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第11話

直美の家がどこにあるのかは前に聞いていたし、だいたいの場所もわかっていたので、思ったより迷わずに着くことができた。


直美の家に行ったところで何が変わるわけでもないし、会ったところで何を話したらいいのかもわからなかったが、とにかく急いで行かなければということで頭が一杯だった。


俺は直美の家の前を通りすぎたり、戻って来たりを何度も繰り返していた。ここに着くまでは乗り込んででも直美に会ってやると思っていたが、いざ家を目の前にすると怖気づいて何もできなかった。


もともと無計画なのもあったが、直美の家は思っていたよりも大きく、とても乗り込めるような雰囲気ではなかった。


俺は家の前でインターホンを押そうとして途中で止め、また押そうとして途中で止めを二回ぐらい繰り返したときに後ろから声がした。


「何か用ですか?」


俺は背筋がビクっとなった。


「い、いや何でもないです」と俺は言い、反射的に振り返ると直美が驚いた顔で立っていた。

「慎吾! どうしたの?」

「えっ、あの、えっと、ちょっと用事があって」と俺はうろたえながら言った。

「そうなんだ。じゃあ、荷物置いてくるからちょっと待ってて」と直美は言い、家の中へ消えた。


しばらくすると直美は家から出てきて待たせてごめんねと両手を合わせて言った。俺がその後に喋ろうとすると、直美はここで話してるとちょっとまずいから少し歩こうと言い、とぼとぼ知らない道を直美の後について行った。


「私の家、よくわかったね」と直美は不思議そうな顔で言った。

「前に家の場所は聞いてたし、だいたいの場所はわかってたから」

「そっか。今日は音楽室に行けなくてごめんね。緊急な用事があって、どうしても行けなかったんだ」


俺は直美の顔を窺っていたが、特にいつもと変わらず、これから留学するなんて微塵も感じさせないようだった。


「それは別にいいんだけど――」

「到着。ここでゆっくり話そう」と直美は突然言った。

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