３
何故男子校に入ってしまったんだろう。
小さいころから人見知りだった俺は男の友情というものに憧れていて。
男子だけの方ができやすいのかと思い入学したが…。
見事に人見知りを発動してこんな状態だ。
三年たって今更素を出すのも気が引けるし…
ただ、物足りないのはやはりこれではいけないとどこかで思っているんだろう。
素のお調子者は、心の中でさえも出させてもらえなくなったようだ。
俺、可哀想だな。
そもそもこの容姿がよくないんだ。
心の中では結構なお調子者なのに、表情に全くでない。
一人でノリ突っ込みとか、ダジャレとか考えたこともあるし。
いや、この容姿は嫌いなわけではないな。
これだと可愛いカフェにいくときにあんまり浮かないからな。
彼女と遊びに行くときには、助かっていた。
無表情でスイーツを食べる男って…ちょっとひくな。自分で引いたもん。
まあ生まれたことに感謝はしてるよ。両親。ありがと。
ただ、熱いハートをあげ忘れただけなんだよな。
熱血になってみたいもんだなー…
あつーいあつーい…
熱い…暑いな？アツい？これはなんだ？
クンクン…
ん？臭いな。
火事かな？
みんなー逃げるぞー
「赤塚ぁあああああ！」
俺？俺なの！？なんで！？
「ヤバイぞ！下！下！」
下...。
下を向いた瞬間黒いもので視界が遮られた。
ボフッ
...熱い！！！！
そういえば、実験中だった！
焦げてる焦げてる！
あー…せっかくうまくできたんだけどなー。
先生にばれて…るよな。そんな目で見ないでくれよ。泣きそうだ。
って水！火消さなくちゃ！見てないでお前ら助けろよっ！
やけどしたくないんだよ！痛いのは昔から苦手なんだよ！
どうにか火は消えて、教室は静かに...ん？静かになった？？
なんでだ？いつもだったら実験中は動物園みたいなかんじなのに。
顔をあげるとクラス中の視線が自分に集まっていることに気が付いた。
あれ？皆顔が赤いぞ？
火傷？やばいじゃん？そこまで火が大きかったとは。
火傷の場合は…水で冷やすだったか？とりあえず保健室か？
智も赤くなっていたから、
「保健室、行く？」
と聞くと...
バシッ
「首傾げんな！！」
え！？
両ほほを手のひらで挟まれてしまった。
何気に痛いな。
「顔洗ってこい！！！」
智は両手をこちらに向けた。
よく見ると黒くなっている。
あーそれってもしかして…
後から鏡を見たら、パンダみたいな顔になっていたけど…そこまで大事にすることか？
相変わらず、変な奴らだ。
頑張って洗ったけどなかなか取れなかった。やっぱりマスクしておけばよかったな。
...クラスメイトが瀬那のパンダ姿が可愛らしくて赤くなったことには、全く気づかないのであった。
