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乙女ゲームみたい?

モフモフTS攻略対象は甘味にハマる。

おとめげー、相変わらずわかりません(泣)

甘いもん食べてる時が幸せかな。

今日もみんなで甘いもん食べに行こう。


「ガルフォ君、新作の夏のパッションミルフィーユ食べに行こう? 」

甘友の狼獣人のガルフォ君に近づいた。

近衛騎士の修練所の汗臭い匂いにみみがへたれたけどお菓子のためならエンヤコラだもん。


遠くで例のやつが指導してるのが見えた。

嬉しそうに? 部下を走らせてる。

ふん、いつもいつもいじわるのくせに……


「いいなぁ、行くか」

「行こうよ」

私はキラキラした目で見た。


「狸に化かされてみるかな」

「化かさないもん」

わははっと笑いながらガルフォ君が私の頭を撫でた。


私はタエーナシア、狸獣人でお城で文官しています。

どっちかというと低身長ですがガルフォ君より歳上です。


「タエーナシアさん、僕は誘ってくれないんですか? 」

王弟殿下のとこの豹獣人のポレアス君が廊下で待機してた。

「もちのろんこれからさそいにいくところだったよ〜」

ぶんぶん手を振ったらガルフォ君が舌打ちしたのがきこえた。


別にケーキはたくさんあるよ。

一人より、みんなで食べれば怖くないもん。



王宮の社員食堂は若い女性が多いせいかスイーツも充実している。


「どれにしようかな」

「パッションミルフィーユじゃないんですか? 」

「それも食べるもん」

「一個で収まると思うなヘボ豹」

見本のお皿に並べられたキラキラした美味しそうなケーキを見ながらガルフォ君と片手を合わせた。

ポレアス君がため息をついて私のもう片方の手を握った。

「この小さい体のどこにケーキがいくつもはいるのでしょうね? 」

妙に色気のある声に一瞬動作が止まった。


と、とりあえずスルーして注文しよっと。


「えーと夏ミカンチーズケーキとパッションミルフィーユとベリータルトにしよっと飲み物はアイスミルクティーで」

「俺はティラミスとブルーベリースフレパンケーキとパッションミルフィーユだな、カフェモカを頼む」

「私はコーヒーゼリーとコーヒーを」

うけたまわりましたと店員さんが言って去っていった。


「おい、お前いい加減離したらどうだ」

「柔らかくてくせになりそうです」

「そうだな」

今度はガルフォ君に空いてる方の手をにぎられた。


お待たせしましたと店員さんがワゴンでケーキを運んできた。


「あの、食べられないから離してよ」

私は身長の高い二人を見上げた。

「食べさせてあげますよ」

ポレアス君が私のケーキにフォークを優雅な動作で入れた。

「おい、俺がやる」

ガルフォ君がフォーク奪おうとした。

「あなたは自分のケーキを食べてればいいんですよ」

にっこり笑って私に夏ミカンのチーズケーキを差し出した。


どうしよう、恥ずかしい。


「食べなければ食べてしまいますよ」

ポレアス君が意地悪く笑った。

おもわずフォークを口に含んだ。


甘酸っぱい夏ミカンとチーズケーキのまろやかな酸っぱさが絶妙……


「美味しい」

うっとりとした。

「これも食うか? 」

ガルフォ君がティラミスの入ったスプーン差し出した。

「ありがとう」

コーヒーの苦味クリームの甘さとマカロンの軽やかさにうっとりする。


ああ、幸せだもん。


「攻略対象がなんで三人固まってラブラブしてるの、びーえる? びーえるなの? 」

隣の席の人族の美人さんがつぶやいてるのが聞こえた。


確かこのモリターイェル王国に留学してるウエリ王国の王族の姫君だったっけ?


なんで王宮の社員食堂にいるんだろう?

王立高等学園に行ってるはずだよね?


王侯貴族寮に入る手続きしたおぼえがあるもん。


「王族は全滅なんだから、せめてモフモフルート……なんでびーえるチックなのかしら? 」

姫君が可憐に小首をかしげた。


びーえるって何ですか?

