2話 説明
う、うう…
目が覚めると壁画が描かれている天井が目に入った。
あれ?ここどこだっけ?俺は慌てて身体を起こした。どうやらベッドに寝ていたようだ。
いや、でも俺って確か王様たちと会ってたはずじゃ…
うーむ、何か見てはいけない物を見た気もするが思い出せん。
まっ、いつか思い出すだろ!
俺はベッドから足だけを下ろして周りを確かめる。
まずここがどこかだけど俺にはさっぱり分からん!
それにしてもだ。この部屋、一体どんだけ金かけてんだ?
かなり部屋が広い。俺のアパートが六畳間だったから、大体それの10倍ぐらいの広さかな。
次に目に入るのがドアの前にあるライオンの石像だ。
綺麗に石を彫って作ってある。
天井を見るとシャンデリアがあった。
しかもよく見るとダイヤモンドらしき物が使われているみたいだ。
そして、室内には冷蔵庫もある。
まじかよ…ここはホテルか何かかよ…
しばらく部屋を見ていると誰かが入ってきた。
「あら、勇者様!起きましたの!」
やけに馴れ馴れしい。
でも嬉しい!こんや美人に話かけられるなんて!
「あ、はい、えーと、あなたは確か…」
やべ、誰だっけ…
「イスカです!」
「あ、そうでした、そうでした!」
「あのーもしかして、もしかしてですよ?私のこと忘れてた、とは言わないですよね…?」
なんか怖いんですけど。顔は笑ってるよ、うん。でもね、なんか目が笑ってないんだ。
うん、まじ怖い。
ここはとりあえず言い訳を…
「お、憶えてますよ!お、俺は一度聞いた人(女性限定)の名前は忘れませんよ!」
ふふふ、もちろん嘘ですよ。
てへぺろ☆
「本当ですかー?」
イスカがジト目で見てくる。
ちょー可愛いー!
「ふぅ、もういいです勇者様。そういえば、勇者様の名前をまだ聞いていませんでしたね?教えてもらえるでしょうか?」
OKOK!
いいともー、教えてやるぜ!
「俺の名前は山下悠斗、悠斗って呼んでください!、あと様付けで呼ばなくていいですよ」
「ユートさん、でいいですか?」
本当はさん付けもいらないんですけどね!
まぁいいや!
「いいですよ、あと普通の話し方で構いません。なんかこの話し方をされると堅苦しいというか、なんというか。」
「あ、はい!分かりました!では、こちらからも話し方を普段通りにお願いするけどいいですかー?」
「分かりまし…分かった。じゃあこの話し方で。」
「ふふ、友達になった気分ですね。」
「え?もうすでに友達じゃなかったの?」
「あら?」
イスカは不思議そうに首を傾げた。
「だってさ、敬語を使ってたって言っても、仲良く喋ってたじゃん?それってもう友達認定してもよくないか?」
「ふふ、ユートさんは面白いことを言うのね。私は立場上、友達といえる人があまり出来なかったの。今のユートさんの言葉を聞けてすこし嬉しいわ。」
少し顔を赤くしてそう言った。
「そりゃどういたしまして!」
俺はあんまり女の子と喋り慣れてないから、こんな返ししか出来ないけどね。
「……」
「……」
しばらく何故か沈黙した。
いや、そもそも向こうも友達が少ないみたいなこと言ってたしね、俺も女の子とは慣れてないし当然そうなるわな!
仕方ねぇ、ここは俺のトークテクを見せつけてやるか!
「あ、ああああの、こ、ここの世界に、つ、つついて、説明、して、くれないかっ」
フッ、決まったぜ!
…
決まったぜ、じゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!
やべ、やらかした、あーだめだ、俺が女の子に慣れてないのが暴露ちまう!
落ち着け、俺、状況を見ろ、今目の前にいる人は姫、王妃だ、心も広いはずだ。
「あ、あのユートさん?」
いや、心が広いとは限らないじゃないか?
