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72. マウント取りにはご注意下さい。

#千代音side ────



どうしてこんな事になってしまったのか…。

電話の向こうで、真城君が驚いて絶句している姿がまざまざと想像出来る。


(でも…他に()()()()がいない…)


今日の昼間、久し振りに高校時代の友達数人とお昼ご飯を食べた。

…友達と言っても、たまたま隣の席の女の子と話すようになっただけで、気が合って仲良くなった訳じゃない。


高校はみゆりとクラスが分かれてしまって、友達を作るのが苦手な私は、言われるままに隣の席の子のグループに入る事になり、高校生活はずっとそのグループと探していた。


そしてその子から、久しぶりにメッセージが来た事が始まりだった。

今日のお昼、久し振りに高校の時に仲良かった皆で食事に行くから千代音もおいでよ。と言う内容だ。


気は進まなかったけど断るのも嫌で、私は行く。と返事してしまったのだ。



♢♢♢♢♢♢



────数時間前、昼間。



正直言って、高校の時に仲良かったグループは私とは違う性格…つまり明るい子達ばっかりで、一人で本を読んでいるのが好きだった私は、その子達が苦手だった。


でも…いわゆるボッチでいる勇気もなくて、結局言われるままにそのグループと付き合って3年間が過ぎた感じだ。


(表面上は仲良くしてても、水面下では足の引っ張り合いをしている子達だったなぁ…)


届いたメッセージは既読を付けてしまった。

返信しない訳にもいかない。


(メッセージ開かなければ良かった…、そうすれば夕方頃にメッセを開いて、"気付かなかった、ごめんね"とでも言って済ませられたのに)


私は仕方なく、もちろん行くよ。との返信を入れて溜息を吐いた。


(何がもちろん…よ、行きたくないくせに…)


それでも自分がいない所で、皆んなが何を言うか不安になってしまうから、毎回誘われるままに顔を出す。…悪いクセだ。


特に()()()らは、その場にいない子を話題にする事で話を盛り上げる。

…もちろん、悪口で…だ。


ほんのさっきまで仲良く話してたと思ったら、一人がトイレに行った瞬間に、トイレに行った子の悪口が始まり、トイレから戻って来た途端に元に戻る。と言うのは毎回だ。


それも特定の1人じゃ無くて、誰の事でも同じ。


つまり人の悪口や文句を言って、自分の方が上だと認識したいタイプの集まりって事…。


(話を振られるたびに笑顔で誤魔化したり、その場の雰囲気を壊したり嫌われたくなくて、そうだねーなんて言ってその場をやり過ごす私も同じか…)


そんな理由で本当は行きたくないんだけど、行かなかったら行かなかったで、私の悪口大会が始まるに決まってる。


(誰が言い出したんだろ…)


どうせストレス発散に誰かの悪口を聞いてもらいたいだけか、幸せ真っ只中の奴が幸せマウント取りたくて集合かけただ。


(どっちも嫌だな)


いや幸せなら別にいい、全然いい。

友達が幸せなら、それを素直に喜ぶくらいの心の余裕はある。

問題は、幸せ自慢とマウント取りが始まる事だ。


これが始まると、皆んな負けじと自分の幸せ自慢を始める。

結局そのノリについていけない(というか、人にマウント取れるような事がない)私がターゲットにされて、ひたすら馬鹿にされるのが嫌なんだ。



♢♢♢♢♢♢



そうして私は待ち合わせ場所に向かいながら、溜息を吐いているのだった。


「はぁ…、やっぱり帰ろうかな」


具合が悪くなったとメッセージを入れて、このまま逃げちゃいたい。

だけど今回参加しないと、次の集まりの時に話について行けず、惨めな思いをするかも知れない。


(しかも今回集まる場所…ネット検索かけてみたら、メッチャ高いカフェ…。お昼に数千円もかけてられないよ…皆んなお金持ってるなぁ…、食事せずにコーヒーだけでも良いかな)


そんな事を考えながら歩いていて、気が付けば待ち合わせのカフェに到着していた。


仕方なくカフェの扉を開くと、来客を知らせるチャイムが鳴る。

すぐに店員さんが来て、皆んなが集まってる席まで案内してくれた。


「あ…来た来た、千代音ー待ってたよ」


席に座っているのは4人。

そう、私を入れて5人のグループだ。


「…お待たせー」


にこやかな笑顔を作りながら空いた席に座ると、友達…隣の席だった美穂がメニュー表を出した。


「何食べるー?」


「ここのカキ氷、すごい写真映えするらしーよ?」


「へぇ、どれー?」


ワイワイとおしゃべりしながらメニューを見ている友人達に、とりあえずホッとする。

とりあえず皆んな楽しそうで、誰かの悪口が始まりそうな雰囲気じゃない事は確かだ。


私も皆んなとメニュー表を見ながら、何を食べるか決めるフリして、値段を確認する。


何が食べたいかは問題じゃない、何が一番安いかが問題だからだ。

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