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第8話

今日は約束の金曜日だった。俺は悶々としながら部活に出た。いつもは部活の時間が楽しみだったが、始まる前から早く終わらないかなとずっと思っていた。テニスラケットにボールが当たる音よりも、直美ことが気になって無心になることができなかった。


いつもよりも倍ぐらいはあるんじゃないかと思う時間を終わり、部室でドキドキしながら制服に着替えていた。


「慎吾、帰りにどっかで遊ぼうぜ」


俺はなんてタイミングの悪いやつだと思った。俺が暇なときは彼女と遊びやがって。今日は地球があと一時間後に無くなるとしても、音楽室に向かうぞ。


「今日は用事があって無理なんだ」と俺はなるべく怪しまれないように言った。

「えっ、用事なんかないだろ。いつも暇そうじゃん」

「いや、今日はたまたま用事があるんだよ」


浩司の目がキラッと光ったような気がした。


「用事って何?」

「ま、まあ、ちょっとね」と俺は焦って言うと、浩司は探るような目つきをした。

「なんか怪しいな」

「そんなことないって。浩司は彼女とでも遊べばいいだろ。俺は一人寂しく用事を済ますからさ」

「まあ、如月さんと会うなら仕方ないけど……」


浩司はニヤニヤしながら見ていたが、いまは気にしないことにした。


「そんじゃあ、先に帰るね」と俺は言い、浩司を残して部室を出た。


俺は急いで第二音楽室に向かった。


しかし、今日はいつもなら聞こえてくるはずのピアノの音がまったく聞こえてこなかった。俺は音楽室に近づくにつれ、どんどん不安な気持ちになった。


第二音楽室の前に着いてもピアノの音は聞こえてこなかったので、やっぱりからかわれたのかなと思い、落胆しながらドアを開けた。

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