表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/160

77. あゝ憧れの少女漫画。

図書館に入ると、ひんやりとした空気が肌を指す。

暑い野外にいたせいで、少し汗ばんだ肌に冷たい空気が心地良い。


辺りを見回すと人の少ない壁際の席で、スマホを弄っている真城君の姿を見つける。


緊張しながら近付くと、真城君は私に気付いて(ん?)と首を傾げた。

…眼鏡をしていない事に気付いてくれたんだろうか。


「…早いな、まだ11半にもなってねぇぞ」


…そっちか。

ガッカリしながら頷く。


「うん…その…、用事が早く終わったから…」


…嘘、用事なんてない。

でもそれは言わずに、私は真城君の隣に腰掛けた。

さりげなく下ろした髪をさらりと真城君の前に見せると、私は勇気を出して口を開いた。


「あの…今日カフェの後…」


何処かに行かない?そう言おうとすると、真城君はさっさと立ち上がって私を見下ろした。


「早く行こうぜ、昼になったら混むんじゃねぇか?」


「……あ…うん。そ…そうだね」


髪を下ろしてる事も気付いて貰えなかったか…。

でも大丈夫、カフェでゆっくり話す時間はある。

カフェにいる間に、この後の予定を決めれば良いんだから、焦る事ない…。


(きっと真城君だって、食事して「はい、サヨナラ」なんて思ってないはず…)


私を待たずに歩き出した真城君の後を追った私は、図書館を出た後でさりげなく隣を歩く。


横目でコッソリ真城君を見ると、完璧に整った横顔に心臓がまたしても跳ね上がった。


(か…かかかかっこいい…!!)


私は大学で真城君を見かける度、ずっと見続けてきた。

少し足が速いのも、足が長いから歩幅が大きいのも知ってる。


(それに…)


歩く時、よくズボンのポケットに両手を入れているのも…知ってる。


「……あ」


珍しく今日はポケットに手を入れていない。

しかも、左手はポケットに入れているのに、私が歩いている側の()()()()出していた。


(ここここ…これは…!!もしかして手を繋ぎたいアピールだったり…!?)


ちらりと手を見ると、大きくてゴツゴツしてる手に、手フェチの私はまたしても心臓を射抜かれる。


(うぅ…、長い指…!!さわりたい…!!)


いや…さすがにここまで来ると、自分の都合の良い方に考えてしまってるだけなのは、冷静になれば分かるんだろう。


だけど今の舞い上がった私はそれに気付けなかった。

ドキドキしながら真城君の右手に手を伸ばす。

もう少しで指先が触れそうになった時、真城君は歩いていた足を止めて私を振り返った。


「…きゃあ!!」


その瞬間我に返った私は、真城君の手を握ろうとしていた手を背中に隠した。


「………」


真城君は不審そうに私を見ている。

…そりゃそうだろう、急に悲鳴を上げれば、誰だって怪しむに決まってる。


「…何かあったか?」


「い…いえ…!ごめんなさい…何でも…」


手を握ろうとしていたなんて、口が裂けても言えない。


「そ…それで?どうしたの?」


慌てて話題を変えようとすると、真城君は「どっちなんだ?」と聞いてくる。


…道順の事みたい。

そうだ、私が案内するって事で大学で待ち合わせる事にしたんだ、浮かれていて忘れてた。


「こっちよ、ごめんなさい…ボーっとしてて」


「いや別にいいけど、…目の下とかクマがスゲーぞ?寝てねぇのか?」


もう、…私のクマを気にするなら、コンタクトにした事とか、いつもと違う髪型とかに気付いてよ…!


何とか気付いて欲しいけど、自分から「コンタクトにしたんだけど、どうかな?」って言い出すのは負けな気がする。

やっぱり真城君の方から気付いて、その事に触れて欲しいもんね。


何とか緊張を隠しながら真城君をカフェまで案内した私は「この店だよ」と真城君を振り返った。



#颯斗side ────



どうにもこの女はさっきから挙動不審だな。

自分から無理に誘っておいて、心ここに在らずの状態だ。


(ま、関係ねーけどな。どうせ飯食ったら終わりだ。むしろボーっとしてんなら、話さずに済むから楽なくらいだ)


とっとと飯食って、とっとと解散したい。


店内に入ると、なるほど女達が好みそうな雰囲気だ。

野郎だけじゃ絶対に入れない雰囲気とでも言おうか…。


どうやらタイミング良く昼時の混雑を避けられたらしい。

待たされる事もなく、案内されるまま席に着くと、カフェ店員はメニューの説明をして去って行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