調戻ってるぞ!!さ、さ、佐々木さんの前ではしっかりしろとあれほど言ったのにぃ」


 おっと、ほとんど忘れてたけど神様いたんだった。いや、佐々木さんて、そいつとかでいいじゃん。丁寧に言ってもその方とかさ他にいろいろあったでしょ言い方がさ。それと、しっかりしろって何だろ、自分の家はすごいんだぞって自慢する子供とか、出合い系サイトで偽った情報を入れて婚活しようとする人じゃないんだから。まさか、僕のことを女の子だと思ってて、結婚したいって考えてるわけないし......。

 セルビスさんの方を向くとなんかびっくりしている様子だったが神様が睨んでいることに気づいてすぐに真顔になった。


「次の日あなたが起きてからですが、トイレに行く時にタンスの影からゴキブリが出てびっくりしたあなたは転倒し、頭を打ちました。頭を売った場所があと2ミリずれていたら、あなたは慢性くも膜下出血で亡くなっていました。すぐにというわけではないですが」

 死亡理由がゴキにびびって頭打って死ぬってのは嫌だからね。


「その後あなたは学校に向かいますが、あなたの頭上に花瓶が落ちてきます。しかし、どこからか飛んできたサッカーボールが2個飛んできて顔面と腹に当たり、あなたはよろけてなんとか花瓶を避けました。因みに花瓶が落ちてなくても、そのまま十歩ほど歩いていたら、上から鳥の糞が落ちてきて、あなたの頭に当たるところでした」

 鳥の糞が落ちてこなくてよかったね。うん。結局、俺は何で死ぬんだよ。


「あ、それは、告白してきた人がいるじゃないですか、その人に刺されます。その人が動機は? って警察に聞かれたら、千鶴に告るために彼女と別れたんだぞ。あいつが男だなんて思わなかったんだよ。あいつが男だとわかった後で、彼女とよりを戻そうとしたら断わられたんだ。その後も、いいことなんて何も無い。全部あいつのせいだ!! って警察に叫んだらしいですよ」

 なんかまだ半分しか読んでないミステリーの本の犯人と犯行の動機をネタバレされた気分だわ。本当にそのとおりなんだけども。それにしても、か、完全な逆恨みじゃないですかぁ......。


「死ぬ可能性があった場所があと2箇所あったんですが、聞きます?」

「お断りします」

 即答である。結末のわかったミステリーほどつまらないものはない。


「これでだいたい思い出してくれたと思うので、そろそろ本体に入ろうと思います」

 本題って、異世界転生とか? あなたに新しい人生をさずけましょうって感じになったりとかは、ないよなぁ。

「はい、多分ないです。流石にコレばっかりはルシファー様の口からどうぞ」

 ......ん? あ、神様ってルシファーって言うんだった。なんかすっごいもじもじしながら来てるんですけど!

「フ、フヒ、ぼ、僕と、け、け、けっ、結婚し、して、く、くくく、くだしゃい!フヒヒ、フヒッ」

 なんか、コミュ障悪化してない? てか、笑い方がフヒって、それは卑怯だ。どのようにとは言わないがとても卑怯だ。......今なんてった? 結婚したいって言ったのか? 僕と? 神様が? ふぇ?

「はい。確にルシファー様はそのように仰られました」

「え、僕、男ですよ?」

「うっえぇぇぇえ!?」

 変な声を上げたのはもちろん神様である。僕のこと、女の子だと思ってたのかな? いやいや、まさか間違えるわけないよね。神様だし。心も読めるだろうしさ。......まさかだけど読めなかったりします?

「はい。しますよ。学校行ってないんで、ルシファー様は」

 にこやかに答えるセルビスさん。そのセルビスさんに今にも掴みかかりそうな神様が、走り出した瞬間......止まった? この空間で止まっているのはおそらく神様だけだ。


「お、やっと休めるな」

 は? え? 自分の主人が止まってるのにこの人はなにしてるの?

「ん? ああ、1日に1回、決まった時間に1時間だけ神と天使以外の時間が止まるんだ。普通はね、でもあいつは例外。一時間くらいしたら元に戻るから大丈夫だよ。特殊な魔法みたいなものを覚えてないとあいつみたいになる。お前には俺がかけたから動ける」

 あいつって神様のことかな? えーっと、そのへん詳しくお願いできます?


「えーっとだな、ここは、天界としておくが、ここ天界には、いろいろなものがあるんだ。例えば法律とか、学校とかだな。人間界とほとんど変わらないんだ。もちろん義務教育というものもあるから、普通の人は中等学校まで通うんだが、あいつはいわゆる、不登校のひきこもりって感じな位置づけだ。ここまでは分かるか?」

 かなり噛み砕いてくれたからかなり分かりやすいかな。


「うんうん、それは良かった。で、続きだが、さっきも言ったとおり、この天界では1日に1回、決まった時に1時間だけ時間が止まるんだ。その事実と、対処法が知らされるのが学校というわけだ。ちなみに相手の心を読むのは、高等学校のある学科で学ばないといけないし、これを会得してないと人間の相手をする職業には就けないから、その学科がある高校は毎年倍率がえげつなくなるからな。」

 セルギスさんがすっごい遠い目をしている。どれだけ大変な思いをしたんだ......。


「あ、そうそう、あいつはかなり頭おかしいから気をつけてね。こうなっちゃうと多分君は転生させられるんだけど、最悪の場合は、近くに水のないところでオタマジャクシ吹っ飛ばしてカエルとして生まれるか、汚い川であゆみたいな魚として生まれるかだね。良くても、人間の男の子としては転生できないと思うよ」

 僕の人生終わった。恐らく今の僕を見ると、僕の周りだけ暗くなっていることだろう。

「まあ、俺も最善を尽くすよ。あいつの被害者同士仲良くしようぜ」

 せ、セルビスさんがすっごい頼もしく見える。

「あいつが来たせいで何もかもめちゃくちゃだ。ただでさえこの仕事はブラックなのに、婚約者は取られかけるは、仕事できないのに口出してくるは、挙句には、運悪く亡くなった人に告白するは、ちょっとはこっちの身にもなってほしいんだよな」

 その告白された人って僕のことだよね?

「そうだよ。中学校出てれば男だってわかったのにね。君に告白したいって聞いた時は大学の頃の仲間と大笑いしたよ」


 学校で女子とか男子とかのきせかえ人形みたいに扱われたことならあるけど、笑いの種にされたことは初めてだよ。

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