私、耳がいいんです。

王族生きてますよ?


「ジェルアイナ姫様、食事が進んでおりませんよ」

お付きの人が注意しているのになんかボーッとしてる。

「……孤高戦士の狼獣人ガルフォさん……冷血モノクル、王子の側近の豹獣人のポレアスさん……外交部の癒やしの狸獣人のタエーナシドさん可愛い……」

姫君がブツブツ言いながらシェフ特製ビーフカレーをスプーンでかき回した。


私、タエーナシアですよ。

たしかにポレアス君はモノクルつけてる金髪の美青年ですが王弟殿下の側近ですし、ガルフォ君は集落のみんなともイトコともなかのいい甘党戦士だもん。

どこで情報を仕入れたんだろう? まちがいだらけです。


「うん、タエーナシドさんが可愛い……」

にっこりと姫君が笑った。


なぜかぞくりと背筋に寒気が走った。

ポレアスさんを思わず見上げた。


「パッションミルフィーユですよ」

ポレアスさんがあーんしてくれた。

甘酸っぱいパッションフルーツジャムとカスタードクリームがパイに挟まれて絶妙なコントラストとなっている。


あいかわらずパティシエの猪族のオリビエさん腕がいいなぁ。


姫君がこちらを見てるような……

せっかく甘友と仲良くしてるのに考えるのやめよう。


「自分で食べられるからポレアス君」

「いいんですよ」

「おい、無理強いはよせ」

ガルフォ君がポレアス君から私の手を出してくれた。


「あ、あの」

突然姫君がたちあがった。

「姫様、はしたないです」

おつきの人がパンと手を叩いた。


その瞬間、姫君のテーブルところに食堂中の視線が向けられた。


「ごめんなさい」

しゅんとして姫君が席に座った。


「ウエリ王国の姫君は随分行動的なようですね」

「そうだな」

ガルフォ君とポレアス君二人が小さな声で会話して苦笑した。

「それよりケーキ食べよ」

私はニッコリ笑った。


甘友と食べるのが一番楽しいよね。


「今日のケーキはいかがでしたか? 」

パティシエのオリビエさんがニッコリ笑った。

赤茶色の短い髪の長身の猪族のお兄ちゃんで白いコックコートもかっこいい。

「すごく美味しかったです」

「絶妙な甘さと酸味だった」

「コーヒーゼリーは香り高いですしね」

「良かったです」

私たちの賞賛に満面の笑みをオリビエさんはうかべた。


美味しいベリータルトを食べながらケーキづくりのプロと話す喜びを味わってると例の奴がとおったもん。


「飯を甘味ですますなど愚の骨頂だな」

そう、近衛騎士団副隊長な狐族の美女もとい女顔の美男エドモンドが不機嫌そうに突っ込んだ。


さっきまで嬉しそうに部下の近衛騎士を走らせてたくせに……


「アリーナに振られたからといって八つ当たりするんじゃねぇ」

「うちの殿下と同レベルですね、まあ、殿下は恋人みつけましたが」

ガルフォ君とポレアス君がエドモンドに言い返した。


アリーナ様に振られたんだ、ザマーみろ。


エドモンドとは同期なんだけど……どういうわけか話が合わないんだ。


「……そんな昔の事忘れた、タエーナシア、年長者がそんなことでどうする?」

「別にいつもそうしてるわけじゃないもん」

「この生意気チビ文官」

「陰険武官! 」

思わずエドモンドと睨み合った。

「飯を食え! 」

「甘いもん食べてから考えるもん! 」

もう一度怒鳴り合う。

「お、おい落ち着け」

「エドモンド武官は本当に陰険ですね」

ガルフォ君はオロオロ、ポレアス君は妙にさめた口調で言った。


「お客様、お静かにお願い致します」

犬族のウェーターさんに静かにいわれてエドモンドはどかっと向かいの席にすわって足を組んだ。


緑の軍服に包まれた細マッチョな体と軍靴に包まれた長い足がいやみったらしい。


「昼食ガッツリ日替わりセットを二つ」

低い美声で奴が注文した。

かしこまりましたとウェーターさんが去っていった。

「一緒に食うとは言ってないぞ」

「別にお前らみたいな身体が出来上がってる奴はいい」

ガルフォ君の抗議に奴がサラリと流した。

