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狂愛

ガーバー製IMF2です。私は工場で沢山の妹たちと生まれました。ある物は兵隊さんを支える道具に、又ある物は、獲物を解体するための道具として買われていきました。私たちにとって使いつぶされるのは至高の喜び、最も悲しいことは、倉庫の中でほこりをかぶり、誰にも忘れ去られることでした。

 色々な人のところに連れていかれる姉妹たちを見送ってきましたが、とうとう私の番が来たようです。私を選び、そばに置いたのは日本の大学生でした。


 彼は私のことを抱いて眠り、色々な話をしてくれました。また、ある時は半日以上をかけて私の刀身にできたかえりを、砥石を使って直してくれました。


しかし、ある時彼は私を研いでいるときに自ら指を切ってしまったのです。全身の血が冷めるように感じました。もうここで私たちの関係は終わり、捨て去られてしまう。そう考えました。


 ですが彼は私を捨てなかった。それどころか「自分の血で汚してしまって申し訳ない。」と泣きながら謝ってきたのです!この時ほど言葉が返せないことを苦痛に思ったかとはなかったです。もし私に人間のような口があったなら「あなたの血は汚くなんかない。むしろ温かくて心地いい」と伝えたかった!今思えばこの時に私は恋に落ちていたのかもしれません。

 もし、私に人間と同じ体があれば一人寂しく眠るマスターを温めてあげられるのに。きっとこの願いはかなうことがない。

 しかし、神様の気まぐれか、マスターは私たち刃物を人の姿へと近づけるすべを手に入れました。どうやら、マスターの血には不思議な力があるようです。

「これでマスターに気持ちが伝えられる!!」

マスターは何本ものナイフを一人で所有する色多きお方、きっと私以外の刃物を女の子にできることを知れば私を見なくなってしまうでしょう。だからこのことは私だけの秘密。マスターの冷たく固い寂しい気持ちを温かい人間の体でほぐしてあげられるのは私だけ。フフフ

誰にも邪魔させたりなんかしないんだから!

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