人は見た目や地位にはよらないとも聞く。
広そうに見えて実は狭い、このことも想定して動かねばならない。
だったらどう動く?選択しは3つだ。
1.なかったことにする
2.俺がこんな人間だと認める
3.逆ギレする
「ねぇユートさん?…」
まず1の選択肢だが、これは一種の逃げなんじゃないか?俺のじっちゃんも言ってた。日本男児はどんなときでも逃げずに立ち向かわなければならない。
うん、そうだねじっちゃん!俺は逃げねぇえ!だから1は却下だ。
「ユートさん……」プルプル…
次に2の選択肢だが、これは負けを認めると同じじゃないか?それは俺のプライドが許さん。残る選択肢は3のみか…
「ユートっ!!」
「!?」
「人の話、聞いているんですか!?まったく!何回も話掛けているのに反応無しなんて、悲しすぎます!」
「ご、ごめん、悪かった。」
「もういいです、えーと、この世界についてでしたよね?」
「おう!」
「えーと、まずこの世界は大きく分けて3つあります。まず私達人間、つまり人族ですね。それらが住んでいるのが人間界です!」
「つまり、ここに住んでいるのが人間界と?」
「はい、その通りです。ちなみに人間界には3つの王国がありまして、ここがレグルト王国です。残り2つがシトラース王国と、エルラット王国です。」
「うむ 分かった!」
「次に魔界です、そこには悪魔、エルフ、ドワーフ、ゴブリン、まぁ簡単に言うと魔族が住んでいます。これからユートさんに倒してもらう魔王もここにいるわけですね。」
「ふむ」
「でもどうにも魔族ばかりが悪いという気がしないんですよね私は…」
「なんだそりゃ」
「まぁそのことは今は置いておきましょう。最後に天界です。ここは空中都市だから、あんまり詳しく分からないのですが、天使、神、ドラゴンなどがいると本に書いてありました!
ざっとこんなものですが、分かりましたか?」
「分かった、それで、天界の場所は分かった、なら魔界はどこにあるんだ?」
「人間界のずっと西にいった所です。つまり人間界と魔界は隣接しているわけなのです!そのため領土拡大のために戦争が起こります。だから勇者の力も必要になるのです!」
「うむ、分かった。で、勇者勇者言われてるけど、俺に何か力でも備わってるのか?」
「はい、そのはずです、大抵は異世界から来た人は莫大な力が備わってると聞きます。」
あーそれな。俺も聞いたことあるわ。
これがテンプレってやつね。
「で、俺にはどんな力があるんだ?」
「そーですねー、まずは力について説明しますね!
まず人族が使う力を精力、魔族が使う力を魔力、天界族が使うのが聖力と言います。」
「ふむ、つまり俺の力は精力となるのか?」
なんか響きがエロいな。
このことは言及しないほうがいいな。
「はいそうです。次にそれぞれの力の特徴です。一般的に強さは魔力>聖力>精力の順ですね。
どういうことかと言うと、例えば同じファイアーボールという術を使ったとします。
すると、精力で使った術より魔力で使った術の方が強く発動します。そういうことです。
また、魔力は主に攻撃術に補正がかかり、聖力は防御、回復術に補正がかかり威力が上がりますね。」
「あー分かった。だが、その話を聞くと、どうも精力の良さがないんだが…」
「精力はそもそも精霊や妖精から力を借りて行使します。だから体に備わっている魔力、聖力に比べて弱いのです。
だからここを使うんですよ、ここを!」
イスカが指で頭を指した。
「頭?」
「そうです!頭です!私達人間はこの魔力、聖力の絶望的な差を埋めるために、色々開発してるのです!
これを見てください!じゃーん!」
イスカの指に不思議な指輪がはまっていた。
「なにこれ?」
「ふふ、これは精力強化指輪です!これを付けると精力が3倍になるのです!」
エッヘンっと胸を張った。
すると、大きなパイもぶるんぶるん震える。
まったくけしからん!俺の精力も3倍よ!
そうやってくだらないことも考えながら説明を聞き、2日目が終わった。
上手く書けたかなー?
書けてたらいいなw
ちなみに俺は国語の成績はあまり良くなかったですw