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夢境物語  作者: 大久保利通
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無駄な足掻き

「アラアラ、こんな程度で痛がるんじゃ、遊べないじゃない」


リンドウの目の前には妹の姿をした、何かがいた。


リンドウの腹には大きな傷ができていて、胸の骨まで傷が深く入り込んでいる。


リンドウは力の抜けた声で叫んだ。

「お前は誰だ!」


「あんたの妹だよぉん」


そう言って、その妹ではない何かは、悪魔の見た目に変わっていった。

例えるならそう、サキュバスのような見た目の角の生えた女の悪魔だ。


その悪魔はリンドウの腹の上に跳び乗った。


「ソリャ!ソリャ!」


卑猥な腰の振り方をしながら

リンドウの顔を殴りつける。

リンドウは抵抗する力もなく、殴られ、意識が朦朧としていく。


悪魔はリンドウの首を掴み、持ち上げ、柱に叩きつけてきた。

そして、その衝撃で神殿の天井が崩れ、大理石の床にヒビが入った。


悪魔は笑顔でこう言った。


「あんたの妹はもっと抵抗したのにねぇ、

やっぱり人間の男っていうのは女よりアタシに魅了されるノヨ」


リンドウは動揺したが、悪魔に惑わされずに

こういった。


「うるせぇ!クソババア

お前の息くせぇから、喋んな!」


その悪魔は一瞬キレた顔をしたがすぐに、笑顔で


「そんなこと言っちゃうほど追い詰められてるってことだよね~」


と微笑み

次の瞬間顔が急変した。


「殺す!」


と言い放ち

リンドウの首を掴みながら、反対の手で、明らかにやばいと分かる、禍々しいエネルギー弾を作り出す。


リンドウも必死にもがいて抵抗した。

しかし相手の掴む力はますます強まるばかりだ。


リンドウ「クソ!死にたくない!」


夢の中で激痛が走る。

もしも夢の中で死んでしまったらどうなるのだろう。

夢から覚める保証なんてない。


そもそもここが夢なのかも怪しい。


リンドウの顔の真横にエネルギー弾が近づく、


リンドウは死を覚悟した。

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