はじめの一歩
「国を作ろうと思う」
私は皆の待つ家に帰ってきて、そう宣言した。
「は、はい?」
アイの疑問ももっともだ。
「武器による、武器のための国を作ろうかなって」
「何を言いだすと思えば。第一、整備はどうするんですか。私たちは適切な整備無しでは形を保つのも大変なのに」
「人間になれるのだから、お互いに整備すればいい。きっと私の体の問題だって」
「そういってまた私の前からいなくなるつもりですか?貴方は力を使いすぎれば死んでしまうかもしれない。いや、もっと早く限界が来てもおかしくなかった」
「でも、それは来ないかもしれない」
「他の国はどうするのですか?新しい国ができることに寛容な国ばかりではないでしょう」
「私たちに立ち向かうということは、武器無しで立ち向かうことになる。それでも歯向かうかな?」
「貴方は、大学さえ満足に終了することもできず、挙句の果てにこんな辺鄙な土地へと追いやられた。これ以上ひどい所に行きたいのですか?」
皆、何事もないように生活しているが、耳だけはこちらに向けているようだ。
「君たちがいる所が私の居場所だよ。ここ以外に落ち着くところは無い。こんなにかわいい女の子達に囲まれているのにどこがひどいんだ?」
ガタガタ。
誰かが椅子から落ちた。大丈夫か?
「はー。本気でやるつもりなのですか?」
「勿論」
手始めに私は、世界中の核兵器を集めることにした。
家に一人いる核兵器の彼女は『呼ばれたから来た』と言っていた。つまり、今私が「全員集合」と叫べば…。
おかしい。誰も来ない。いや、来たことには来たのだが家にいた子達だけ。ほうほうなるほど。これは悪くない。核兵器は来なかったけれど、彼女たちの密着する肌はなんとも素晴らしい。
「刻んでいいですか?」
何を刻むんですかね?私は君の持っているナイフが凄く怖い。