「どういうわけですか?」

ポレアス君が半眼になった。

「この、成長不良の子狸文官しか興味はない」

人のこと子狸文官言うなー。


本当にこのクソ武官、いつもいつもいつも私の邪魔をして、いつかぎゃふんと言わせてやるもん。


「ガッツリ日替わりセットでございます」

ウェーターさんが山盛りのミックスフライにオムライスにハヤシソースのかかったのを二つ持ってきた。

「もう一つはここにおいてくれ」

エドモンドが私のケーキの皿をどかして指定した。

ついでにケーキ皿を返そうとしたので奪い取った。

「先に飯を食え」

「こんなに食べられないもん」

「食えったら食え」

エドモンドが私にスプーンにオムライスをすくってまあ無理矢理食べさせた。

ふんわりと美味しいオムライスの卵にはつみはないけどエドモンドなんて嫌いだ。


「なんてことするんですのスイーツ好きなタエーナシドさんに! 」


私が何かいうまえに綺麗な声が響いた。


「姫さまはしたのうございます」

「可哀想ですわ、タエーナシドさんに私の作ったクッキーを両手でもってモグモグしてもらいますのが野望ですのに! 野蛮ですわ! 」

姫君がさけんだ。

「ひ、め、さ、ま……指導が足りないようでございますね」

お付きの人が空恐ろしい声を出して姫君をつかんだ。


そのまま引きずって会計して出ていった。

ヘイル〜横暴よ〜。と姫君はひたすら叫んでた。


「な、何だったんでしょうね? 」

「わかんねぇ、女だな~」

「まあ、どうでもいい」

「と、ともかく……時間がないから食べようか? 」

どことはなしに顔を見合わせて私たちはモクモクと食べ始めた。



きょうの帰りはどんな焼き菓子買って帰ろうかな。

そんなことを思いながら外交省で仕事中です。

なんか甘党愛を表現しそこねた感満載なんだね。


「タエーナシア外務文官ね」

ぞくりとした綺麗な声に振り返った。

麗しい我が国の王妃ラナンティア様が何故かいた。

「王妃様、ご臨席賜り光栄に存じますが……」

外務大臣のオウム族獣人のラーシャン様が戸惑った声を出した。

「ジェルアイナ姫がご執心の攻略対象なのに女性なんて……なんて美味しいの」

王妃様は両手を組んだ。


お、美味しい? 私、甘味じゃありませんよ。


「どのようなご用件でございますか? 」

ラーシャン様が困った顔をした。

「ああ、そうね、こちらを」

侍従が捧げ持つ艷やかなトレーから封筒を受け取って私に渡した。

お茶会の招待状らしい。

「ぜひおいでなさい」

完璧命令口調で言われた。

「は、はい」

「楽しみだわ〜」

いつの間にか出したレースの扇優雅に扇ぎながら王妃様はさって行った。


「ラーシャン様〜正装着ればいいんですかねぇ」

「ワシに聞くな……多分デイドレスだろう」

オウムなのにワシなラーシャン様頼りないことを言った。


わーんドレスなんて持ってないもん。



ドレスはどうしても準備できなかったので正装でお茶会にお邪魔した。


ガーデンパーティーなお茶会で高貴な人たちが何人もいる。


あれはエリック王太子殿下と婚約者のアリーナ様だよね。

ちっちゃい銀髪の狼獣人の甘ロリのフリフリワンピースの女の子が黒髪のエルフの美少年に膝抱っこされてる。


向こうは王弟殿下のシルフィード様と恋人のラレル嬢だよね。

小さい白い髪の兎獣人が金髪のエルフの美青年に抱き上げられて花を見てる。


「タエーナシアさんようこそ」

「お招きいただき光栄存じます」

王妃様がパーゴラの下で優雅にレースの扇であおった。

ジェルアイナ姫様が隣で私を凝視してるのが怖いんです……


ふと庭の隅を見るとクソぎつねが他の同僚な近衛騎士と立っているのが見えた。


なんか失敗したら末代までいわれそうだなぁ。


「あの、フィナンシェを準備して参りましたのであとでたべていただけるかしら? 」

姫君が少し赤くなって微笑んだ。

「ありがとうございます」

胸に両手を当てて文官の礼をとった。

甘いもんは何でも嬉しいけど……わざわざ姫様が焼いてきたの?

