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ちょっとした奇跡

 あの後、立候補してくださった方々全員と面接をした。こちらとしてもいい人が使ってくれた方が刃物にとっても持ち主にとっても幸せだと思ったからそこは徹底的に。

 中には原稿用紙10枚分にまでに及ぶ自分の愛を語った紙を持参された方もいた。よい人が多くて、話をした感じでは誰にこの血を譲ってもいいと感じた。


 最終的には私の血液には2500万円の値段がついた。はっきりいって予想の10倍以上。まだ実感はなく、夢見心地だ。これだけのお金があれば家を買うことも可能であろう。夢の第一歩だ。


売る人が決まって、奥まった部屋へと案内された。

勿論、アイ達も一緒。力が発動したのを確認したら直ぐに退出するように彼女たちからは強く言われている。いつ、力を持ったナイフがこちらに襲ってきてもいいように皆ピリピリ。


 慎重に開けられたペットボトルの飲み口から一滴の赤い雫が落ちる。刃の腹に当たって雫が弾け、直視できないような強い光が漏れだした。どうやら力は無事に作用したようである。


気がつけばそこには少女がちょこんと座っていた。


「奇跡だ…。自分の目で見ていても信じられない…。今、俺は命が生まれる瞬間に立ち会っている。」


「こんにちは。この姿では初めてですね。どうでしょうか?私、かわいい?」


 そんなにこっちを必死に見てこなくても大丈夫ですよ。彼女はきちんとこの人を使い手と認識したようだ。


「分かるか?俺だ。」


「ええ。勿論。」


私たちはさっさと出ていくのがいいだろう。


「それで、そのペットボトルの中の美味しそうなのは飲んでもいい?」


「あ、あんまりあげすぎると大変なことになるので、ほどほどにしておいてあげてくださいね。」

アイも初めては凄かったからね。気を付けないと問題になる。


「血がなくなった頃にまた来ますので、私たちは帰りますね。」


「ありがとう!!こんなにいいものだとは!!想像以上だよ!!」

良かった~。値段にそぐわないと言われても何もできないからね。まあ、何があっても保証はしないが。



「やっぱりいいですね。子供。私も早くマスターのが欲しいです。」


「そう言ってもらえて嬉しいよ。」


「またアイばっかりイチャイチャしてる!!!ご主人様!エコヒーキだめ!!」


 なにか、子供に愛情が移って私に目をくれなくなったら、さよならしよう。なんて小声が聞こえた気がして背筋が寒くなったけれど、気のせいだよね?


 ごーちゃんはまだそんなの早いから!!変な知識付けちゃだめだよ!!



 いつまた忙しくなって来れなくなるか分からないので展示物だったお姉さんの所にも寄っていく。手土産もついでに持参した。持ってきたのはあのソーセージ。ただ、血が濃いと、普段から飲みなれているはずのアイでさえも大変なことになったので、今回は薄めて作った。



「おー!!やっときたかー!!!酒だ酒!!!!」


 私が来たことで酒盛りが発生するのは、決定事項のようだ。


「ソーセージ!!旨いなこれ!!ビールに合うわ~。」


「ねえ。ぼくは『ワカメ酒』って知っているよね?」


まさか、それはあの伝説の!?や、やっていただけるんですか!?


「いーよ。じゃあ、パンツぬぎぬぎしようね~。」


あ。おれがやる方なんですね。くううう。うん。何となくわかってた。これ、ついでに間違えちった!とかって言われて噛みつかれるやつですわ。


「マスターはそういうの対応してないので!!」


アイー!!あいがとう!!


「まったく。私もやったことないのに他の人にやらせるわけないじゃないですか。」


あ、そうですか。なんかこの子達ちょっとおかしくない?嘘、前から?


助けを求めてごーちゃを見たのになんか目をキラキラさせてた。いや、しないよ?させないよ?



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