布団お化け
彼女たちが聞き出してくれた情報を統合すると
・前所有者は彼女を長く放置し,処分した.
・処分されため,ゴミステーションにいた.
・長く使われていたため,霊的な何かによって彼女は存在する.
霊的な何かって非科学すぎやしないか.私自身が規格外ですか.そうですか.
それから,私のことが怖いとのこと.
まあ,一人で死にそうになっていたら,突然つれていかれて,丸裸にされて隠したいところも傷も全部見られたらそうなるわ.何やってるんだよ俺.
ユイ姉いわく「落ち込んだ時は,ご主人様の血が一番ね!」
とのことで,今作っているのは私の血を染み込ませた,お饅頭をもう一度蒸し上げたものという,事情を知らない人が聞いたらドン引きしそうなもの.なんでも私が寝ている間にアイと協力して完成させた新レシピなんだとか.
周りの真っ白だったお饅頭の表面が私の血で赤く染まる.そして蒸しあがった時にはこの血が真っ黒になって,なんだか見た目が鉄球の半分みたいになった.あと臭いが凄い.これマジで食べるん?
「このレシピを教えたのは特別ですから!見返りとして明日は私たちの分も作るのですよ!」
えーなんか部屋の臭いがつらいんですが.あ,絶対ですか.そうですか.
こら!クロ!お饅頭に血を塗った時に使った刷毛をしゃぶるのは止めなさい!きたないから!
布団お化けはどうかな?
よしよし,興味津々に布団の間からのぞいているじゃないですか.
「はいこれ食べて元気になってねー!」
アイのこういう一面も知れてよかったな.
「さ,マスター寝ますか!」
「食べるとこ見なくてもいいの?」
「見られてたら食べにくいでしょうが.まったく何もわかってないですね.私がいないとダメなんですから.」
今日は,一枚しかない布団を布団お化けに占領されているので,寝袋で寝ることになった.いつもよりも密着して眠れるとアイとユイ姉は喜び勇んで刃物の形に戻った.シフトは一方が甘い蜜をすすっているのを,指を咥えて見ているのがつらいので止めたとのこと.クロはいつも通り枕元で寝る準備をしている.ここ最近は寝ぼけて顔に乗ってきたりしなくなった.
静まり返った夜,自分の呼吸音と心臓の音がやけに大きく感じる.
ごそごそ
よかった,布団お化けはお饅頭を食べたらしい.
押し殺した
「ン~~~~~~~~♡」という声がした.
一晩たって,起きてみると布団お化けがいたはずの場所には,布団だけが残されていた.
「どうやら,成仏できたかな?」
布団を畳もうと持ち上げると
ゴトリ
ナイフが落ちてきた.
「これは私を使ってください.という意思表示じゃないですかね.ねえ,ご主人様?」
「また女の子が増えちゃいますね,マスター.」
「ご主人様の血は凄いんだにゃ!!」