姫君のお付きが眉をひそめたのがみえた。


事前の外務情報で姫君は市井で育ったんだそうだ。

今のウエリ王国王妃様の子供じゃないらしい。


だから感覚が違うのかもしれない。


というか……何でにっこりその様子を見ているのですか? 王妃様? なんか寒いのですが……


「ジェルアイナ様は外交であなたの素晴らしさにふれてぜひ食べてもらいたいと持参されたのよ、遠慮なくいただきなさい」

王妃様が見たテーブルには美しい白い皿に拳大の茶色の物体がドーンと置かてい。

うながされるままパーゴラの下の席について茶色の物体を侍従に持たされた。


え……フォークなしですか?


何故か姫君に期待の眼差しで見られてしかたなく両手でもって口に運んだ。


みゅーん……パサパサしてるもん。

お、お茶〜。 高級感あふれる。

ティーカップから急いで飲もうとしてあつすぎてむせこんだ。


「大丈夫ですの」

ジェルアイナ姫が私にナプキンをそっと……なんで口を拭くんですか〜。


自分でふけるもん。

というか私よりだいぶ身長高いですね。


「可愛すぎる」

うっとりとジェルアイナ姫がつぶやいて私の頭を撫でた。


いやーん、寒気がする。


「お菓子おいしそうなの〜」

「そうですの」

可愛すぎるといわれるにふさわしいラレル嬢とアリーナ様が王弟殿下と王太子殿下の膝の上でパティシエが作ったバラのエクレアを手にとってるのが見えた。


私、現実逃避してる……


「この小さい耳がフワフワ」

「やめてほしいもん! 」

敏感な耳をさわられて思わず手をはらった。

「なんて無礼な! 」

お付きの人が声を荒げた。

「い、いいのよ、私がいけないのですわ」

姫君が手を撫でた。

「何をおっしゃいます、ジェルアイナ様は本来ならばお世継ぎとしてウエリ王国を……」

「私はこうして可愛い人に癒やされていれば幸せなのです」

お付きの言葉に姫君が透明な笑いをうかべた。


そういえば……この人の母親の先の王妃様は王族だったような……

か、帰ったら確認……


「臣下が失礼いたしましたわ、お気に召したのでしたらお持ち帰り」

「母上、人権侵害です」

「本当に堅物よね」

もう少しで贈答品にされるところだった。


王太子殿下ありがとうございます。


「すこしお話してもよろしいですか? 」

姫君が私の手をなでたまま微笑んだ。

「はい」

「ずっとあなたと会うのを楽しみにしていましたの」

姫君が乳母夫妻と市井に潜んでる時からいつかきっと会えると思ったとつぶやいた。


私、ウエリ王国に行ったことないもん。


「なんて健気なの〜きっとハッピーエンドにしてみせますわ」

王妃様がハンカチで涙を拭いた。

母上、勝手に決めないでくださいと王太子殿下がたしなめてあなたも大変だなと王弟殿下に同情されていた。


ふと狐に目をやるとふっと笑われた。

悪かったね、訳がわからなくて。


ジェルアイナ様の幸せを守る会の発足ですわ〜と王妃様がてを上げてアリーナちゃんラレルちゃん手伝ってちょうだいねと二人に迫ってアリーナ様がはいと手を上げて王太子殿下が慌ててつかんでた。


その後は姫君に手を撫でられたまま茶会は終わった。

うーんウエリ王国の情勢……調べたほうがいいよね。



「相変わらず、甘味で食事か」

数日後社員食堂で生クリームサンドを食べていると狐がきた。

相変わらず断らずに同じテーブルの席に座る。

無視して集めたウエリ王国の資料を読んだ。


国王陛下は王族だけど本来は先の王妃が先王の一人娘で婿だったみたいだ。

ジェルアイナ姫出産後早すぎる先の王妃の死後に今の王妃が入って……姫君が市井に……隠れた?


