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73. マウント合戦はしたくない。

メニューを決めていたはずが話が脱線したり、新しい話題が出て来たりして、なかなか頼む物が決まらずに数十分。


やっとオーダーを終えた後、1人の友達が咳払いをした。


(…?何だろ…ゆかり、何か話したそうだけど…)


そうチラッと紫を見ると、紫はさりげなく皆んなに手首を見せている。

ソワソワとしながら皆んなが見えるように手首を動かす紫に、私は目を輝かせた。


「紫…それ…、◯◯◯◯のブレス?」


確か紫がずっと欲しがっていたアクセサリーだ。

お金貯めて、絶対買うんだ!って頑張ってたけど、…そうか買えたんだ。


良かったねーと言うと、紫はニヤニヤ笑いながら手首を隠した。


「えー、見ちゃった?実はコレ私が買ったんじゃないんだー」


…ん?嫌な予感がする…。

他の皆んなを見てみると、(なにバレバレのアピールに引っかかってんだよ…!)という顔をしてる。


「新しく出来た彼氏がね?そんなに欲しいなら俺が買ってやる!って…」


しまった、ソッチだったか…!紫の惚気話は長いんだ…!

だけど後の後悔先に立たず、紫はニッコニコで話を続ける。


「高いから私は遠慮したんだけどー、紫が欲しい物は全部俺が与えてやりたいんだ!なんてさー。すっごい優しいの!」


そんな台詞、現実に言う人いる?

嘘でしょ?妄想じゃないの?


(…っと、こんな事思っちゃダメ。地味な私と違って紫は可愛い。私にいないからって、紫にもいないとは限らないんだから…)


皆んなが偽物の笑顔で紫の彼氏の事を(表面上)興味津々で聞いていると、紫は私に笑顔を向けて来た。


「千代音は?まだ彼氏出来ないの?」


「……」


始まった、案の定だ。

この手の話になると、いまだに彼氏が出来たことがない私がターゲットにされる。


(くだらない…。私なんか明らかに皆んなと違って、地味メガネの陰キャなのに、私みたいなの相手にもマウント取りたいの…?わざわざマウントなんて取らなくても、負けてるに決まってるじゃない…)


こんな事を思ってしまう惨めな自分も嫌だし、私相手にマウントを取ろうとする友人達にも嫌気がさす。


せめて一矢報いてやりたいけど、彼氏がいないのもモテないのも事実で、何も言えずに笑顔のまま黙ってしまう。


「やめなよ紫…、千代音に彼氏って…」


「そうそう、千代音は2次元にしか興味ないんだもんねー」


「え?今は何だっけ?ハマってるゲーム」


明らかにバカにしたように話し始める4人に、私はついこう言ってしまった。


「彼氏ならいるよ?こ…告白されたの!」



♢♢♢♢♢♢



そうして現在。

私は真城君に彼氏の代わりを頼む為に電話している。


あの後「彼氏出来たなら教えてよ!」「どんな人?」「写真ないのー?」「会わせてよー」などと質問責めにあい、最終的に美穂の言った「どうせ千代音と同じ陰キャのオタク男でしょ?」と言う言葉に、私は爆発してしまった。


「すごいカッコいい人だよ!」


…と、見栄を張って(と言うか、イケメンどころか彼氏が出来たと言う事自体が見栄なんだけど)しまったというわけだ。


じゃあ今度会わせてね?という友人達に、引くに引けなくなった私は頷いてしまい、後から自己嫌悪に頭を抱えた。


こうなったら頼めるのは真城君しかいない。

イケメンだろうとイケメンじゃなかろうと、私の異性の知り合いは真城君しかいないんだから。


「…あ…、違うの。付き合って下さいって…、そう意味じゃなくて…。あ…いや、そういう意味なんだけど」


勢いで言ってしまったから、ちゃんと説明しようにも、しどろもどろになってしまう。


仲間内の私の低い立場や、いつも何となく馬鹿にされている事を上手く隠しながら、何とか昼間あった事を説明して、真城君にも状況を理解してもらう頃には、時間は日付を超えてしまっていた。

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