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王立魔法学院の司書  作者:
長い一日
3/21

ここはどこ? ……たぶん書庫

 さて。

 現状を確認しよう。


 あたしの名前は青井弥冬(あおいみふゆ)。十六歳。

 向学舘高校二年生。帰宅部、図書委員。

 家族は父・母・兄・兄。


 ……うん。基本的なことは覚えている。『私は誰』はナシ。

 で、『ここはどこ』?


 答えは、たぶん『書庫』。でも、あたしの知ってる書庫じゃないのも確か。


 あたしの知ってる書庫は、スチールの書架で、床はグレーのリノリウム。蔵書はハードカバー七割、ペーパーバック(文庫名含む)三割、ってとこ。

 でもここは。

 固いなめらかな石敷きの床。

 うっとりするような飴色の艶を放つ木製の書架。

 そこに納められている蔵書は、といえば。

 ペーパーバックは見当たらない。全部ハードカバー。しかも、全部革装丁(推定)。もしかしたらページも紙ではなくて羊皮紙かも?


 それから、こちらに向かって歩いて来るロン毛くんの服装も、妙にクラシカルだ。

 これはアレだよね。お約束のヤツ。

 タイムスリップ。

 または。

 異世界召喚、もしくはトリップ。


 念のために座り直して頬っぺたをつねってみた。地味に痛い。

 うぅ。目の前に立ったロン毛くんが、かわいそうな子を見るような表情で見下ろしてる。


「……*****。**」


 溜め息吐かれた。で、言葉は解らないけど、たぶん「立て」って言ってるんだろう。手を差し延べてくれてるし。

 顔を上げて、ロン毛くんの表情を見返す。

 ……無表情。でも、怒ってるとか機嫌が悪い、とかいう雰囲気ではなさそう。

 おそるおそる差し延べられた手を掴む。思ったよりも固く大きい手。

 とたんに何かがぶわり、と、押し寄せて来る。だが、それも一瞬のこと。

「何、今の」

 言葉が通じないのは解ってるけど、思わず口をついて出てしまった。

 見上げたロン毛くんの顔に興味深げな表情がうかんでいる。さっきの『ぶわり』は、彼にとっても意外なことだった?


「##」


 ロン毛くんが小さく首を振り、何事かをつぶやく。すると、辺りの風景がぱっと変わる。どこかはわからないが、とりあえず屋外のようだ。

 って、今のもしかして、魔法ってヤツ?

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