表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/160

67. 推しは尊い。

結局、みゆりに引きづられるようにして図書館を後にした俺は、そのまま二人とカフェに来ていた。


(苦手だ…、この妙に洒落た雰囲気…)


しかもみゆりは、もう一人の女ではなく、しっかりと俺の隣に座っている。

…俺をボックス席の窓際奥に押し込んで、その隣の廊下側に座っているから逃げようがない状況だ。


(クソ…、何の因縁なんだ)


仕方なく諦めて窓から外を見ていると、二人はメニューを見ながら騒いでいる。


ちらっとメニュー表を見ると、二人は別々のメニューに騒いでいるようだ。


みゆりが見ているのは写真映えしそうなスイーツ。

…ぜってー食い切れなそうなボリュームのパフェだ。


(なるほどな、そういや愛莉がSNSで人気のスイーツカフェが大学近くにあるって言ってたな。みゆりはSNSやってそうだし、目当てはスイーツの写真か…)


そしてもう一人の女が見ているのは…。


(…ん?コラボメニュー?)


そのメニューにはデカデカと【異世界戦国恋歌コラボ!】と題してある。

イケメンのイラストが大量に描かれたメニュー表を、食い入るように見つめている女は、牛魔王様…!と呟きながらニヤニヤしてやがる。


つまりコイツらは利害一致でカフェに来たわけだ。


「…ゲームか何かとのコラボメニューか?」


つい声に出して言うと、目の前に座った女は目を輝かせて俺を見た。

俺を見る女の目は、人間こんなに目を輝かせる事が出来るのか?と言うくらいに輝いている。


「そう!真城君知ってる!?異世界戦国恋歌!」


「い…いや…、知らねえけど…」


つーか、こいつ名前なんだっけ。

さっきから考えてるんだが思い出せねぇ。


「いま人気の乙女ゲームなの!ゲームから始まって、今はアニメとか2.5次元とか…。全キャラ好きなんだけど、中でも私が一番好きなキャラはラスボスキャラ。この牛魔王様がそうなんだけど、このルートは悲恋であまり人気がなくて、今までグッズとかが出てくれな…」


「ちょっと千代音ちよね暑苦しい、こんな所でオタクみたいな話やめてよね」


…ナイスみゆり。そうだ、千代音だ。

一度会ってる手前、名前聞けねぇから助かったぜ。

だがみゆり、友達にそれはなくねぇか?


「まったく…、せっかく素敵なカフェなのに、ゲームとコラボなんてさー。さっきの女見た?ジャラジャラとアニメキャラのキーホルダーなんかつけちゃ…」


「おい、みゆり」


聞いていてムカついてくるぞ。

他人に人様の趣味をとやかく言う権利はねぇだろう。

そう思って止めようとすると、千代音がクスクスと笑った。


「…あ…良いのよ、真城君」


「…は?」


「みゆりはいつもこうなのよ、でも文句言いながらも私の趣味に付き合ってくれるし、今回カフェに来たいって言ったのも私だから。このカフェのスイーツなら、前に他の友達と来ていて食べているし写真だって撮ってるのに、わざわざ付き合ってくれたの」


「…へぇー…、お前がなぁ…」


「は…?何よ?その()…、…ッと…、ん…ンン…ッ、あ…当たり前じゃない。千代音は私の一番長い友達だもんー」


一瞬だけ、いつもの俺に対する口調とは、全く違う話し方で言いかけて、慌てて甘えた口調で言い直すみゆりに、俺は溜め息を吐く。


(…いま少し地が出たな)


「…一番長い?大学で知り合ったんじゃねぇのか?」


「そうなの、千代音とは小学校からの付き合いなのよねぇ」


「へぇ、幼馴染ってやつか」


幼馴染と聞いてつい愛莉を思い出すと、みゆりが笑顔のまま俺を見た。


「…いま誰を思い出したの?」


「…い…いや、別に誰も…」


…つーか、それこそお前に関係ないだろ。

なんで俺が悪い事してるみてぇにドギマギせにゃならんのだ。

とは言え、何となく目を逸らすと、間近で着信音が鳴り出した。


「…あ、私ー。友達からだ、ちょっとごめんねぇ」


そう言って立ち上がると、みゆりはスマホを手に席を外す。


(…帰るならチャンスだが…)


ちらりと千代音を見ると、推しらしいキャラクターのコラボメニューで迷っているようだ。


「んー、ホントは描き下ろしイラストのオマケがついた激辛チャーハンが良いんだけど…、でも辛いの苦手だし…、ドリンクのコラボは美味しそうだけど、オマケのコースターが既存絵だからなぁ…」


俺の姿なんぞ目に入らない様子でメニューと睨めっこを続けている。


(今のうちに帰りてぇけど、どうも話しかけにくい…)


かと言って、このまま帰るのもどうもな…。

さてどうするか…と、千代音を見てると、視線を上げた千代音と視線がかち合う。


「あ…、すみません!メニュー見るよね?…あ、これ通常メニューです!どうぞ!」


「…あ…あぁ…、悪い」


特に何かを食おうなんて思ってなかったが、手渡されるままメニューを受け取る。

すると千代音はメニューを閉じて俺を見つめてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