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聖騎士アレス

”あなたの存在が、女神たちに知られてしまいました”

この声は

異世界に来る時、話した女の人の声だ。


”彼女たちは、あなたを排除しようとしています。気をつけて下さい”

女神。神様に排除。

なんで?


「なんで、俺が。。」

質問をしようと口を開くと、

俺は宿のベッドの上で

起き上がっていた。


外はまだ暗い。

となりでは、リサが静かに寝息をたてている。


怖い夢だった。

もしこの世界を管理している女神様に目を付けられて

排除されることになったら。。

考えただけで怖い。


なんだか嫌な予感がしたので、

宿の部屋に置いていた荷物を異空間スペースに収納した。


予定よりすこし早いけど、

朝になったら、この町を出よう。


リサの髪を撫でながら、

次に目指す予定の町を検索するため

地図魔法でマップを表示した。


おかしい。


夜中なのに、

町の周辺に人が集まっている。


これって、囲まれていないか。


転移かなにかだろうか?

人の増え方がおかしい。


急いで着替えて、リサを起こす。

マップで町の様子を確認したが、

町の人はみんな寝ているようだ。


夢の内容が、頭の片隅に浮かぶ。


まさか正夢かと、不安に思いながら

リサにバリアを設定し、

いつでも動けるように待機しておくように指示して

宿から出た。


「なんだ、これ」

月明りの下、

漆黒のオーロラが町を囲んでいた。


そういえば、静かすぎないか。

この異様な景色に誰も気づいていないのか。


急いで宿に戻り、リサの手をつないで

瞬間移動で町から出ようとする。


だが、

大きな壁にぶつかったような衝撃が

全身を包み、元の場所に跳ね返された。


町の外に出れない。

あれ(オーロラ)が原因か。


そう理解しながらも

次の手が思いつかず

胸を締め付ける恐怖と、

焦りで思考が鈍くなる。


オーロラは徐々に、

黒い霧となり

町全体に広がっていった。

月も消え、視界が悪くなっていく。


これは現実だ。

間違えたら、死ぬかもしれない。


恐い。

死にたくない。


ただ、

行動しなかったら

最悪、敵に捕まって死ぬ。


大きく深呼吸をする。

覚悟が決まった。


行こう。


「リサ。空間魔法で安全なスペースを作る。

 その中で待っていてくれ」

リサは、空間魔法で作った異空間スペースに避難させた。


おれもそこに隠れようか。


いや、町から出れない状況を考えると

相手の方が数段、上手な気がする。


これ以上状況が悪くなる前に

なんとか、この町から脱出する方法を探したほうがいい。


マップを確認しながら

門と反対方向に走る。


やっぱりおかしい。

起きている人の反応が全然ない。

町の人、全員が寝ているってことか。


走りながら、

マップで起きている人を探し続けていると、

冒険者ギルドで、動いている人の反応を見つけた。


再度、瞬間移動での移動を試みると

移動できた。


「誰かいますかっ!」

ギルドの入り口で、大声で呼びかけた。


「ユウキさんですか。」

レティさんだった。


マップで確認する。彼女ひとりのようだ。


「ギルドマスターは、いますか」

あの人がいれば、

なんとかなるかもしれない。


「マスターは、モンスターの納品のため町を離れています」

いないのか。選択肢がひとつ減った。


「いま町が黒い霧で覆われているんですが。

 あと、町の人もみんな寝てしまっているようなんですが。

 何か知りませんか?」


「漆黒の魔女のお話を

 聞かれたことはありませんか?」


「いえ。すみません知りません。」


「アルタード王国のゴッスウォルズという町が

 一晩で消えたそうです。

 住民も、建物も、壁もすべてが。

 遠くで見ていた人達によると、

 町は黒い霧で覆われており、

 門の前には、魔法使いの格好をした女性が立っていたそうです。

 その人たちも、いつのまにかその場で眠ってしまい、

 目が覚めた時には

 町があった場所は、深い谷に沈んでしまっていたそうです。


 セルフインドッジエンス共和国のジェルブロウ、

 聖キングダム王国のオーファーアイザルでも

 同じ事件が発生しています。」


この町も、現在

黒い霧に包まれている。


「町の人がみんな寝てしまっているのは

 魔法のせいかもしれないんですね。」


「はい。私は、

 スキルがあったので影響を受けていないんだと思います。」


確かに、レティさんは

状態異常耐性のスキルを持っている。


俺が無事なのは、バリアのお陰か。


「この町はいま、100人以上の人達に囲まれています。

 僕のスキルだと、それしか分からないんですが。」


もし漆黒の魔女が相手なら

この町の人達も危険だ。


あの夢が本当で、

これが俺を排除するための行動だとしたら、

他の人達は、巻き込みたくない。


能力・レベルが不明な相手が100人以上。

逃げるのが当たり前だ。

そして、町の人達も一緒に逃がしたい。


敵はまだ、町の外だ。


町の住民の位置をマップで確認する。

全部で3000人くらいか。


考えを整理し

レティさんの目の前へ

瞬間移動で移動した。


「あっ...」


とつぜん俺が現れたので驚かれた。


やはり、この町の中なら瞬間移動は使える。

これなら出来るかもしれない。


でも。この霧の原因が漆黒の魔女ではなかったら

もし、この町を囲む人たちが敵ではなかったら

本当に、俺が考えたことを行動に移していいのだろうか


レティさんに、

自分の「瞬間移動」「異空間スペース」「マップ」スキルを説明して

考えたことを相談した。


彼女の「ぜひ、お願いします」という返事で

俺の覚悟も決まった。




霧が少し薄くなった気がする。

この町を囲む敵は、霧が晴れるのを待っているのだろうか。


時間がない。

瞬間移動で門の近くに移動する。

霧で姿は見えないが

門の前には、敵がいる。

鑑定魔法で、マップが指し示す位置のステータスを確認した。

-----

聖騎士アレス。

レベル230。

槍技スキルレベル70。

-----

なんで聖騎士がいるんだろう。

100人以上の敵が全員、聖騎士ということだろうか。


不安が大きく胸を締め付ける。

時間がない。


戦ったら、間違いなく負ける。急ごう


マップをたよりに、

敵ではない人の場所に瞬間移動して、

そのまま異空間スペースに転送する


門から少し離れた後は

建物ごと、転送していく


転送先で目が覚めた人たちへの説明は、

レティさんにお願いした。


マップをたよりに

移動と転送を繰り返す。

MPがすごい速度で減っていった。


門から、大通りをまっすぐ

冒険者ギルドの方向へ

建物を転送し続ける。


そして30分も経たずに

町の住民の転送がすべて終わった。




霧が晴れてきた。マップを確認すると

町を囲んでいた敵が移動を開始していた。


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