※ついにやって参りましたわ!!
遂にやってきました!!
待ちに待った魔法実技の時間!!
どれほど私がこの時間を待ち望んだことだろうか
ここに来るまでにどれほど.....っと、まぁそんな話はいいだろう
それよりも魔法だ魔法!!きゃっほーい!!もう誰も私の邪魔など出来んのだよ!!
と思ってた時期が私にもありました
現在私の目の前に広がる光景
南の砂漠にある『ツイニコルー』国の王族で、この国へと留学してきている双子で第一王女のナーコ・ツイニコルー様と第二王子のコーナ・ツイニコルー様が、我が『ロッロマージュ』国の第二王子であるルーティーン・ロッロマージュ様へと二人揃って地面に膝をつき頭を下げている
何故このような事になっているかというと、授業の一環で魔法属性を調べていたところ、突然ナーコ様とコーナ様がルーティーン様になにやら言い掛かりを付け、それに激怒したレイリー様の迫力に2人がルーティーン様へと大泣きしながら頭を下げている、と簡単に言うとこんな感じだ
そんな他国の自分と同じ王族に文字通り頭を下げられているルーティーン様はと言うと、どこから持ってきたかは分からないが凄く座り心地の良さそうな椅子に足を組み顎に手を起き何かを思案している様子
そしてその姿は変装魔法が解けているのもあるだろうがとても様になっていて恰好いい
.........ッハ!私は今何を!!
私はレイリー様一筋だろう!!
この私をこの様な.....恐ろしき王族の美貌
私が頭を抱えていると、ルーティーン様は顎に添えていた腕を肘おきに置いて、言葉を発した
「顔を上げ、名を言うがいい」
.............................って、うええええええええええええ!!?
ルーティーン様何言っちゃってるんですかああああああ!!
「殿下ああああ、何言ってんだお前ええええ!!!」
一瞬自分の心の声が漏れたと思ったが、どうやら言ったのはオーガス様のようだ
オーガス様は、そのまま叫び声を上げながらルーティーン様の首元をがっしりと掴み前後にぶんぶんと揺らす
普段の冷静でクールな彼は何処にもいない
「突然どうしたオーガス。揺らさないでくれ」
「どうしたもこうしたもへったくれもありません!!他国の王族に向かってそのような口の利き方で」
「俺も王族だ」
「違います!殿下は一般人です!!」
「お、おぉ」
オーガス様、ご自分でルーティーン様のことを殿下と言っているので、それはちょっと無理がありますよ
現にルーティーン様もなんと言っていいのか分からずに困惑しています
それにしても今回の発言はちょっと問題があります
まず、同格の王族に対して「顔を上げ、名を言うがいい」と言うのは、命令口調でダメと言う前にそもそも入学式で1度名乗ったのに聞いていないもしくは忘れている、といった今まで興味が無い、眼中に無いと言うのを言っているのと同じ事なのです
その上、ルーティーン様は実際には王族ですが身分を隠しているという点で言ったら立場は一般人と同じなのです
まぁ、全く隠せていないのでそこまで問題にはならないとは思いますが
「大体貴方はいつになったら」
「貴様、いい加減にしやがれ!!」
オーガス様が更なる追求をしようとした時です
突如、ルーティーン様の背後から声が上がると黒い何かが飛び出してきました
「ルーティーン様にその様に無礼な事をするとは、地獄に落ちて悔い改めるがいい!!」
全身を黒で包み、顔も黒の布で覆った人物はそう言い終わると何処から取り出したのか無数のナイフをオーガス様に向け投げつけます
迫り来るナイフに焦ることなくオーガス様は右手をかざし、ナイフに向けて氷の防御魔法を発動し、氷に遮られたその無数のナイフは甲高い音を立てて地面に転がり落ちました
「チッ、貴方もしつこい人ですね」
憎々しげに黒い人物を睨みつけるオーガス様
その様子はどうやらあの黒い人物を知っている様です
「ハッ、それは俺にとっては褒め言葉だ。どうもありがとう」
オーガス様の言葉を聞き、黒い人物は鼻で笑うととても綺麗な淑女の礼をとりました
取って付けたような物ではなく、もう何度もやりなれた様子でかつ優雅、その一言に限るような礼
思わず見惚れてしまいます
.............ッハ!!また私としたことが!!
ですが、あれだけ見事な貴族の女子の礼をとったあの黒い人物はきっと女性です
ノーカンです、ノーカン!!
私が惚けている間に熾烈な死闘を繰り広げ始めているオーガス様と黒い人物
その戦いを一番近くで見る事になったナーコ様とコーナ様は目が点に、レイリー様は先程の不機嫌が嘘のようにケラケラと笑い、ルーティーン様は気だるげに椅子に深く座り見ています
「これから1年間あいつらの面倒みるの俺なのか.....」
その様子を見たカイン先生はと言うとなんとも言えない哀愁を漂わせ、やけくそ気味に言いました
「もういいや、あいつらほっといて続きだー。次は誰だっけか?」
「あ、私です」
やっとだわ!!
危うく今日は出来なくなると思ってたけど、先生ぐっじょぶです!!
初めての属性検査!!やっふー!!
そんな内心をおくびにも出さずに静かに手をあげます
そもそも属性検査は魔力が安定し始める10歳になると王族、貴族、平民と関係なくするものなのですが何故か私はやった事がありません
正確にはやった覚えがないのです
家族に聞いてもみんなその話題をすぐに逸らそうとします
何故かわかりませんが聞かれたくないようなので自然と聞くことが無くなりましたが、今日は違います!!
実際にこの目で確認するのです!!
そして私は堂々とした足取りで先生の元に向かいました
これがきっかけでこれからの学園生活が大変なことになるとも知らずに
最近また忙しいんじゃい