姉さんができた
重たい目を開けると、二人の女の人が心配そうに私の顔を覗き込むのが分かった。どうやら寝落ちをしてしまったらしい。
「心配させてごめんね。このところ寝不足が続いていたから、確か眠る前…。」
「マスター!良かったです!!このまま目を覚まされなかったらどうしようかと心配しておりました。」
抱きしめてくれるアイの温もりで心まで温まるようだ。一晩中泣きはらしたのだろう。彼女の目は真っ赤だ。
「申し訳ない!!私としたことが自分を見失っていた。あなたが望むならばこの命といえども差し出そう。」
黒髪美人に土下座をされてしまった。
「そんな!!顔を上げてください!元はと言えば、良く分からない力に手を出した私に非があるのです。」
「ご主人様を傷つけたくはなかった。ただあなたから染み出す液体がとても愛おしくて我慢が出来なくなってしまった。」
また女の子の目を潤ませてしまった。私はなんて非力なんだ。
「大丈夫です。なんというかあの時、あなたに血を飲まれているとき背中がゾクゾクして…。その、いやじゃなかったような気がします。」
「うれしいよ」
良かった、笑顔になってくれた。
「じゃあ、その、もう一回…。してもいいか?」
「だめーーーーーー!!!!!!!!」
アイが顔を真っ赤に染めて必死に割り込んできた
「私が初めてをもらうはずだったのに!このビッチが」
「フン、胸の大きさが足りないやつは心も狭いと来ている。」
「二人とも喧嘩はやめてください!!」
「はい!マスター!!」
「はい、ご主人様。」
以外にもいうことを聞いてくれて驚いた。
聞くところによると、私が気を失っている間に二人で頑張って介抱しようと努力してくれたようだ。
「ご主人様はこの小娘には名前を付けているようで、私もつけてもらいたく思います。」
(ふん!アイはご主人様が特別につけてくれたもの、あなたなんかには)
「いいよ。つけてあげる。」
(え?マスター?)
「いつまでもM48 HAWKだと長くて呼びにくいからね。ただし、小娘じゃなく彼女のことはアイと名前で呼んであげて。」
「はい、分かりました。」
M48 HAWKちゃんが立ち上がると180cmある私とあまり変わらないくらいの長身だった。胸は大きく、それでいてくびれていてモデルさんみたいだった。特に特徴的なのはその髪型で、短く切りそろえられたその髪は、彼女の体の女らしさをよく強調しているようだった。はにかむ様な笑い方や物おじしない話し方から活発な印象を受ける。こんなお姉ちゃんがいたらいいなと思った。
「君の名前はユイにしよう。新たなる出会いを結んでくれるように。」
ユナイテッドからユイをとった。こんな時、名づけの才能がないのはとても悲しい。
「ユイ…ユイ…私の名前はユイ。」フフ
よほど嬉しかったのだろう。自分の胸に手を置いて何度も刻み込むようにつぶやいている。
「ユイ姉って呼んでもいいかな?」
「あの、もう一度読んでみてもらえますか?」
「?…ユイ姉?」
「好き♡」
(なんだこの可愛いい生き物は!!!!!!!ご主人様はやっぱり夢の中で会ったあの人だった!!!これからは私の気持ちを声に出して伝えることが出来る。そして触れることが出来る。私がお姉さんとして色々なことをご主人様に教えて差し上げよう。)
「やっぱり嫌だったかな.いやならすぐに」
「そんなことないぞ!!むしろそれ以外ありえん!!!」
「そうか。よかった。これからよろしくね。ユイ姉」
「私がご主人様に必要とされなくなるまで」
「あ,そのことだけれど,君たちを私は死んでも手放すことはないから、そのつもりでいてね.」
(ああ、恐ろしいお方だ。私が望んでいることをいとも簡単に言い当てる。たとえそれが嘘であってもご主人様を守ろう。小さくかわいい花に悪い虫がつかないように。)