2度目の吸血(アイ視点)
マスターが血をくれるらしいのでもらうことにした。
絶対に逃げられないように馬乗りになる。少し、はしたないかしら?
マスターが恥ずかしそうに顔を赤らめているのは何ともそそる。
ユイ姉の時みたいにマスターに負担をかけすぎないように、ほんの少しだけもらうことにしよう。だって嫌われたくないから。
マスターは気が付いてないみたいだけれど、マスターからは凄くいいにおいがする。
とても美味しそう。
「今なら後戻りできますよ?」
「そんなこと許すのかい?」
「フフフ。まさか。 それではいただきます。」
そんなことするわけないじゃないですか。ただマスターが望むことであればこの行為もうれしかったに違いないと考えただけ。
マスターの首と肩の中間くらいに顔を近づけ、やわらかいお肉を口にくわえる。
自分の犬歯がマスターの体を貫いて中に入っていく感触が
続いて口の中に温かい物が流れてきた。
(なんにこれ!?熱い熱い熱い熱い!!!!!!!!)
体温が何度か上がってしまうんじゃないかと思った。続いて私を襲ったのは豊かな幸福感。この瞬間、私の世界は完全になった。
(マスターの血はあまり飲まないって決めたのに…我慢できない…ごめんなさい。)
マスターの傷口からあまり血が出なくなってからしばらくたって、やっと落ち着くことができた。
ハ…ハー…。
「アイ?大丈夫かい?」
「はい♡…だいじょうぶれふ♡」
あああああ!!ろれつが回ってない!聞かれた?
「良かった、息が荒かったから心配した。」
ああ。こんなにがっついてしまった私を気遣ってくださるのですか?でも、他の女の子ばかり構うのは嫌い。たとえ家族でも。私だけを見て。
マスターが良く聞けるように、他の女に聞かれないように耳元で囁く
「いいですか?私が今、血を吸ったところを他の女に触らせてはいけませんよ?」
私はその女を殺してしまうかもしません。
「分かった」
ちょっと大胆になりすぎたかもしれません。マスターの顔が真っ赤です。きっと私の顔も。
マスターは疲れたから今日は眠るそうです。寒いから今日はこのまま一緒にくっついて眠ってほしいと言われました!!これまでは私と同じ布団に入っていながらマスターは、距離を取ろうとしていたので寂しかったのです。
マスターが眠った後、ユイ姉様に呼び出されました。
要件はマスターの血が私たちにとって、普通の人間にとっての麻薬と同じような効果をもたらし、それを出すことはマスターに多くの負担をかけるということ。よってローテーションを組んで変わりばんこに吸血を行うという約束。これに対しては賛成だった。マスターの血液には大きな依存性があるらしい。今さっき飲ませてもらったばかりなのに、もう飲みたくてたまらない。マスターを傷つけたくはない。嫌われたくはない。なのに、一滴残らず飲み干してしまいたいと体は言っている。だから私たちはお互いを監視し、マスターがあぶないと判断したときは一方を止めることにした。
私たちは人間のように食事はできるが、それは嗜好品のようなもので本当に必要な物はマスターの血なのかもしれない。
そんなことよりも今は、マスターが寒くないように温めてあげなくちゃ。