「あの国はまずそうだな」

にくまきおにぎりセットを大盛りで注文しながら狐がつぶやいた。


軍部でも独自情報があるらしい。


「姫君がこちらに留学した原因も暗殺未遂らしい」

私が反応しなくても勝手に喋っていく狐。


そして私に肉巻きおにぎりをもたせた。


「巻き込まれないようにしろよ」

狐が私の頭を撫でて肉巻きおにぎりをいっき食いしてたちあがった。

そのまま生クリームサンドの皿を持とうとしたので取り戻した。


本当に油断も隙もないんだから。

ともかく巻き込まれないようには正しい。



「あなたが殿下の弱点ですね」

廊下で後ろから抱きつかれて首筋にひんやりしたものをつきつけられた。

「みゅーん! 」

「あなたを確保しておけば殿下きっと聞いてくださる」


私、死ぬの〜。

殺されるの嫌だもーん。


ジタバタしたら切れちゃう。


「みゅーん!! 」

「黙っていただけます? 」


刺激しちゃあ駄目だよね。


「ヘイル! やめて! 」

「馬鹿狸を離していただこう」

姫君と狐が駆けつけてきた。

スラリと狐が剣をぬいた。


な、なんでいるの? 


「殿下、女装する必要などないのです! あのメギツネのせいでおいたわしい」

「私はいいのです」

「正当なるお世継ぎは殿下ですわ、この狸が殿下の弱点になるならここでいっそ」

冷たいものが余計に押し付けられた。


「……そんなもんに馬鹿狸を巻き込むな! 」

狐が……エドモンドが叫んで私の後ろの人物の腕を蹴り上げた。


チャリーンと音がして銀のものが床に落ちた。

食事用のカトラリーのナイフだったもん。


「馬鹿狸抜けろ! 」

「みゅーん」

エドモンドのいうように腕から抜けようとしたけど抜けられないもーん。


「ちっ甘いものばっか食ってるからだ! 」

狐がひどいことをいったそのまま多分姫君のお付きに斬りつける。


確実にこの人避けられそうにないもん。

私も一緒に死んじゃうもん。

目を閉じた。


「それは偏見だぞ」

「甘いものに対する冒涜です」

一瞬何があったかわからなかった。

私はガルフォ君に抱き上げられてた。

ポレアス君もいる。

「怖かったもーん」

私はガルフォ君にしがみついた。

ガルフォ君が頭をなでてくれた。

ポレアス君は背中なでてくれた。


狐が不機嫌そうに床に倒れたお付きを拘束している。


「誰が切るか、峰打ちだ」

狐が半眼になった。

「ヘイル、私はあの可愛い人と仲良く慣れればいいの、だってそれ以上はびーえるになっちゃうもの」

私が第三者的に見られるのならば美味しいけど……可愛い文官が……隣国の悲劇の王子に同情しているうちに……食べられちゃうの……どこかうっとりと姫君がつぶやいた。


「こちらもTSだったのですわねぇ……しかも転生みたいですわね」

王妃様が優雅に扇ぎながら現れた。


わーラスボスっぽいと姫君がつぶやいた。


「てーえす? てんせい? 」

「うふふ、可愛いわ」

きょとんとガルフォさんの腕の中から見上げると王妃様が私の頬をなでた。


「TS転生で前世が腐女子いえ貴腐人だったので……白花千夜に薫るも可愛い系モフモフ男子のタエーナシドさんを中心に二次創作してました……だから男同士でイチャイチャどーんとこいです」

