エピローグ
寝室に入り、【灯】を点す。
寝台脇の卓上には先送りにしているあれこれの資料が山積みされている。
「……これを捌いてくれる人も必要だな。……その資料もこの中か」
人事の資料、設備の資料、備品の資料……
三十人もの学生を一度に受け入れることになるのだ。それなりのものを準備しておかなければならない。しかも毎年ほぼ同じ人数が増えていくのだ。そして、最初に受け入れた学生達がものになるか諦めるかするまで、学生の数は減らない。ものになるまで最低でも三年、いや、五年は見ておいた方がいいか。少なくとも施設はそれに見合った物を用意しておかなければなるまい。
「……早まったな」
この山を目にする度につい零れてしまう愚痴が口を衝いて出る。
学生の受け入れはしかたがない事だろう。
だが、開学まで一年、というのは性急すぎる。せめてもう一年、指導者を育成する時間を与えてはくれまいか。
一年で指導者の育成は難しいかもしれないが、そのための人手……の資料はあの山の中か。心が折れるな。
「……とにかく明日は、もう一度王宮に行って、……彼女に説明しないとな」
帰すことは可能だが、すぐには無理だ、と。
……どんな反応が帰ってくるやら。