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93. 狙われた颯斗[4]

#颯斗side ────



思考が止まる。

…え?なんでコイツここに来た?しかもなんで裸?


「あ、勘違いしないで下さいね?お礼にと思って今回は特別ですから」


「…は?いや…勘違いも何も…、え?お礼?」


「今日は私にすごく優しくしてくれたからぁ…、そのお礼に身体を洗ってあげますね」


「いや…優しくした覚えねーし、取り敢えず気持ちだけ貰うから出て行って?」


忘れてないか?

俺はお前の親友とやらの彼氏(設定は)だぞ!?

こんな真似して良いと思ってんのか!?


そう言うと、美穂は恥ずかしそうに俺に近づいて来て、バスタブの傍にしゃがみ込んだ。


「…お…おい!!くんな!!」


ヤメロ!!見えちゃうだろ(こっちが)!

俺はお前と違ってバスタオル巻いてねぇんだぞ!!


特に俺は入浴剤も入れないから、透き通ったバスタブの中には俺の裸体が丸見えだ。


よくあるユニットバスだから、普通にゆったりと入っていると、全身余す事なく隅々まで見える。


(平然とした顔しやがって!!)


だが平然として見えていてのは少しの間だけで、バスルームの熱気のせいなのか、美穂はすぐに顔を赤らめた。


「真城君…私の事…どう思いますか?」


「…はぁ?どうって…出てって欲しいと思ってる」


正直に言うと、美穂はヒクッと口元を引きつらせた後、俺の胸元へ手を伸ばして来た。

綺麗なネイルで彩られた指先は、見るからにバスケなんてしそうな手ではない。


「…私…真城君が千代音の彼氏だって分かってるのに…。ダメだって分かってるのに、気持ち止められないんです」


…いやいや、止められないって…。今回会ったの2回目だぞ?

お互い名前しか知らねーのに、そこまで好きになるか?

どんだけ惚れっぽいんだ?


「真城君…」


涙を浮かべた瞳と、甘えるように名前を呼んで見つめてくる美穂に背筋が総毛立ち、吐き気がする。


…いや、無理!!


何なんだ?まさか良い雰囲気だとでも思ってんのか?

これ明らかに痴女だろ。


「……ダメだって分かってんなら、そこは我慢するべきだろうな」


「…へ?」


冷静に冷静に…。

内心メッチャ動揺しまくってるんだが、それを悟られないように平然を装う。


「いや…だって、そもそも有り得ねえだろ。親しくもねぇ男の家に深夜に押し掛けてきた上、人が風呂入ってる時にわざわざ半裸で入って来て身体洗おうか?とか、…大丈夫かお前?普通じゃねーぞ?」


そう言うと美穂の顔はみるみる真っ赤になっていく。


「…え?…え?だ…だって…部屋に入れてくれたじゃないですか、私の事好きに…」


「は?部屋にって…、誘ってもねぇのに強引に来たんだろ。入れてやっただけでも感謝して欲しいくらいだっつーのに、好き?気持ちが止められない?頭イカれてんのか?この状況、本当に相手が喜ぶと思ってやってんのか?」


「ななな…」


「そもそも終電逃したまでは分かるが…こんな時に止めてくれる女友達とかいねーの?なんでわざわざ、泊まる先に男の家を選ぶのか理解に苦しむぞ」


俺も人の事は言えないが、やっぱりこういう困った時に助けてくれる同性の友人ってのはいた方がいいよな。

…別に大和の事を言ってる訳じゃないが。


「…悪い事は言わねーから、友達は作っておけよ。それから早く出て…」


「……ふふ」


「…?何だ?」


「…やだぁ、だって…真城君…変な勘違いしてるから。別にそんなんじゃないし」


…まぁ確かに、気持ちが止められないって言っただけで、好きとは言ってねーな。


「お礼しようと思ってたけど、このままじゃ余計に勘違いされて身の危険を感じちゃうから…、今日はやっぱり帰りますね」


張り付いた真っ黒い笑顔のまま立ち上がると、美穂はそそくさと脱衣所へ戻って行く。


服を着て出て行った姿を曇りガラス越しに確認してから、俺は深く息を吐いて脱衣所のドアを開けた。


(…よし、いないな)


出て行ったんだとしたら、早く服着て玄関の鍵を締めねーと。


髪も濡れたままリビングに戻ると、エアコンを付けておいたはずのリビングが蒸し暑い。

嫌な予感を感じながら玄関に行くと、案の定、玄関のドアが全開で開けっ放しだった。



#美穂side ────



イライラしたまま着替えて家を出る時、嫌がらせに玄関を開けっ放しにしてやった。

今頃虫が沢山入って来てるだろう。


(はぁー、ムカつくー)


どうしてくれようか。

人の誘いを蹴った上に、友達いないみたいに言ってくれちゃって…。


(わざわざやりたくもないバスケまでやったのに…)


溜め息吐きながらチラッと指を見る。

バスケなんかやったせいでネイルが禿げてるし、中指なんか折れてる。

またサロンの行き直しだ、いくらかかると思ってんだよ。


(長谷川が颯斗の連絡先知ってるっつーから、誘ってもらったけど上手くいかなかったな)


どうやってやり返してやろうかと考えていると、スマホがピロンッとメッセージを知らせる。

開いてみると、今回颯斗をバスケに誘うように頼んだ長谷川からのメッセージだ。


内容は『上手くいったか?真城を誘う代わりに、俺と遊びに行くって約束忘れんなよ』と、ご丁寧に約束した事まで書いてある。


(…うるせーよクソ!!誰がてめえとなんか遊ぶか!鏡見てから言え!!)


私は速攻で長谷川をブロックすると、彼氏にメッセージを入れた。

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