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98. 晴子再び。

#颯斗side ────



愛莉の誕生日当日。

午前中、ネットで受けたイラストの件で依頼人に会うと出掛けて行った愛莉から、このまま友達と久し振りに会って遊んでくるから遅くなるとメッセージが入っていた。


おそらく誕生日という事で、地元の友人が会いに来てるんだろう。


出掛ける前に、通販で買った荷物が届く予定だから、届いたら部屋の中に入れておいてくれ。とも言っていた。

…愛莉のヤツ、俺が一日中ずっと部屋にいるとでも思ってんのか?


今日は午後から気になる講義もあるし、大学へ行こうと思ってたんだが、バカップル事件が千代音からみゆりに回ってたらと思うと、なかなか意識と足が大学に向かない。


まぁ大学は広いし、絶対にみゆりに会うかと言えば確率は低いし、千代音が話してるかどうかも定かじゃないんだが…、あの女とはどうも縁があるらしくて、気がつくと俺の周りに現れる。


…みゆりの様子を見る限り、探してる風でもなくマジで偶然っぽいんだが、ホントは探してんじゃねーのか?と言いたくなる確率で遭遇する。


大学にいる間は、千代音にみゆりがどこにいるか聞いて避ける事も考えたが、それをやると逆に今度は千代音のストーキングが増長するだろうな…。


(やれやれ…、……ん)


ポケットに入れているスマホが振動している。

見ると大和から電話だ。


「…どうした?」


また新見晴子の事で何か分かったかと電話に出ると、大和は『愛莉ちゃんいる?』と聞いて来た。


「……は?」


『だから…愛莉ちゃん、いないの?連絡取れないんだよねー』


「俺は愛莉の保護者じゃねーぞ」


『でも一緒に暮らしてるだろ?』


…あぁ、そう言えば大和は愛莉が引っ越した(隣に)事は知らないんだったな。

いや一緒に暮らしてる頃と、大して変わらないのは変わらないんだが。


色々と話すのが面倒で、隣に引っ越した事は説明せずに出掛けたことだけを伝える。


「友達と飯行くって言ってたぞ。どこに行ったかまでは聞いてねーけど、誕生日だしな…帰りは遅くなるらしいし、少しハメ外してくるんじゃねーの」


そう言うと、電話の向こうで大和が息を飲んだ気配がする。


『…誕生日!?』


「……?…あぁ」


『なんで教えてくれないんだよー!!…あー、急いでプレゼント用意しなきゃ…、またな颯斗!!』


「…は?おい大和?」


名前を呼ぶがもう電話は切られていて、無情な電子音が聞こえてくる。

…なんだアイツ…、誕生日プレゼント用意するのか?


少しモヤっとするが、あの男は天然の人たらしだし、愛莉を狙ってんだ、プレゼントくらい用意するよな…。


「…………」


まぁ俺には関係ないが。


(…やっぱり大学行くか…)


このまま一人でいると、何故か愛莉と大和の事を考えてモヤモヤしちまいそうだ。

俺は仕方なく着替えると、スマホだけ持って家を出た。



♢♢♢♢♢♢



大学に到着したのは、気になっていた講義の時間より早い時間だった。

アチコチぶらぶらしてると人に会う確率も高くなるし、時間としては早いが教室へ行ってみる事にする。

教室が開いてれば、講義が始まるまでそこで寝てても良いだろ。


(この講義してる教授は結構好きなんだよな…、何となく大学に進んだだけで目標なんぞねーし、まだ先の話だが卒研の研究室はこの教授の研究室でも良いな)


まぁ研究室だって成績順で選ぶだろうし、行きたいっつって行けるとも思えねぇけど。


……大和やみゆり…やっぱりあいつらは先の事とか考えてんのかな…。


(新見晴子は教師っつったか…)


ぼんやりとあの女の顔を思い浮かべる。

昔からしっかりしてて、学級委員も立派にこなしてたし、向いてるかも知れんな。


目的の教室に到着して扉に手を掛けると、すんなりと開いた、鍵は掛ってないらしい。

中を覗くと、さすがに早い時間だけあって誰もいない。

…まあ、そもそも人気の講義でもねーしな。


適当に端っこの席に座ると、つい流れというか癖でスマホを見てしまう。


(大和からメッセか…、愛莉の好きなもん?…知るか)


ガキの頃はぬいぐるみとかキャラ物が好きだったが、今も好きとは限らないし思えない。


俺は知らん。と一言だけ返信するとスマホをポケットにしまった。

静かだし講義始まるまで寝るかと思っていると、扉が遠慮がちに開く。


(……ん?)


俺の他にもこんなに早く来る奴がいたのか…と顔を上げた俺は、教室の中を覗き込んだ顔に血の気が引いた。


(新見晴子…!?)


…え、何でここに!?

お前は教師志望だろ?

この講義は教員免許に全く関係ねーだろうが…!


俺に気付いた新見はペコリと頭を下げると教室に入って来る。

先に教室にいたのは俺の方で逃げ場がない、これで出て行ったら、さすがにあからさま過ぎる。


仕方なく、俺は新見晴子にならって少しだけ頭を下げると、机に突っ伏して寝る体勢を取った。

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