それなんてチート?
図書館の文献をあさって私が手に入れた知識によると、女の子は彼氏に友達や知人へ自分のことを紹介してもらいたい。とのこと。
であるからして、今日は大学で自分と同じ趣味を持った一番の友達に彼女たちを紹介することにした。私たちの関係は彼氏と彼女と言うにはちょっと複雑で、少し違うと思うけれど。でもそれは建前で、本音は美しい彼女たちの事を自慢したかったのだ。
私の通う大学は、北は北海道、南は沖縄まで日本中から生徒が来ていて、中には留学生もいたりする。一番面白いのは”この学校にいるのは天才か、変人かのどちらかだ”ということ。ちなみに私は残念ながら後者だ。
私の友人もどちらかと言うと変人の部類で、妙に気が合う。彼の前だったら素の自分でいられる。私の大切な友人の一人だ。
そしてお互いに嘘はつかない。自分の意見を真っ直ぐぶつけることのできる友人だ。だからこそ彼を選んだ。
「実は私に新しい家族ができたんだ。」
「へー猫でも拾った?」
「この子たち」
差し出したスマートホンに映し出される画像を見て彼の顔から笑顔が消えた。
ごくり。
「いいか? よく聞け、誘拐は犯罪だぞ。」
「違うよ!!そんなことするわけないじゃないか!」
「ハハハ そうだな、からかって悪かった。」
涙が出るほど笑わなくたっていいじゃないか。
「で、このかわいい子ちゃんたちは、ほんとはどうしたの?」
「彼女たち、名前はアイとユイっていうんだけれど、俺が持っていたナイフなんだ」
「は?」
ここまで自分が経験した夢のような時間を余すことなく伝えた。
「つまり、剣太が血を着けた刃物が人の姿になって表れたってことか?」
「そうだ。」
(おいおいおいおいおい!!!!!てことはなにか??俺が何度も自分の愛刀と話せたらいいのにと思っていたことが剣太の力があれば実現すると…?俺がずっとほしくて仕方がなかった物を持つ、剣太のことが心の底からうらやましい。)
「冗談だろ…?それなんてチートだよ…。 講義のあと時間あるか?」
「あるよ、でも竹ちゃん今日はバイトじゃなかったっけ?」
同じ趣味を待っている私には、悪い笑顔をした竹ちゃんが何を言いたいのか聞かなくても分かった。
「バイトなんて今はどうでもいい。俺の家まで来てくれないか?剣太に会ってもらいたいナイフがいる。」
「もちろんだとも。」
彼の瞳は潤んでいて、今まで見たことがないくらい素敵な笑顔で
「ありがとう」と言った。
「私の血にはナイフに人になる力を与える反面、変な副作用があってナイフが心を見失うことがあるんだ。だから血を飲んだ経験のあるアイも連れて行ってもいいかい?彼女ならナイフだし、色々分かると思うんだ。」
「ぜひ、一緒に来てくれ!歓迎するよ。」