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「うおおおおお!!!」
誰かの叫び声が聞こえる。
ど、どうしたんだ...?
...てか、俺、今どこにいるんだっけ?
恐る恐る目を開く...と、目の前に丸眼鏡のお爺さんがいた。
瞳がすごく綺麗なお爺さんだ。...というか、俺を見てキラキラしているような気がしないでもない。
なんでかっていうと、このお爺さん俺の頬をずっと撫でてる。
そこまで肌綺麗じゃないぞ?人並みだ。
「あ、あの...?」
「神様じゃぁああ!!」
いきなり神様認定っ!?
「じっちゃん!良かったな!」
お爺さんの横にいた、茶髪の青年が、涙をぬぐっている。
え?なに?俺、神?
「あのバカ花魁が!あんな花魁見たことないわい!」
「もう、いいじゃん?新しい花魁も見つかったことだし。」
お い ら ん
?
花魁?花魁って、俺みたいな格好の?
は?
「君、花魁の格好してるし、花魁道中とかできるよね?」
「...俺、男です。」
「そりゃそうでしょ?この世界の7割は男だよ?」
「ここ、どこですか?」
「日本だけど...?」
「...」
少子化...と思ったのはおいといて、どういうことだ???
俺、汚い池に落ちただけのはず...ん?
臭くない!
俺がまわりをみてみると、本当に澄みきった水のなかにいた。
不思議と、濡れている感覚がない。
「時々、君みたいな不思議な人がいきなりあらわれるんだ。この泉。」
「帰れますか?」
「さぁ?帰った人は聞いたことがないけど。」
あー!!!!戻りたい!いや、やっぱりここにいても...
ん?花魁ってことは、男相手に接客しないといけないのか?
男の俺が?
うそうそうそ!?絶対無理だよ!
逃げよう!...あ。
茶髪の青年に、ガッチリ腕を掴まれていた。




