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90. 狙われた颯斗[1]

#颯斗side ────



その女に再会したのは、大学で同じ講義を受けている、長谷川から誘われたストバスだった。

来る予定だった1人が来れなくなったらしい。


(…もう夕方だぞ、めんどくせぇ気もあるけど…久々に走り回るのも良いか)


いつもなら誰かに誘われても頷く事はないんだが、元々バスケが好きだったのと、運動不足もあって行ってみる事にしたんだが…結果としてこれが間違った選択だった。


講義が被る事が多くて、情報共有の為に連絡先を交換してから親しくなって、何度か飲みに行ったり俺ん家で宅飲みした事があった。

…まぁ、大学に入ったばかりの頃の…本物の颯斗の話だ。


今はほとんど連絡を取ることもなくなってたし、今さらだが、そんな相手から久々に連絡が来た事を不審に思うべきだったよな。

 

バスケどころか運動も久々だったが、俺はやっぱ身体動かすの嫌いじゃなくて「次は俺とやろうぜ」と、フープに集まる色んな奴らから誘われるまま、時間を忘れて遊んでいた。


(よし、これだけ点差があれば勝ち確だろ。……ん?)


今夜の飯を賭けてゲームしようと言い出した奴の助っ人として3on3を楽しんでいると、騒がしい連中がコートへ入ってきた。


もちろんこのコートは誰でも使えるし、そこは問題じゃない。


(あの女…確か千代音の…)


間違いない。

あの騒がしい連中の中でニコニコと愛想振り撒いてる女は、(例の如く名前は覚えてねーけど)千代音とカフェに行った時に図々しく割り込んで来た女だ。


(何でここに…)


このフープはどっちかっつーと、ウチの大学のバスケ好きが集まる所だ。

まぁ、ウチの大学の公園じゃねーから、それ以外も当然来るけど。


(やっぱり、らしくねー事はするんもんじゃねぇな)


最近は周りの女達の事でストレスもあって、少し身体を動かしたくて誘いに乗ったが、間違いだったな。


俺は持っていたボールを、近くにいた同じチームの奴に放り投げるとコートから出て、ベンチで休んでいた奴に声を掛けた。


「代わってくれ」


「…どうしたんだ?怪我?」


「疲れた」


「は?体力なさすぎだろ」


そう言いながらも、誰かは交代しねーとゲームが出来ないし、男は仕方なさそうに俺の代わりにコートに入る。


それを確認してからベンチに置いてあった自分のタオルを顔を隠すように頭からかけると、ひょこっと女が俺の顔を覗き込んで来た。


「あ…、やっぱり!こんにちは!私美穂、覚えてます?」


…遅かったか。

見ると、例の女がニコニコと上目遣いに見ている。


「…さぁ」


覚えてはいるが興味はないし、適当に答えると、美穂は俺に水筒を差し出して来た。


「千代音の友達ですよ、会ったじゃないですか。はい、スポドリです」


「……俺は良い。ゲーム終わったら、今ゲームしてる奴らに出してやれよ」


そう言って公園の自販機で買ったぬるいミネラルウォーターを飲んでいると、美穂は当然のように隣に座って来る。


「………」


少し離れた所に座り直すと、美穂も何故かついてきて、やっぱり俺の隣に座った。


「こっちの方が涼しいんですか?」


(…涼しい所に移動したんじゃなくて、お前から離れただけだけどな)


そう言ってやろうと思ったが、千代音の立場を考えて口をつぐむと、美穂は一方的に俺に話しかけて来る。

…返事はおろか、頷く事もしてねーのに、よく話せるな。心臓に毛でも生えてんのか?


コイツの話は右から左に聞き流してゲームを見ていると、ちょうどブザー間近ギリギリでスリーを決めた俺のチームが買った。


(…これ…俺もメシ奢って貰えんのかな)


そんな事を考えていると、美穂が俺の腕を掴んで立ち上がった。


「…?おい、離…」


「次は私も入る!ね、真城君も行きましょう!ほらほら!」


「は?俺はもう疲れ…、おい!引くな!!」


なんて強引な奴だ!

結局コートまで引き摺り出されちまったぞ。


(…ここまて来たら仕方ねぇ、このゲームだけやって帰るか)


見ると美穂はバスケットボールを手に俺を見ている。

それに他には誰もコートに来ていない、…1on1か?


「…バスケの経験は?」


「それなり?ですね!」


フンス!と鼻息荒く、ボールを両手で持っている美穂には、バスケが出来るか以前に、運動神経のカケラもなさそうだ。


まぁそれなりにでも出来るなら良いか。

ギャラリーの視線も集まってるし、このまま何もせずに帰れる雰囲気じゃない。


「よーし!3点先に取った方が勝ちって事でどうですか?」


美穂がそう言うと、ギャラリーから「勝負なら何か賭けろ!」とヤジが飛んでくる。


(余計な事言ってんじゃねーよ、クソ共…)


様子を伺うと、美穂はわざとらしく首を傾げて少し考えた後、何かを思いついたように人差し指を立てた。


「…じゃあー、勝てたらぁ、キスしてあげても良いですよ?」


美穂が俺の顔を覗き込みながらそう言った直後、ギャラリーが騒がしくなる。

…黙ってろ陽キャ共め。


「いや、それじゃ勝つ意味ねーんだけど…。せめて俺に特があるような内容にしねーか?」


美穂の笑顔が固まる。

…いや、何で自分のキスが賞品になると思ってんだ。

まずそこに驚くわ。


つーか、ギャラリーの野郎共、本気で知らねぇ女のキスなんか欲しいのか?

この女のキスは体力回復とか能力アップとか、なんか特殊効果でもあんのか。

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