それなのに今は自分が陰謀巻き込まれて女装って何それですよと姫君? が拳をつきあげた。

「苦労してるのね、いいこと教えてあげるわ、その娘はタエーナシド文官じゃなくてタエーナシア文官っていうの」

王妃様が意味ありそうに私を見た。


「……ああ、つまり……女の子? 」

姫君がすごくショックな顔をした。

「女の子じゃ嫌なの? 」

「妄想が孤高の戦士とか意地悪モノクルとかおかん騎士とかの妄想がぁ……」

王妃様の言葉に何故かガクッとなる……ジェルアイナ様にお付きが殿下それより国を〜。と言っている。


「タエーナシアちゃんとどうこうなりたくないのですの? 」

「モフりたいです! 」

王妃様の問にジェルアイナ様が即答した。


「あのお姫さんに国をどうこうは無理なんじゃないか? 」

「私もそんな気がしてきました」

狐の言葉にがっくりお付きがうなだれた。


うん、なんだかんだいってウエリ王国って平和だし前王妃って本当にご病気でご逝去みたいだし……


「ああ、でも結婚すればモフり放題」

「みゅ! 」

ジェルアイナ様の発言に寒気がしてガルフォ君に抱きついた。


もう好きにすればよろしいのよ。と王妃様はさっていった。

ついてた近衛隊長な狼獣人アドフィード様が苦笑いしてとりあえずお二人はご同行をと促した。


近衛騎士団が呼ばれたらしい。


「甘いもん食べたいなぁ」

「そうだもん」

「行きましょうか? 」

ガルフォ君とポレアス君とボソボソ話した。


まっちゃアイスケーキにしようかな……


「甘いもんばっかくってるとポンポコ子狸一直線だ野菜とタンパク質もくえ」

狐がお付きを引っ立てながら口を出した。

「ポンポコ子狸じゃないもん」


嘘つくなと言いながら狐は近衛騎士たちと去っていった。


その後、ウエリ王国は特に体制に変わりなくジェルアイナ様は相変わらず学園に通っているらしい。


お付きがかわったけどまた変なひとじゃ無いといいけど……

まあ、私にかんけいないもん。


今日も社員食堂はにぎやかだった。

「この夏色パインパフェとオレンジシャーベットとキナマンジェをピーチティーでお願いします」

「ついでにサラダ焼き肉うどんとカツ丼だ」

「つ、ついでに生クリーム大福三個だもん」

「お前甘いもの食いすぎだ」

いつも通り狐が隣に座って頬をうにょーんつまんだ。

「甘いもんはいやしだもん」

くやしかったので引っ張りかえそうとして手首をにぎられた。


見つめあっちゃったもん。

ど、どうしようもん。

相変わらず顔だけは綺麗だもん。


「エドモンド副隊長〜抜け駆けです」

「そうですよ」

ガルフォ君とポレアス君が入ってきた。


あ、待ち合わせしてたんだった。


「抜け駆けだと……」

ふんっといって狐が手を離した。


ど、ドキドキを返してだもん。


狐と付き合ってるいう噂がたってて何故か甘味をじゃまされたりするけど。


私の理想は意地悪狐じゃなくて優しい、一緒に甘味を食べてくれる人だもん。


このドキドキ違うんだもん。

意地悪狐が綺麗すぎるだけだもん。


「なんで私にかまうもん」

「お前が好きなんだろうなぁ」

狐がやってきたカツ丼をかっこみながら答えた。

「私……私もすき?」

だってドキドキしてるし。


そうか、じゃあな。と狐がわらって腕を伸ばした。


「付き合うか? 」

だからこの抱きしめられてるのきっと幻想だもん。

「う、うん」

なんで頷くもん。


結局好きだったんですね、ポレアス君がさめた目で見てる。

副隊長、抜け駆けしてるじゃないかとガルフォ君いってる。


エドモンドがキスした。


なんか幸せだもん。

でも、カツ丼の味じゃなくて今度は甘いキスをしたいから甘味を口に突っ込むもん。


「生クリーム大福でございます」


とりあえず生クリーム大福を予定通り突っ込むもん。


あ、甘友とも仲良くするもん。

男心が分かんないってなんだもん。


恋人と甘友べつもんだもん。

小悪魔じゃなくて甘狸だもん。


こんど甘いもん近衛騎士団にさしいれいくから友情許してほしいもん。

読んでいただきありがとうございます♥

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