ニーソックス
学校にアイとユイ姉を連れて行ってから色々なことがありました.彼女たちはその容姿と少し変わった性格でファンを増やし,学校非公認のファンクラブができたそうです.ユイ姉は女性専用のファンサイトも存在するらしく,その人気に驚きました.
あと,なぜか私の部屋のポストに”アイさんへ”と書かれた袋が入っていました.宛先も記入されておらず,中には大量のドングリ.アイさんは
「種類もバラバラで,灰汁の強いのも入っているので,素人さんですね」と言っていた.でもなんだか嬉しそう.ドングリを拾う彼女を見ていた人がいたのだろうか.まさかそれを食べるとはその人も考えなかったろうに.アイさんは,混ぜご飯にしましょうか.とか言ってました.意外にもドングリは灰汁抜きをすると栗みたいな味になります.びっくりですね.灰汁が強いと石鹸をかじっているような味がします.
ニーナが今日も来ました.今日彼女は,彼女たちの長から預かった手紙と次に治してほしい切り出し刀を持ってきてくれました.
手紙には”こちらのお願いを聞いていただきありがとうございます.また,お礼を楽しんでもらえたようでこちらも嬉しく思います.ただ,あのように扱われてはいくら刃物と言えども,壊れてしまいます.どうぞよしなに.”とあった.
ニーナに
「”あのように扱われては”と書いてあるのだけれど,どういうこと?」
と質問したら,
「その...むりやり乱暴にされたと言った方が皆には伝わりやすいかと思って..」
とのこと.
つまり,彼女の友人たちの間では,私は治す代わりに肉体関係を強要する暴君として記憶されたらしい.
「うーん.なんか残念だ.」
「ごめんなさい.私のせいで」
「いや,いいんだよ.その方がお礼に行きたいという子も減るだろうし. それじゃ今日つれてきた子を見せてくれるかい?」
彼女の懐から取り出された刃物には持ち手が無く.その後,人型になってもらったがその子には足がなかった.瞬間,あの時に見たあの子だと思った.
「私にはご覧の通り,足がありません.これでは使ってくださる方の手を傷つけてしまうかもしれません,何とかしていただけませんか?」
良かったと思った,彼女の心が壊れていたとしたら私にはどうすることもできなかった.でも彼女は確かに力のある目でこちらを見ている.
「よく来たね.君がいつか来ると思って,友人にある物を頼んでおいたんだ.期待していいよ.」
彼女の顔が明るくなった.
先ずは持ち手を付ける前に彼女を研ぎ上げてあげる.その方が研ぎやすいからね.しかし,刀身が折れていなくてよかった.おそらく長く使われることによって,持ち手に使われた木材が腐ったか,割れたかしてなくなってしまったのだろう.綺麗に研ぎ上げ,持ち手を作ることにした.
取り出したのは猟師の友人に頼んで送ってもらった鹿の角.以前にも加工を頼まれて取り付けまでやったから段取りは分かっている.ナイフを扱うアウトドアキャンプなんて変わった趣味を持っていると,色々な友達ができる.彼もその一人だ.今回突然電話したが,快く角を送ってくれた.
久しぶりに,のこぎりを持ち出して,ちょうどいい長さに切り,刃を挟む溝を作る.そういえば,のこぎりは小さな刃の集合体だが,人の姿になれるのだろうか.気になる.
留め具を打ち込む穴をあけて角をグリップ力が損なわない程度に磨き上げる.
刀身と接合し,最後の仕上げとして余っていた真鍮の金具を取り付ける.重心もよく,我ながら良い仕事だ.
彼女が人型になった.良かった,ちゃんと足がある.ちょうど太ももの中間あたりから色が薄茶色のようになっていて,それがまるで,ニーソックスを履いているみたいになっていた.
彼女はまだ新しい足に慣れていないようで,よろけてしまい.私に抱き着いてきた.
「このような美しい足をつけていただき,ありがとうございます.どのような事でもお願いを聞いて差し上げたく思います.」
痛い痛い痛い!!アイさん!耳を引っ張らないで!!!!
「その,なんというか,00027番に聞いたところによると,貴方はとても性欲の強い方のようですね,英雄色を好むと言いますが,それはまさしくあなたの事ですね.どうぞあなたの好きなようにしてください.」
その後,ニーナには添い寝しただけで何もしていないこと,お礼に来る子たちを減らそうとしてこうなったことなどを説明したところ,彼女は女の子らしくクスクスと笑った.




